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csi:s04:086_xx

CSI - Season 4, Episode 17

#86 XX

  • 邦題:「ベビーガールのドクロ」
  • 脚本:Ethlie Ann Vare
  • 監督:Deran Sarafian
  • 初回放映:2004-03-11

Generally speaking, where there's an arm, there's a body.

事件概要

アントアネット・ステラ殺害事件

キャサリン、ニック、サラ、ブラス警部担当。道路を走っていた車のフロントガラスに、突然人間の腕がぶつかった。その腕は、前を走っていたバスの下から飛び出したもので、バスを調べると車体の下に女性の遺体が縛り付けられていた。バスは走りながら遺体を少しずつ落としていたため、キャサリンはデイヴィッドとともに経路をたどってパーツを回収。

そのバスは、女子刑務所の労働釈放(受刑者を外部へ「出勤」させる更正制度)の移動に使うバスで、遺体の身元は受刑者のアントアネット・ステラ。来月で刑期を終える予定だった。検死の結果、脱獄をはかったのではなく、殺害された後に車体に縛り付けられたものと判明。死因は頭部の打撲で、傷口には凶器を覆ったと思われる白い繊維があった。

ニックとサラは刑務所へ向かう。アントアネットは「ベビーガール」という愛称で呼ばれ、受刑者たちからは好かれていた。8日前に、ネックレスを隠し持っているところを見つかり、房を移されていた。房にも駐車場にも争った形跡はない。そのバスは、労働釈放の数時間前に受刑者のファニータが清掃していた。バスの床には血液と精液の跡があったが、受刑者には夫や恋人の面会は許可されていない。血液はアントアネットの血で、精液はバスを運転していた看守ダグのものだった。さらにアントアネットが妊娠していたことも判明し、DNAから父親がダグであることもわかる。ダグはアントアネットと関係したことは認めたが殺害は否定する。

アントアネットの遺体を固定していた布から、縛り付けた人間の上皮細胞が発見された。だがDNAの性染色体はXX――女性だった。

ロビンス医師は遺体の頭部を煮て頭蓋骨を露出させる。骨に残った傷跡から凶器の形状を調べるためだ。照合の結果、凶器は監房のロッカーの鍵とわかる。アントアネットは、8日前に房を移される前は、バスの清掃係ファニータと同じ房にいた。ファニータの房の鍵には血液反応があり、ファニータの靴下には血がついていた。靴下に鍵を入れて凶器にして、アントアネットを殴ったのだ。

ファニータとアントアネットは房で恋愛関係にあり、腕に同じタトゥー(ハートの半分と半分)を入れていた。だがアントアネットは妊娠し、ファニータは裏切られたと感じた。その後アントアネットが房を移り、さらにバスの中でダグと関係していたことを知り殺害。だが、アントアネットが房を移ったのは、ネックレスを隠し持っていたための罰であり、そのネックレスはファニータへ贈るつもりだったのだろう――。

アダント・アダムス殺害事件

グリッソム、ウォリック、ヴァルタン刑事担当。アダント・アダムスという若者が、兄ゼロ・アダムスのアパートでナイフで胸と背中を刺されて死亡。背中には4つの傷が平行に並び、刃物がまっすぐ入ってまっすぐに抜けた状態。防御創も見られなかった。ナイフの柄には白い塗料が付着。兄のゼロは知的障害で特殊学校に通っていた。学校へ行く前にアダントが来て「おれたちは金持ちになる」と言ったという。

ナイフには、ゼロの後見人サミュエルズの指紋があった。彼はナイフを抜いたことは認めたが殺害は否定。ゼロがやったのか、それだけが心配だったという。2人の両親はゼロに遺産を残して他界し、サミュエルズはゼロが14歳の時からずっと後見人をつとめてきた。

アダントの胃の中から丸めた紙が発見された。調べてみるとカジノの借用書であった。ウォリックは監視ビデオを借りてアダントの行動を追跡。アダントはカジノでブラックジャックをして10万2300ドル負け、さらに1万ドル借りて負け、すべて失っていた。ゼロの口座を調べると、犯行の日に10万2000ドルが引き出されている。ゼロとサミュエルズがサインしていたが、実際にサインしたのはサミュエルズではなくアダントだった。アダントは以前、デイトレーディングで自分の貯金を失っており、ゼロの預金を借りようとしてサミュエルズに怒られたことがあった。

グリッソムは、証拠を脇に置いてアダントの気持ちになってみる。カジノで兄の貯金を使い果たし、さらに借金を重ねてそれでも負けて絶望していたアダント。その気持ちを証拠に当てはめてみると――。

ウォリックは現場へ戻り、扉と壁の隙間に白い塗料が落ちているのを発見。ちょうどアダントの胸の高さの位置に、何かを押し込んだ跡があった。アダントはそこにナイフをはさみ、何度も背中をぶつけて自分を刺した。そして最後に胸を刺したままナイフを隙間からはずし、床に倒れて死んだのだ。他殺に見せかけることで、ゼロに死亡保険金が払われるようにした。だが自殺と判明したため、保険は無効。サミュエルズも司法妨害の罪を犯したため、ゼロには新しい後見人が付けられることになった。


感想

オープニングに主任がいないと思ったら、珍しくBプロット担当だった。出番少ない~。

道路を走っていたら、いきなりフロントガラスに腕! びっくりだけど、どうやってあんな方向に飛んできたんだろう。布がゆるんで腕が地面にこすれてちぎれたとすると、そのまま後輪に轢かれてつぶれそうな気もするけど……横に転がって対向車にぶつかって跳ね返ったのかなぁ。

……あまり細かく想像しない方が良いかも。

主任の出番が少ないのは中の人のスケジュール調整なのかよくわからないが、珍しくサラが虫薀蓄を披露していた。その知識の元が何と! 主任からクリスマスにプレゼントされた昆虫図鑑を見たからですと? 何か、ちょっと想像がはたらいてしまうエピソード。これはあれかな、『コールド・バーン』のすぐ後のクリスマスかな?

さらに、シェイクスピアの引用も今回はロビンス先生担当。ベビーガールのドクロ(日本語タイトルですね)を手にして “Alas, poor Yorick. I knew him, Horatio.” とハムレットの台詞を。タイトルといえば原題の「XX」は犯人が女性であることを表しているのだが……受刑者はDNAを記録されていないのだろうか。DNAは性犯罪者だけなのか。いやNYのエピでは、被害者のDNAも記録されていたから、捜査の過程で調べたデータだけが保存されるのかもしれない。ファニータの事件では調べる必要がなかった、ということかもしれない。

さて主任の事件は、保険金詐欺未遂。カジノで一攫千金なんて、何でそんなことを考えてしまうんだろう。いや、考えつくところまではわからなくもないけど、1回で10万ドルは使いすぎだ。あんな手の込んだ自殺方法を思いつくのに、その頭を何で他のことに使わないんだ。

同じように保険金を残そうとして失敗した事件は以前のシーズンにもあって、その時にも書いたことだが、こういうやり方は失敗してもやり直せないんだから、やらないにこしたことはない。貯金も弟も後見人も、すべて失ってしまったゼロがただただ可哀想。金持ちになることなんかより、アダントとサミュエルズがそばにいることの方がずっと大切だったはずなのに。


単語帳

  • work release:労働釈放(受刑者が出勤してフルタイムで労働するという更正制度)
  • cochineal:コチニール(虫からとった色素)
  • peace officer:保安官、警察官

Yoko (yoko221b) 2006-04-30

csi/s04/086_xx.txt · Last modified: 2020-05-16 by Yoko