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The Wire - Season 1

#2 The Detail


“You cannot lose if you do not play.” - Marla Daniels

概要

ダニエルズ警部補と特命チームは、裁判所の地下にある倉庫のような「オフィス」を割り当てられる。メンバーにはマクノルティの他、ダニエルズの腹心のキーマ・グレッグス、同じく麻薬課のカーヴァーとハーク、殺人課のサンタンジェロ、質屋の見張り役だったフリーマン、精神的な問題を抱えたプリズブルスキ(プレッズ)などがいた。厄介者を押し付けられたとダニエルズは嘆く。

グレッグスは早速行動を開始。バブズの協力を得て、組織のディーラーたちの写真を次々に撮影する。マクノルティとバンクはウィリアム・ガントの事件でディアンジェロを連行。刑事2人は父親を亡くしたガントの遺児たちの話をディアンジェロに聞かせて同情を引き(ただし作り話)、手紙を書かせようとするが、弁護士のリヴィが到着して中断される。

マクノルティとグレッグスはディアンジェロの「手紙」を根拠に、ガント殺害はバークスデールの差し金である可能性が高いこと、長期的な監視と捜査が必要であるとダニエルズを説得しようとするが、相変わらずダニエルズは首を縦にふらない。とはいえ、ダニエルズ自身も「証人が証言したために殺害される」という状況を喜ばない警察上部との間に挟まれた苦しい立場だった。

夜中――カーヴァー、ハーク、プレッズの3人はタワーへ向かい、バークスデールの組織を威圧しようとするが反撃にあい、事態は銃撃戦に発展。プレッズはその場にいた少年を殴り、片目を失明させるまでの怪我を負わせてしまう。翌朝ダニエルズは3人を叱責し、プレッズに内勤を命じる。

証人が殺害された事件は、翌朝の新聞で報道される。ガントの件がマクノルティからフェラン判事に伝わったことで怒っていた警視のロールズはさらに怒り心頭に発する。


感想

第2話。タイトルの “detail” は、この場合は特定任務のための小規模チームという意味だろうと思う(Barksdale detailって韻を踏んでいるみたい)のだが、警察/ストリート双方の「詳細な」事情も明らかになっている感じ。

警察上部は、判事に言われて仕方なくチームを組んだものの、本当はバークスデールを挙げる仕事なんてしたくない。証人が証言したために殺されたなんて明らかになったら、誰も証人になりたがらないだろうし、証人保護プログラムを実施する予算もないから、そういう事情は明らかになってほしくない。だから、ダニエルズを犠牲にして厄介者を押し付けて、適当にお茶を濁そうとする。

マクノルティは、どうやらアルコールの問題を抱えているようだが、バンクとのチームプレイは冴えているし、まだ若くて擦れていないディアンジェロを作り話で丸め込もうとする尋問術はお見事。キーマは麻薬課のエースらしく、率先しててきぱき行動している。彼女のインフォーマントであるバブズは、仲間のジョニーをボコボコにしたバークスデールの組織を恨んで、自発的に協力を申し出る。このあたりまでは良いのだが、後のメンバーは何だか危なっかしいのとか、軽率に暴力を振るうのとかで、あまり戦力になりそうにもない。中間管理職のダニエルズは、上部と現場に挟まれていちばん気苦労の多い立場かも。

一方で、麻薬組織の元締めのエイヴォンもただ悪いだけではなく、教会でチャリティみたいなことをしていたり、彼なりに家族を大切にしていることがわかる。ディアンジェロには恋人がいて、彼女との間に息子が1人。こうして双方の生活ぶりが緻密に描かれることで、単純な善悪/敵味方の構図に収まらない複雑な、そして豊かな世界が見えてきたように思う。まだ2話目だが、もうこの辺りから単に「見る」だけの鑑賞ではなく、このドラマに描かれたボルティモアの街へ「気持ちが入っていく」というか、そこに自分がいるような感触が生まれてきた。

Yoko (yoko221b) 2007-06-26