Without a Trace - Season 1
プロボクサーのダンテ・ジョーンズが試合直前に姿を消す。息子のレジーを連れて観戦に来たヴィヴィアン・ジョンソン捜査官がその場で捜査に着手する。「怖気づいて逃げたのではないか」「話題づくりではないか」とも言われるが、今回の勝利は確実と思われており、勝てば次はタイトル戦、ファイトマネーも高額で逃げる理由はない。
母親の話では、試合の直前に不良の兄アンドレがジムに仲間を連れて来て、ダンテと口論になったという。アンドレは今までに何度も問題を起こし、そのたびにダンテが面倒を見ていた。ダンテはアンドレの借金を肩代わりしたり、アンドレの娘クリスティーナのために養育費を払ったりしていた。
ダニーとサマンサはダンテが試合の前に合宿をするキャッツキルのジムへ向かうが、そこでダニーは突然銃撃を受ける。幸い怪我はなかったが、相手は車で逃走。その男は、アンドレがキャッツキルのジムに連れて来た仲間であると判明。また、そのジムにはまだ新しい血痕もあった。
その後、頭部を撃たれたアンドレの遺体が発見される。
アンドレは試合の直前、30万ドルの小切手を持ってブックメーカーに借金を返済しに来ていた。だがその金がダンテから出ていた形跡はない。調べてみると、試合の数時間前「ダンテの負け」に掛け金が動いていたことや、ダンテがガードマンに口止め料を渡して自分から出て行ったことがわかる。アンドレが八百長を仕組み、ダンテがそれを嫌って逃げ、そのせいでアンドレが殺されたとすれば辻褄が合う。
だがアンドレの検死結果により、口紅の成分が発見されていたことがわかる。アンドレを射殺したのは母親だった。彼女はダンテを守るためにアンドレを手にかけたのだった。
アンドレの通話記録から、八百長を仕組んでいたのは仲間のマイケル・チェンバーズ(ダニーに向けて銃を撃った男)と、ダンテのプロモーターだったクリス・ローランドだったとわかる。さらにローランドの通話記録から、ダンテと交際していたマリッサの関与が判明。マリッサはダンテからアンドレが死んだことを聞かされ、協力を頼まれてレンタカーを借りていた。ダンテはほとぼりがさめるまで郊外に隠れるつもりだったという。
マリッサの借りたレンタカーがフィラデルフィアのバスセンターで発見され、現地へ向かったヴィヴィアンが無事にダンテを発見する。
ヴィヴィアンが中心になるエピソードは安定したイメージがあって良い。逃げたのではないか、話題づくりではないのかという懐疑的な意見に対して「ダンテはそんな子じゃない」と断言するヴィヴは、状況だけ見れば前回のサマンサと似ているのだが、彼女が言うと何だか説得力を感じるなぁ――実際そうだったし。同じマイノリティとして自分に引きつけて見るところはあったにせよ、それ以上にダンテ・ジョーンズという人物を知り、的確に判断しているという信頼感がある。
学校で喧嘩したレジーを諭す場面も、言うべきことはぴしっと言う、一本筋の通ったところを見せていた。ドラマに登場する捜査官/刑事の身内には不良が多いが(犯罪ドラマに絡めるとそうなりがちなんだなー)レジーはきっと大丈夫。そんな気がする。
検死結果で口紅の成分が――という場面があるが、それ以前に死亡推定時刻は確認していないのか、とか、「試合が終わったらすぐに身を隠す」と言ったダンテが試合前に消えた本当の理由は何だったのか、とか、いくつか未消化の点はあるものの、全体としては良いエピソードだったと思う。
— Yoko (yoko221b) 2008-04-06