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Body of Evidence
マックス・アラン・コリンズによる小説版CSI第4弾。キャサリン、ニック、オライリー刑事は、ある広告会社のコンピュータが違法行為に使われた事件を担当。一方、空軍基地の近くでは女性の遺体が発見され、こちらはグリッソム、サラ、ウォリックがブラス警部とともに担当。検死の際に女性の身元が判明し、事件の捜査には政治的な思惑が絡むこととなる。
書誌情報
Body of Evidence
内容・感想
児童ポルノをめぐる事件とベガス市長のアシスタント殺人事件の二本立て。正直なところ、ミステリとしてはいささか物足りないのだが、それぞれのキャラクターの描き方が面白いなと思う。場面が映像として想像できる。
キャサリン、ニック、オライリー刑事の事件では、ある広告会社のコンピュータが違法行為に使われた事件を担当。。一方、空軍基地の近くでは女性の遺体が発見され、こちらはグリッソム、サラ、ウォリックがブラス警部とともに担当。検死の際に女性の身元が判明し、事件の捜査には政治的な思惑が絡むこととなる。
キャサリンとニックの事件は、広告会社に出勤してきた社員が、上司のプリンターで違法なチャイルドポルノ写真が印刷されているのを見て、驚いて通報したのが始まり。犠牲になっているのはリンゼイとそれほど歳の変わらない少女たち。またニックにもそれに関するトラウマがある。プロとして冷静に事件に取り組もうとするものの、つい言動の端々に感情が現れてしまう。
事件発生当時、そのマシンのユーザーは街を離れていたので、CSIは社内のコンピュータを根こそぎ押収し、専門家に内部解析を依頼する。ここでコンピュータ犯罪のエキスパートNuñez(これはコリンズのオリキャラか? 名前何て読むのよ)が登場して、かなり重要な役割を担う。というか、事件が事件だけに、この人が証拠分析の大半を引き受けているといってもいいくらい。ワークステーションを解析してコマンドをトラッキングする話はそれなりに面白かったけど、でも展開はお約束通りというのかな……中盤の容疑者はたぶん無実だろうなと思ったらやはり無実で、それならこの人が背後にいるんだろうなと思ったらやはりそうだった。
冒頭の章を読んで、ボスのプリンターにポルノ写真が置いてあったからっていきなり警察沙汰にするのかよ! 下手すりゃボスが容疑者になって自分の仕事も危うくなりかねないというのに、アメリカの会社ってすげーなと思っていたら、最後の方になってその部分にツッコミが入っていた。「そういう場合は普通、警察よりも上司本人に知らせるものでしょう」って……ああ、やはりそうなのね。
主任たちの事件では、殺害された女性はベガス市長のアシスタント。ちょうど市長の改選が近く、しかも保安官のモブリーが出馬に意欲を見せているところだった。そのへんの思惑がからんでちょっとした問題も起きるのだが、この点は描写不足というか中途半端に終わってしまったように思う。FBIのカルペッパー捜査官も、せっかく登場したのに、ほとんど活躍せずにいつの間にか消えてるし。容疑者もそんなに多くないし、犯人もそれほど意外じゃなかった。特に、終盤の急展開ぶりはあわただしく感じた。
「第一発見者が第一容疑者」という原則が、偶然にも2つの事件をほぼ同時に解決へ導くという構成自体は面白いと思うんだけどな。
あと、細かいことだが、サラが「ターキーのサンドイッチ」を食べていたことは、ちょっと不満。2003年10月刊だから、サラがベジタリアンだとわかった回(シーズン2「残酷な悪戯」)はもうとっくに放映されているはず。個人的にあれは重要なエピソードだと思っているので……執筆がそれ以前だったとしても、出す前にチェックしてほしかったなと思う。
— Yoko (yoko221b) 2006-03-12