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The Wire - Season 1

#12 Cleaning Up


“This is me, yo, right here.” - Wallace

概要

ストリンガーがピットに現れ、全員のページャーを回収する。代わりに、ディアンジェロとボディに携帯電話を渡し、打ち合わせの連絡だけをこの電話で行い、「ビジネス」のことは直接会って話すようにと命ずる。ページャーと公衆電話の使用は厳禁になった。

エイヴォンはストリンガー、リヴィ弁護士の3人でミーティング。この一連の動きが始まったのが、ちょうどディアンジェロの裁判の頃だったことから、証人のネキーシャ・ライルズが関わっているのではないかという疑惑が浮上する。

副総監のバレルは一斉捜索と押収に満足しているが、ダニエルズはまだ盗聴許可の期間が残っていることから、捜査の継続を主張。バレルはそれを認めるが、人員は縮小してサンタンジェロとシドナーを元の部署に戻すよう命ずる。

フリーマンは彼らが連絡方法を変更したことに気づき、プレッズをアナポリス(メリーランド州の州都)に派遣して資金の流れを調査させていた。彼らの動きは各方面に伝わり、地方検事はパールマンを通じて自分の選挙資金の記録を特命チームに渡す。ダニエルズはバレルに呼び出されて上院議員のクレイ・デイヴィスと面会。デイヴィスは、運転手のプライスが麻薬取引とは無関係であることを主張する。

ネキーシャ・ライルズの遺体が発見される。マクノルティらは、エイヴォンが「クリーニング」を始めたことを知り、ウォレスのことが心配になる。

ウォレスは田舎の暮らしが嫌になってピットへ戻っていた。ディアンジェロは、ウォレスは親元へ帰ったのでそっとしておいてほしいと言っていたが、ストリンガーはウォレスが舞い戻ったことを知り、ボディに殺害を指示する。ボディはプートとともにウォレスを射殺。

フリーマンは、シャーディーンの協力を得て、オーランドの隣にあるビルにカメラを設置してエイヴォンの「オフィス」を監視しようとする。だが、カメラを設置して見たのは、彼らが荷造りをして他の場所へ出て行く様子だった。かろうじて、エイヴォンがディアンジェロにニューヨーク行きを命ずる様子が確認できた。ダニエルズはディアンジェロの車に追跡装置を仕掛け、運搬の途中でディアンジェロを、さらにその後エイヴォンを逮捕。だがウォレスが殺害されたため、ストリンガーを殺人に関連付けることはできなくなってしまった。ディアンジェロはウォレスのことを知り、リヴィの弁護を断る。

バレル副総監はダニエルズに捜査を終了するよう命じ、FBIの調査ファイルを持ち出して脅すが、ダニエルズは盗聴許可の日数が残っている限り捜査を継続するという方針を変えなかった。


感想

オーランドに同行していた女性がアンダーカバーの警官だとわかり、即行で撤退を始めるバークスデールと執拗に追いすがるフリーマン(もう実質彼がチームの指揮を執っている)。公衆電話から別の公衆電話へ、そしてカメラの監視へと、次々に連絡手段を追いかけていく様子が面白い。後から見返すと、けっこうギリギリの追いかけっこだと思うのだが、ワザとらしい演出がなくむしろ淡々としているので、見ているこちらも「気がついたらすごいことになっていた」という感じ。

彼らの撤退戦は証拠・証人をすべて「片付け」ていくという、まるで基地を焼き払ったり橋を落としたりしながら撤退する軍隊のようだ。警察が思ったより本気だとわかったのだろうか。リトル・マンやウォレス、本当は無関係なのにネキーシャまで殺害するという徹底ぶり。最後に、かろうじてエイヴォンの姿を捕捉できたのはラッキーだった。

さて、フリーマンがチームの指揮を執り、ダニエルズは彼らが自由に動けるように上部との折衝を担当するというような役割分担になってきた感じだが、ついにバレル副総監と対立。6話の頃はバレルとダニエルズが親しかったように見えたが、ぎくしゃくし始めたのはやはり、デイデイ(上院議員の運転手)が関わってきたあたりからだっけ。ダニエルズの不正疑惑も3話で突然飛び出して、その後言及がなかったので忘れていたけれど、ちゃんと伏線になっていたのね。このあたり、ストーリーの骨格がすごくしっかりしているなぁと思う。

冒頭の方でバレルが人員縮小を言い渡す時、ダニエルズは誰を残して誰を返すか、わざと言わなかった。バレルは「お荷物」として押しつけたフリーマンとプレッズを残留させるに決まっている――だが、ダニエルズが本当に残したかったのもその2人だったので、敢えてバレルにそう言わせたというところか。

Yoko (yoko221b) 2007-08-15