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CSI - Season 4, Episode 11
#80 Eleven Angry Jurors
- 邦題:「地獄の12人」
- 脚本:Josh Berman, Andrew Lipsitz
- 監督:Matt Earl Beesley
- 初回放映:2004-01-08
You know, I'm always getting criticized for empathizing with the victims and their families, but that's who I am. That's how I do my job.
事件概要
クリス・ギボンス事件
グリッソム、キャサリン、サラ、ウォリック、ブラス警部担当。殺人事件の陪審員たちが話し合っていた。11人は有罪を確信しているが、大学院生のクリス・ギボンスだけは「合理的な疑いを超える」証明が足りないとして無罪を主張。昼食が届き、陪審員たちが部屋へ戻ると、クリスが中で倒れて死んでいた。
クリスの頭部には傷があったが、死因は殴られたことではなく、アナフィラキシーショック(激しいアレルギー反応)。手首にはペニシリンアレルギーを示すブレスレットがあったが、ペニシリンは検出されなかった。太ももには注射の痕があり、それはクリスが自分で打ったエピネフリンだった。彼はピーナツにもアレルギーがあり、他の陪審員がピーナツの殻をぶつけたために発作を起こし、自分で注射を打ち、事なきを得た。だが、クリスの昼食のチリを調べると、中にピーナツバターが入っていた。
それは自動販売機で売っているチューブ入りのもので、カラはソーダ缶に押し込まれていた。指紋を調べると、5日後に結婚式を控えた陪審員のタラ・ニューサム。彼女は、ただ家に帰りたいためにチリにピーナツバターを入れたことを認めた。寸前で気が変わり、別のチリを渡そうとしたが落としてしまい、クリスがピーナツ入りのチリを持っていくのを止めることができなかった。だが、ピーナツのアレルギー反応は死ぬほどではない。
ロビンス医師はさらに遺体を詳細に検査し、首の傷口でミツバチの針を発見した。現場をもう一度よく調べると、テーブルの足のかげに、ミツバチの屍骸が落ちていた。クリスはハチに刺されて即座にアレルギー反応を起こして呼吸困難に陥り、倒れてテーブルで頭を打ったのだ。
キンブル事件
クリス・ギボンズを含む12名の陪審員が審理していた事件。被告人キンブルは妻を殺した容疑で起訴されていた。本人は家の中に別の男がいたと言って無実を主張するが、「別の男」の存在を示す証拠も証人もなく、凶器のベルトにはキンブル本人の指紋しかついていなかった。
リタ・ウェスタンソン失踪事件
ニック、ヴァルタン刑事担当。4年前にまだ新人だったニックがグリッソムとともに担当した失踪事件があった。失踪したのはリタ・ウェスタンソンという女性だったが、捜査の結果、事件性のない単なる家出として処理されていた。だがリタの妹のフェイが突然現れ、4年前は嘘を言った、姉は失踪ではなく殺害されたのだと主張。
フェイの話によると――4年前、出張が予定より早く終わって帰宅したリタは、夫のアーロンが納屋で別の女性といるところを目撃。動転して出て行くと叫んだリタを、逆上したアーロンが撲殺。アーロンのアリバイを証言したのは仕事上のパートナー、ハリス・マーシーだった。彼は多額の借金があったため言いなりになったのだが、先月死亡していた。アーロンはリタの遺体をドラム缶に入れ、ガソリンをかけて火をつけて遺体を燃やし、灰を川に流した。フェイがそれを知っている理由――アーロンの浮気相手が彼女だったのだ。
ニックは、フェイが「リタの遺体を焼いた」という場所で土を採取するが、ガソリンや炭化水素の痕跡は残っていなかった。また、ヴァルタンが調べたところ、フェイにはテリーという妹がおり、数週間前にテリーとアーロンが婚約したという。フェイは、テリーがリタの二の舞にならないか心配だが、テリーはアーロンに夢中で自分の言うことは信じないだろうと言う。
現場の土は川の水で流されて炭化水素は残存していなかったが、そばにあった木の枝を切って調べると、4年前の年輪からガソリンと炭化水素が検出された。検出されたガソリンは無鉛だったが、アーロンの家のタンクにあるガソリンは、ディーゼル専用で、無鉛ガソリンは使ったことがない。その周辺でガソリンタンクを置いている家を調べると、アーロン以外にはフェイの家だけだった。フェイの納屋にあった工具からは、ルミノール反応が出た。フェイはアーロンを得るために姉のリタを殺害し、アーロンがテリーと婚約したことを恨んで彼に罪を着せようとしたのだ。
4年前にグリッソムが「事件性のない家出」と判断したのは、正式な手順に従って下した結論だった。だがニックは敢えて、「その結論は早急すぎた」と言う。リタはおよそ、ある日突然何もかも捨てて旅に出るタイプではない。その点をもっと重視すべきだった――と。それが主任とは違う、自分なりのやり方なのだ、と言って去って行くニックを見送ったグリッソムは、ニックの昇進を推薦する手紙を書く。
感想
どちらの事件も、なかなか証拠が出て来ない事件だった。陪審員の方は、被害者が色んなものにアレルギーだったせいで、「凶器」がなかなか特定できない。その間にキャサリンたちが容疑者を探すわけなのだが、現役ストリッパーの陪審員が早く仕事に戻りたくて被害者を誘惑したり、タブロイド紙に原稿を書くために隠し持った携帯カメラで撮影している陪審員がいたり、何だか事件に関係ない脇筋の話の方が面白かった。
12人の陪審員、11人は有罪を確信しているのに1人だけどうしても「無罪」の主張を変えない――というこれは、言うまでもなく『十二人の怒れる男』のパロディ。ヘンリー・フォンダの映画が有名だが、ウィリアム・ピーターセンの出演したテレビ版もある。WPが演じたのは「Juror #12」としか書いていないので、どの陪審員かわからないが。
そういうあからさまなパロディなので、最初のほうで「暑いなー」とか言いながら窓を開けているシーンも単なるパロディなのか(本家にも似たようなシーンがあった)と思っていたら。ラストでそれが「加害者の侵入経路」だったとわかるのが面白い。
で、もともと審理されていた事件はどうなったのかというと――本来ならば、おそらく補充の陪審員が交代に入って継続されるんだろうと思う。でも、被害者の他に数名が解任されるかもしれない。被害者を誘惑しようとした人とか、ピーナツバターを入れた人とか、携帯カメラで隠し撮りした人とか……補充は間に合うのか。
でも、この事件で審理はしばらく延期されるだろうから、その間に被告人は逃げてしまうんだよきっと。そして人助けや何かをしながら逃亡生活を続けて、真犯人を探し出すのだ。
ニックは単独で、4年前の事件を再調査。4年前というと、シーズン1が始まるより前のことだ(当時ニックはレベル2の捜査官なので、捜査の終了を決定する権限がなかった)。ニックがレベル3に昇進したのは、シーズン1の2話だったからなぁ(遠い目)。その頃ニックはたしか「主任に認めてほしくて仕事をしている」みたいなことを言っていたのだけど、最近は自分なりのスタイルが身についてきたようで……。最近やや不安定なサラや、前シーズンで仕事に私情をはさんでしまったキャサリンやウォリックを見ていると、ニックがいちばん安定してるんじゃないかという気がしてくる。別に主任が推薦したから、というわけじゃないけど。人間なのだから感情があるのは当然、という前提で、冷静にそれに向き合って対処しているんではないかな? と、今回のエピを見て思った。