Table of Contents

The Wire - Season 3, Episode 8

#33 Moral Midgetry


“Crawl, walk, and then run.” - Clay Davis

概要

プレッズは回収した携帯電話から、バークスデールの組織が数週間おきにさまざまな店で電話を調達していることを知る。すべてI-95(インターステイトハイウェイ)沿いの店で、その行動範囲は200マイルにもおよぶ。フリーマンは彼らの用心深さと規律の厳格さを知って感心する。電話の購入係をつきとめるため、グレッグスとマクノルティは店を虱つぶしに回り、1軒でやっと監視ビデオを手に入れる。

ハムステルダムの治安は悪化しつつあった。ある売人は金を強奪され「警官がいながら何事だ!」と怒り、被害届を出そうとさえする。カーヴァーは売人でもない子どもたちが大勢たむろしていることが気にかかっていた。コルヴィンは、、その子どもたちに治安維持の「職」を与えてはどうかと提案する。

売人を隔離したため、市全体の犯罪件数は低下していたが、この隔離政策に対しては、コルヴィンの部下の間でも意見は分かれていた。コルヴィンは、まだハムステルダム計画を秘密にしているため、突然数値が変動したことの説明に苦心する。

カルケッティは証人保護について市議会でバレルを追求。テレサはカルケッティに対し、市長になるつもりなら、正しいことを主張したり議論に勝つことよりも、何か有権者に訴えかけるものが必要だと説得。

エイヴォンは殺されたリコの復讐に、マーロとの全面対決を決意。同時に、オマーの居所を探す。一方ストリンガーは、建築許可の裏工作がなかなか実を結ばないことに苛立っていたが、デイヴィスは「ストリートのメンタリティは捨てて、辛抱強くなれ」と説得。

FBIのフィッツユー捜査官が、最新の機器を持ってMCUのオフィスに現れる。マクノルティが持ち帰った監視ビデオをその機器で分析すると、車のライセンスプレートを拡大して番号を判別することができた。

ブリアナ・バークスデールが市警察の殺人課を通じてマクノルティに接触する。ブリアナは、ディアンジェロの件でマクノルティが来たことをドネットから聞いていたのだ。マクノルティは、ディアンジェロの死は自殺ではなかったが、所轄の警察も検察も、余計な殺人を背負い込みたがらないのだと説明する。なぜ母親の自分ではなくドネットの所へ行ったのか、というブリアナの質問にマクノルティは、「ディアンジェロのことを本当に考えている人を探していたからだ。我々への協力を断り、収監される道を選ばせたのは貴女だ」と冷たく言い放った。

教会の助祭はコルヴィンを通じてハムステルダムの実態を知り、保健局の職員の協力を得て注射針の交換やコンドームの配布を始める。その助祭の助言により、デニスは子どもたちのためのボクシングジムを開くことになった。

エイヴォンは女を使ってマーロをおびき出そうとするが、マーロの手下が先回りをして彼らの車を銃撃し、エイヴォンは負傷する。ストリンガーはエイヴォンに、ディアンジェロを殺させたのは自分だと告白する。


感想

コルヴィン警視の「ハムステルダム」計画がだんだん軌道に乗り始めているのが気になる。今回保健局が乗り出したということは、彼らの商売だけでなく生活それ自体を支える基盤ができ始めたことを意味する。それはハムステルダムが長期的に存続する可能性を示唆するようにも見えるが、そのこと自体が矛盾を孕むものではないのだろうか――コルヴィンの下の刑事たちの間でも意見は分かれ、葛藤が始まっている。売人たちが自分たちの商売を(つまり犯罪行為を)守るために警察を頼り、警察官が犯罪を守らねばならないのだから。これは、犯罪者といえども不当な攻撃からは守らねばならないというのとは、やはり違う。犯罪そのものを守るということになってきていると思う。警視の意図がどのあたりにあるのか、それが気になるところである。

ところで、最後の方で注射針を配っていた女性はフラン・ボイドという人だそうだ。このシリーズと同じくデイヴィッド・サイモンとエド・バーンズが手がけた “The Corner” というドラマ(ミニシリーズ)があり、その主人公がこのフラン・ボイドさん(本名をそのまま使用?)で、彼女を演じたのが、CSI:マイアミで検死官を演じたカンディ・アレキサンダーとか。2000年の作品だから、マイアミが始まる2年前だ。これは、要するに “The Corner” も見ろということですかね!

ひとつgoofみっけ。マクノルティがブリアナさんと話しているシーン、マクノルティがカップからティーバッグを出して捨てているのに、その後の場面ではまだティーバッグが入っていたよ。

Yoko (yoko221b) 2008-01-21