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CSI - Season 4, Episode 12
#81 Butterflied
- 邦題:「蝶の亡霊」
- 脚本:David Rambo
- 監督:Richard J. Lewis
- 初回放映:2004-01-15
You killed them both, and now you have nothing.
事件概要
デビー・マーリーン/マイケル・クラーク殺害事件
学会出張中のニックを除く全員で担当。デザート・パーム病院に勤務する看護師のデビー・マーリーンが自宅のバスルームで殺害された。デビーの容貌がサラに似ていることに気づいたグリッソムは、サラに周囲の捜査を命じてキャサリンだけを中に入れる。デビーは外科インターンのマイケル・クラークとデートしていたはずだったが、次の日に病院に出勤してこないので、同僚のケリーが様子を見に来て遺体を発見した。隣人の話では、恋人の車は黒いメルセデスで、2日前に来たことがわかっていた。デビーの車には、スーパーで買い物をした時の荷物がまだ残っていた。
浴槽と洗面台には、血を流した後に漂白剤を使った形跡があり、床と壁にも大量の血を拭き取った跡が見えた。外のゴミ箱を調べると、血染めのペーパータオルとバラバラになった人体、ていねいにたたまれた男物の衣服があった。バラバラにされた被害者は、デビーの恋人のマイケルで、彼の車は空港の駐車場で発見された。運転席以外は完璧に清掃され、運転席にはシートをかけた形跡があった。
当日の状況を再構成してみると――デビーはスーパーへ買い物に出かけ、昼頃に帰宅。生ものを先に持って入り、入り口は開けたままだった。そしてマイケルが来るためにキャンドルを準備する。犯人はそこへ忍び寄り、デビーの喉をかき切る。マイケルが来たときに最初にデビーの顔が目に入るように顔を横に向けて、彼が来るのを待つ。そしてマイケルを殺害し、バスタブの中でばらばらに解体し、ゴミと一緒に捨て、マイケルの車を運転して空港で乗り捨てた。マイケルの解体には、少なくとも12時間はかかったはずだった。
グリッソムは寝食を忘れて現場で捜査を続ける。被害者にどうしてもサラの面影が重なってしまうようだ。
ベッドの指紋から、デビーには他にも恋人がいたことがわかるが、その彼――トリプトン医師は誘われて関係を持っただけだという。アリバイも確認された。
ゴミとともに捨てられていた掃除機の紙パックの中には、蝶のアクセサリーの破片が吸い込まれていた。デビーは蝶の形をしたアクセサリーをコレクションしており、その本体も宝石箱に入っていた。その付近には白い毛髪。その毛髪には育毛剤を使用した形跡があり、また遺体の切断状況から、確定はできないものの左利きの可能性が高かった。デザート・パーム病院には、左利きで育毛剤を使用しているルリー医師がいた。ちぎれたブレスレットの送り主も彼だったが、他に証拠はない。
グリッソムはルリーに語りかける。ずっと仕事に没頭した生活を送り続けて中年期を迎えた男の前に、ある日若く美しい女性が現れ、もうひとつの人生の可能性を提示する。だが彼女を得るためには、今まで築き上げてきたものを捨てる覚悟が必要だ。自分にはできなかったが貴方はそうした、だが別の誰かに彼女を奪われ、貴方は彼女の生命を奪った――と。グリッソムはサラに惹かれる自分と重ね合わせつつ医師を説得しようとするが、医師はグリッソムを一瞥し去っていく。そして隣の部屋では、サラがマジックミラーごしに一部始終を聞いていた……。
感想
初動捜査の描写がとても細かくて面白かった。まず主任が一人で現場に入り、廊下の端っこぎりぎりの所を、足跡を確認しながらそろそろと歩いて行く。靴にはちゃんとビニールの覆いをしているのだが、普段はここまできっちり描写していないので、足跡を取るシーンなんか「あんなに皆でズカズカ歩いてるのに……」と、実はひそかに思っていたのだった。「きっとそこまでリアルにする余裕がないのだろう」と思って納得はしていたのだが、確かに毎回これを見せられると飽きるかもしれない。
このエピソードの中心は事件よりも主任の心情、主任の告白の部分だと思った。被害者の部屋は蝶のコレクションがいくつもあって、それが幻想的な雰囲気を強める役割を果たしていて、見ていると何だか主任の内面に引き込まれるような気持ちになる。主任の家にも蝶の標本がたくさん飾ってあった。蝶にサラの面影を重ねたこととかあるんだろうか。手の中に閉じ込めようとしても、いずれもっと甘い蜜(若い男)を求めて飛んでいってしまうかもしれない……というように。
でも、主任が好きなのは蝶よりゴキブリだと思うけど……ゴキだって空を飛ぶし(映像的に無理が)。
さて事件はというと。ルリー医師は本当に犯人なのか? という所が、いまいち確信が持てない感じ。証拠が少ないせいもあるけれど、どうも動機というか、殺人しなければならないほどの切羽詰った必然性が見えてこない(かといって、必然でない殺人を犯すほど、倫理的に踏み外しているとも思えない)せいかな。だって衝動的に殺したわけじゃなく、計画的な犯行で解体に12時間以上だよ。洋服もていねいにたたんでるし、何だかデビーよりマークの方に尋常でない情熱を持っているように見えるのだが。マークにはすごい時間をかけてあれこれしているのに、デビーの方は遺体にポーズを取らせただけ、それもマークに顔を見せて彼を苦しめることが目的なんて。
このエピのバラバラ死体、やはりテレビでここまで放送してよいのか? という点で議論があったらしい。