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CSI - Season 2, Episode 13
#36 Identity Crisis
- 邦題:「第4の殺人 衝撃の結末」
- 脚本:Anthony E. Zuiker, Ann Donahue
- 監督:Ken Fink
- 初回放映:2002-01-17
Identity is so fluid, you know.
事件概要
バスタブ偽装自殺殺人
全員で担当。管轄外の事件現場に呼ばれたグリッソムが倉庫に行ってみると、バスタブの中で男が死んでいた。凶器は拳銃で、そばに自殺のメッセージを録音したテープがあった。ポール・ミランダによる連続殺人事件の3件目(シーズン1「非情の街 ラスベガス(Pilot)」、「グリッソムへの挑戦者」参照)であると思われたが、今回はメッセージの末尾に「誕生日おめでとう、グリッソムさん」という言葉が加わっていた。ミランダは父親が殺された日に生まれた男性を選んで殺害していた。最初の被害者の誕生日は1959年8月17日、次は58年の同じ日、今回の被害者は57年の同じ日、そしてグリッソムの誕生日は56年の8月17日だった。
テープの音声から、録音場所は車内、背後にラジオの音楽が流れ、被害者が助手席でミランダが運転席にいたことがわかる。被害者の顔面の片側に銃弾がかすった痕跡があるのは、ミランダの製作した人形 “Good versus Evil” を想起させた。遺体の下には、長い髪の毛が1本落ちており、染色体から女性の毛髪とわかる。また、毛根の細胞を見るとかなり年月が経った物で、冷凍保存されていたと思われた。
被害者はスピード違反で一度検挙されていた。調べてみると、前の被害者二人も同じように交通違反をして、同じ警官にチケットを切られていた。その警官の話を聞いて交通裁判所に行ってみると、現れたメイソン判事は何とポール・ミランダその人だった。驚き、あれは殺人者だと言うグリッソムは法廷侮辱罪で留置され、その後メイソン家に招かれる。留置場で採取した指紋はメイソン判事本人の物だった。
グリッソムとキャサリンは「ミランダ夫妻」の家があることを知り、そこを訪ねる。住んでいたのはミランダの母親で、そこにはポーリーンという娘がいた痕跡があった。夫人は「娘はずっと以前に死んだ」と言う。ポーリーンの部屋で発見した指紋はメイソン判事のもの、服についていた女性の毛髪は殺害現場にあった毛髪と同じ人物のものだった。以前に殺人で使用し、ミランダの物と思われた指紋は、手形から取った父親の指紋だったのだ。ポーリーン=ポールは両性の特性を持って生まれた。父親が息子、母親が娘を望んだため、家の中では女の子、外では男の子として暮らしていた。父親の事件の後「男の子なら父を救えたかもしれない」と思った彼女は性別を男にして、メイソンになりすまして生きてきたのだった。
公判の当日、グリッソムは法廷に行きミランダが逃亡したことを知る。今までの録音テープにあった “'I love you' to my mother” という文言に特別の意味があることを知ったグリッソムはミランダの母親が住む家に向かい、事件は衝撃の結末を迎える。
感想
主任の誕生日は……って、そんな重要なこと何でS1で隠してたんですか主任! いやーでもCBSのサイトで主任の誕生日調べたのに、気がつかなかったわ。
それにしても、ポール・ミランダの思わぬ正体! S1の「逆転無罪 逆転有罪」で、会ったばかりのデイモンと少し会話しただけで職業や教育水準をずばずば当ててしまった主任が、これほど完璧に騙されるとは。人形職人を演じていたミランダは、普段の判事らしい口調や物腰を完璧に隠していたのだろう。いやはや。
日付の謎は、やはり解明されていない。父親の事件が1959年(S1「グリッソムへの挑戦者」による)だったら、ポールは当時まだ3歳なのでは? もしかして、事件の日付は間違いで実は1966年だったのだろうか。そして1965年の8月17日に生まれた人を筆頭に他に6人殺してるとか。それとも、初期の被害者はイタ電とかピザ宅配で済ませていたのに、だんだんエスカレートしてついに殺人に……?
巻き添えで殺された3人の被害者は気の毒だけど、メイソン夫人にも同情してしまった。夫は判事で、養子にした男の子と3人で絵に描いたような幸せな家庭に暮らしていたのに、ある日突然夫の身元、過去、そして性別までもが揺らぎ出す。夫が最後まで求めていたのは結局母親の愛情だったのか、彼/彼女にとって自分の存在はいったいどれほどの意味があったのかと、悩むかもしれないなー。
「グリッソムへの挑戦者」のスクリプトをチェックしてみたら、父親の名前はジョン・ミランダになっていた。ここでは父もポールだけど。