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CSI - Season 4, Episode 13
#82 Suckers
- 邦題:「牙を持つ人々」
- 脚本:Danny Cannon, Josh Berman
- 監督:Danny Cannon
- 初回放映:2004-02-05
To find the hunter … know the game.
事件概要
アンティーク日本刀盗難事件
グリッソム、サラ、ニック、ブラス警部担当。ホテル/カジノ “Mediterranean” で、特別ゲスト、ユリ・ヤマモトのコレクションが披露されていたが、パーティーの途中で、そのうち最も価値のある日本刀が盗まれるという事件が起きる。プールに人形を投げ込んで誰かが感電死したと見せかけ、全員が庭に集まった隙に警備員を縛って盗み出したと思われた。他の展示品は無事だったが、経営者コーフィールドにより急遽金庫室に移される。
展示品の鎧兜の前には砂糖水がこぼれていた。グリッソムは、カジノに押し入った泥棒が、現金に手をつけずアンティークだけ盗んでいったことを不審に思う。また、日本には19世紀まで軍隊が存在しなかったはずなのに「17世紀の鎧」があるのはおかしい、と間違った知識を披露。
警備員を縛ったテープの指紋から、警備員がポールと回転椅子を使って自分で自分を縛ったことがわかる。そして盗まれた刀は天井裏に隠されていた。東京から到着したばかりのヤマモト氏に刀を見せ、鎧について聞くと「コレクションに鎧は入っていない」という。金庫室に行ってみると、中には現金の帯封が散乱し、常備してあった現金1000万ドルがなくなっていた。犯人は鎧の中に隠れて金庫室に入ったのだ。脱ぎ捨てられた鎧のそばには、栄養源の砂糖水、尿を入れる袋、ICレコーダーが落ちていた。キーの組み合わせを知っていたのはコーフィールドだけだったが、鎧の男は金庫室のキーを押した時に鳴る音を録音し、同じコードを再現して扉を開けて出て行ったと思われた。監視カメラの映像を見ると、金庫室から出て行った男は裏口を抜け、警備員が運転する車に乗った。鎧の男は、カジノのプール作業員のネイサンで、4日も無断欠勤した。最初に囮に使われた人形は、そのプールで使用されている練習用の人形だった。
ヤマモト・コレクションを調べると、すべて贋作であると判明。コレクションを登録した従業員もヤマモトも姿を消していた。贋作の材料に使われたエミューの骨の取引経路から、グラム・チェンという男の経営する舞台装置の会社が判明。行ってみると、贋作がすべてその会社で製作されたこと、チェン=ヤマモトであったことが判明。さらに、「ミカド」の宣伝看板にあった役者たちは、警備員やプール作業員など詐欺に一役買った面々だった。グリッソムは、金庫室のキーに使われた音の組み合わせが「ミカド」の音楽だったことを思い出す。
事件は最初から、コーフィールドがチェンたちを雇って仕組んだ保険金詐欺だった。札束の帯封は通常、きっちりと留められており、簡単にははずせない。まして、逃げるために一刻を争う犯人がいちいち丁寧にはずして置いて行くわけがない。その帯封は、保険会社に金額を提示するために必要だったのだ。現時点では立証できないが、グリッソムは保険会社に通知したと言ってコーフィールドのオフィスを後にした。
アンジェラ・サマーヴィル殺害事件
キャサリン、ウォリック担当。自殺が2回あり空き家になっていた家で、若い女性の遺体が発見された。首には歯で噛んだような傷が2箇所。その間隔は32ミリで、成人男子の目と目の間の距離とほぼ同じ。失血死と思われ、また死後に動かした形跡もなかったが、血はこぼれていなかった。床には赤いペンキで十字架が描かれていた。
被害者はヘンダーソンに住むアンジェラ・サマーヴィル、20歳。足首には、上が輪になった十字章の刺青があった。空き家の床にあったものとよく似ている。エジプトのアンク十字で、永遠の生命を象徴し、ヴァンパイヤの印としても使われる。また、肩の上側にもいくつか傷があった。そこは血管が多く傷が治癒しやすいため、血を吸うには適した位置。
アンジェラは吸血鬼に傾倒し、同じ趣味の仲間たちと集会などを開いていた。アンジェラは「デゴナ」というヴァンパイヤ名を名乗り、血液バーに出入りしていた。彼女は本物のヴァンパイヤになって血を飲んで生きることを望み、もっと精神的なものを求める仲間たちを「格好だけのファッション・ヴァンパイヤ」と軽蔑していた。それで彼女らは「裁判」を行い、アンジェラを除名することにしたという。
アンジェラの体内からはアブサンが検出された。アブサンは米国では違法だが、血液バーのようなアングラな場所では入手できるらしい。血液バーに行くと、アンジェラの部屋にあった写真の男性がいた。アンジェラはその男ケインに自分の血を捧げていたという。ケインのDNAはアンジェラの噛み痕のものとは不一致。また、ケインの持っていたペンダントにはアンジェラの血液が入っていたが、ポリエステル塩基も混ざってた。これは血球と血清が分離して沈殿するのを防ぐために、HIV検査用の試験管にあらかじめ含まれている液体である。
アンジェラがHIV検査のため採血したクリニックへ行くと、技師のジョーンズが冷蔵庫に血液を保管していたのが発見された。容器にはジョーンズがそれを飲んだ形跡。ジョーンズは、アンジェラの希望で血を取って保管していただけだと主張するが、彼女が検査に来たのは32日前。その血液はまだ1週間も経っていなかった。ジョーンズは自分こそ本物の吸血鬼と信じ、「ハリウッド的まがいもの」にほれ込むアンジェラを苦々しい思いで見ていた。そしてその晩、ケインが去りアンジェラがひとり残された空き家に入り、犯行に及んだのだ。
感想
主任の事件は、珍しく人が死んでいないしコミカルなタッチで楽しめた。帯封は確かに変だなと思ったんだ。でも、これで主任担当の事件が2回連続で(形式上は)未解決ということに……。
コレクションのオーナーの名前が「ミスター・ユリ・ヤマモト」で、男なのに名前が「ユリ」? 有理とか由利なのか? と思っていたら日本人じゃないって……。何だか悩んで損した。
「日本に軍隊ができたのは19世紀だから、17世紀に鎧があるのはおかしい」という主任の台詞には、きっとWOWOWで放映された瞬間日本中でツッコミが入っただろうな。だってあれはどう見ても戦国時代の鎧だもの。添えられていたカードにも、織田信長の “war tactics” のことがちゃんと書かれていたのだけど……もしや信長を幕末~明治の人だと思ってますか? 事件の性質を考えると、時代考証があまり正確すぎるのもかえって変なのかもしれないし、主任の専門は歴史じゃないんだけど、でも論理的に整合性のないことはあまり言っていただきたくない。だって刀があるのに防具がないわけないではないか。
一度くらいCSIで「普通の日本」像を見たいよ。なんちゃって日本人のコメディ詐欺師団とNYの女体寿司だけでは、あんまりだー。
囮に使われた人形が「マコーレー」と呼ばれているのは、「ホーム・アローン」のマコーレー・カルキンみたいな口だから、ということなんだけど……似てる?