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Without a Trace - Season 2, Episode 16

#39 Risen


事件概要

失踪者:ジェシカ・ラーブ(当時18歳、元コールガール、コーヒーショップ勤務)

ジェシカ・ラーブは4年前、勤め先のコーヒーショップから「休憩に出る」と言ったまま姿を消していた。発見されないまま捜査は打ち切られていたが、ヴィヴィアンはそれから4年間、ずっと地道に捜査を継続していた。ジェシカの部屋で発見された身元不明の指紋――この指紋がいつか何かの事件でヒットするかもしれないからだ。

ヴィヴィアンの地道な努力がやっと報われる。その身元不明の指紋が、最近発生したトリスタ・ボーデンのレイプおよび傷害事件で発見された指紋と一致したのだ。トリスタの供述とジェシカの持ち物を付き合わせて絞り込んだ結果、トリスタを暴行したのは医師のポークであると判明。ポークの部屋には、彼がジェシカの首を絞めているところを撮影したビデオもあった。

だがポークはジェシカ殺害を否定。ジェシカにはレイプ願望があり「自分がレイプされて殺される場面をビデオに撮りたい」と言われて行った演技だと主張する。ビデオを検証した結果、窓の外の景色から、撮影時期は冬であると判明。ジェシカが失踪したのは7月だった。ポークは最後にジェシカに会った時「自分はセックス依存症だ」と告げられていた。依存症を克服するための自助グループに入っており、治療の一環として関係を持った相手に告白していたのだという。

ジェシカは幼い頃に母の恋人から性的虐待を受け、自分を変えたいと思いつつ依存症の再発に苦しんでいた。その後、ジェシカが常連だったクラブが判明し、親しくしていたバーテンのリチャードとともにTemple of Absolutionというカルト教団へと出奔したらしいとわかる。

リチャードはジョシュアと名を変えて今も教団で暮らしていたが、ジェシカの姿はなかった。だが、教団から姉を取り戻そうと運動している男性から「ジェシカらしい人物から電話を受け、姉のことを聞いた」という情報が入る。ジェシカは一度は教団に入ったものの、教祖から性関係を迫られて教団を脱出したらしい。

電話の通話記録から、ジェシカがコネティカット州のダンベリーにいたことがわかる。ジェシカの母の恋人だったチャールズ・ハフマンが現在ダンベリーに住んでいる。ハフマンはジェシカが幼い頃から隣人として母娘と親しくしており、その後母親の恋人にもなったが、ジェシカが16歳の時に彼女とも関係を持ったという。

ハフマンは昨年の冬にジェシカが会いに来たという。そこでジェシカは「自分が幼い時に性的虐待をしたか」と聞いた。ハフマンには全く覚えのないことであった。ジェシカを虐待していたのは父親であり、ジェシカはそれを認めることができなかったため、ハフマンの仕業と思い込んだのだった。ジェシカはやっと真実と向き合うことができ「これで忘れられる」と言って去って行ったという。

ハフマン家への通話記録から、ジェシカは現在アンジー・ノヴェルと名前を変えて暮らしているらしいとわかる。ヴィヴィアンは「アンジー」の住所へ向かい、幸せそうに暮らしているジェシカ=アンジーの姿を見る。ヴィヴィアンは、今の彼女はそっとしておく方が良いのだと思い、話をせずにそのまま立ち去り、母親に現在の住所と名前を手渡す。


感想

ヴィヴィアンが中心の話は安定感があって、落ち着いて見ていられるところが良い。地を這うような地道な捜査を着実に進めていくような話がヴィヴィアンには似合う。ジェシカ・ラーブはジャックにとってのチェット・コリンズのような存在であったようだ。

今回は通常とは違い、「失踪の瞬間に何があったか」は曖昧なまま終わり、失踪した後の足跡をたどるというエピソードになっていた。コーヒーショップから消えた後クラブへ行ったのか? リチャードと一緒に教団に入ったいきさつはどうだったのか? 4年前のことだし、そのあたりはもうわからないというかストーリー的に重要じゃないということなのかな。

エピソードを振り返ってみると、虐待で精神的にトラウマを負ったジェシカが荒んだ生活を送り、生活を変えるつもりで就職したコーヒーショップで過去の客に遭遇し、教団でも教祖に迫られ、逃げても逃げても過去に追いかけられ、ハフマンと話し合った後にようやく過去を克服して安定した生活を手に入れられた――という物語が浮かび上がってくる。そして物語が一巡して現在に追いついた時、ジェシカを見つめるヴィヴィアンの視線と、物語を追って来た視聴者としての私の視線が重なっていく。そこでヴィヴィアンが何も言わなかったことで、場面が変わるまでヴィヴィアンの視線を保ち続けられたような気がする。しみじみする良い話をありがとう、ヴィヴィアン。

Yoko (yoko221b) 2008-06-03