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BONES - Season 1
#9 The Man in the Fallout Shelter
- 邦題:「過去からのプレゼント」
- 脚本:Hart Hanson
- 監督:Greg Yaitanes
- 初回放映:2005-12-13
事件概要
ライオネル・リトル事件
12月23日。ジェファソニアン研究所もクリスマスの飾り付けがなされ、パーティが開かれ、研究員たちも浮かれ気味。そこへシーリー・ブースが白骨死体とともに現れる。50年代に建設された核シェルターの中で発見されたというのだ。頭を撃って自殺したように見えたが、ブレナンは発見時の腕の位置が不自然なことから、他殺を疑う。
ザックは骨の洗浄、ホッジンスは虫の痕跡を探す。だがザックが骨を削った途端に生物汚染の警報が鳴り響いて扉が封鎖される。渓谷熱を起すコクシジオイデスという病原体が検知されたのだ。安全が確認されるまでの数日間(クリスマスが終わるまで)、彼らはそこに隔離されることになる。
隔離されたまま、彼らは遺体を滅菌して調査を続行。現場は60年代に差し押さえされた建物で、家主のアドキンスは盗品売買で逮捕され、既に死亡。所持品の中にあった女性用の結婚指輪、パリ行きの片道航空券2枚、女性からの手紙などから、婚約者とともにパリへ行く予定があった物と推察される。
手紙の宛名と服を仕立てた店の記録から、被害者の名はライオネル・リトルと判明。考古学者のグッドマン所長は、所持品の様子からライオネルは几帳面で用心深く、裕福ではない人物と判断。手紙の内容と筆跡から、相手の女性はアフリカ系でしかも妊娠していたらしいとわかる。対してライオネルは白人。1958年代当時では公にできる関係ではなかったはず。2人はパリへ駆け落ちしようとしていたのだ。
ライオネルの失踪届けが発見される。彼はオクラホマ出身で、石油会社で会計士をしていた。コインの収集家で、持っていたコインのコレクションは失踪後にアドキンスによって売却されていた。ライオネルはコインを売ってパリ行きの資金を作ろうとしたが、アドキンスに殺害されてコインを奪われ、シェルターに放置されたものと思われた。さらに、ライオネルの相手は会社の清掃係だったアイビー・ガレスピーらしいということもわかる。ブレナンは各方面に問い合わせ、ようやくメリーランド州の介護施設にいるアイビー・ガレスピーを探し出す。
隔離された研究所の中で、アンジェラはホログラムでツリーを作り、シークレット・サンタでプレゼントを交換し合う。ただ、クリスマスの直前に両親が失踪し、それが原因で兄とも離れてしまったブレナンだけは参加しようとしなかった。
検査の結果、誰も感染していないと判明し、チームの面々はそれぞれの家族や恋人のもとへ向かう。ひとり研究所に残ったブレナンは、アイビー・ガレスピーと孫娘リサの訪問を受ける。ブレナンは、ライオネルに捨てられたと思って独りで娘を育てたアイビーに真相を告げ、コインを手渡す。ライオネルが持っていた1セント硬貨は、1943年製の銅貨。この年に鋳造された硬貨は、戦争に銅が使われたため大半がスチール製。銅製もごくわずか鋳造されたが、現存しているのは12枚だけ。現在では10万ドル以上の価値があるという。用心深いライオネルは、最も価値の高いその硬貨をアドキンスには見せなかったのだ。
感想
こんな時期(9月)に観ても季節はずれなだけだけど、クリスマスらしい良いエピだったなと思う。アイビーとリサに銅貨を渡す場面は、何だかO・ヘンリーの小説みたいだった。シークレットサンタでプレゼントを交換し合う場面も、みんな良い仲間で、相手に喜んでほしいと色々考えているのが微笑ましかった。家族や恋人たちとの面会シーンにも、それぞれに「らしさ」が出ていて良かったなぁと思う。それにしても、ブースに息子がいたとは!
ブレナンはクリスマスに対して複雑な思いがあって、プレゼント交換にも興味を示さなかった(何だかモンクさんみたいだ)が、皆の家族との面会やアイビーやブース親子を見ていて気持ちがほぐれていったのだろうか。ずっと封をしたままだった両親からのプレゼントを、やっと開くことができた。開封する仕草が何となく、心の包帯をほどいていくような印象で、しみじみと良い場面になっていたと思う。何で職場に置いてあるのか謎だったけど。
1958年当時は、黒人と白人の結婚は違法――そう言われても何だかピンと来ないけど、アメリカ史の本をちょろりと見てみたところ、50年代というのは公民権運動が高まり始めた頃だったのね。国連総会で「世界人権宣言」が採択されたのが1948年。公立学校での人種隔離を違憲とした、有名なブラウン対教育委員会事件の判決が1954年。その翌年にはマーチン・ルーサー・キング牧師らによるバス・ボイコット運動が始まる。その一方で、保守的な南部社会では人種隔離政策を守りたい勢力が強く、KKK運動も高まり始める。そんな時代だったようだ。日本では昭和33年、高度経済成長の初期。そうかー、そんな時代だったんだ。
ところでこのエピ、最後にシドの店に行った場面以外は、ずっと研究所の中だった(隔離されてたし)。でも、現代の「アームチェア・ディテクティブもの」は特にそう分類する必要がないんじゃない? ってぐらいに、何でもわかってしまう。こんな時代なんだ。
— Yoko (yoko221b) 2008-09-18