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CSI - Season 4, Episode 18
#87 Bad To The Bone
- 邦題:「骨の音」
- 脚本:Eli Talbert
- 監督:David Grossman
- 初回放映:2004-04-01
Giving me Martin … was the only good thing that Walter ever did.
I don't know why he did it. But it wasn't out of the goodness of his heart.
事件概要
トニー・スキアラー殺害事件
カジノで誰かを追って駐車場へ出て行った男、トニー・スキアラーが殺害された。頭部が傷だらけだったが、カジノのチップなどは盗られていなかった。血痕や傷の形状、被害者の手や膝の跡から、加害者は一人で、しかも素手で殴ったものと思われた。検死官もこのような殴り方は初めて見ると驚く。
監視ビデオをチェックすると、駐車場へ行く前、トニーの横で誰かが彼のチップをこっそり掠め取っていたことがわかる。それに気づいたトニーが怒り、口論になっていた。相手の男はウォルター・ダリアン。ブラス警部はダリアンをホテルのレストランで発見して逮捕する。血痕や毛髪などの証拠から、ダリアンの犯行であることは確実だった。
ウォルター・ダリアン死亡事件
スキアラー事件で逮捕したダリアンの取調べ中、グリッソムが爪の下から証拠を採取していると、ダリアンが突然激昂してグリッソムにつかみかかる。制服警官が3人がかりで警棒を使ってやっとのことでダリアンを静かにさせた――と思ったら、ダリアンは死亡していた。死因は殴られたことではなく、不整脈。心臓が大きいことと熱が高かったこと以外に、特に異常な点はなく、薬物を常用している形跡もなかった。
保安官はダリアンの妹ベスに状況を説明するが、ベスは普段から粗暴な兄から距離を置いており、すべて終わって安堵しているとさえ言う。体温が高いのはは子どもの頃からそうだったらしい。
ウェイトレス失踪?事件
サラとニックはダリアンの車を調べる。中には、さまざまな物が山のように積まれていた。殺害時に着ていた服、数千ドルはありそうなチップの山、値札が付いたままの服。その中に「リビー」という名札のついたウェイトレスの制服があった。制服に焼け焦げた跡があったため、2人は事件性があるのではないかと疑い、その店を訪れる。だが「リビー」というのは8年前に1日働いただけだと言われ、情報は得られなかった。後に、リビーはウォルター・ダリアンの妹ベスのことであると判明(「リビー」も「ベス」もエリザベスの愛称)。
マリッサ・クリアリー殺害事件
ダリアンは郊外にモーテルを所有していた。部屋はがらくたで埋まっており、神経症のため物を捨てられないものと思われた。グリッソムとウォリックは、庭に不自然なセメントの塊が埋められているのを発見する。セメントを壊して掘ってみると、中には白骨化した遺体があった。そばには、大型のナイフ。ダリアンは素手で戦うのではないか、とブラスは不審に思う。
白骨の主は二十歳前後の白人女性。死因は絞殺だが、殴打されたような跡もあった。ニックとアーチーは、コンピュータを使ってバーチャルに顔を復元する。DNAを調べるが失踪人データベースには該当なし。だが調べた時に、骨盤の中には別人(親子関係のある男性)のDNAがあったことがわかる。外部から父親のDNAが付着したとしても、骨盤の中に何年も残存するはずはない。骨の形状から出産経験がないこともわかっていた。他の遺体も存在していなかった。つまり彼女は男の子を妊娠しており、胎児は産道以外の経路で取り出され、へその緒にDNAが残ったとしか考えられなかった。
ウォリック、キャサリンらはダリアンのモーテルから大量の「証拠品」の山を運び出す。その中には、マリッサ・クリアリーという女性の免許証を入れたスーツケースや、毛髪の付着した赤い野球帽があった。中にはマタニティ用の服と、妊娠した女性が男性とともに映っている写真。歯形から、白骨の女性はマリッサとわかる。ウォルターがマリッサを殺害してナイフで赤ん坊を取り出したのなら、そして彼が「物を捨てられない」神経症であるなら、赤ん坊はどこにいるのか。
マリッサの夫ショーン・クリアリーは、8年間マリッサの消息を知らなかった。マリッサは妊娠中に彼とけんかして家を出て行った。その後、マリッサから別れを告げる手紙が送られてきたので、ショーンは失踪人として届けなかった。手紙はワープロで打たれ、署名だけが手書きだったが、その署名はマリッサの筆跡ではなかった。プリンタの種類も、ダリアンが持っているものとは異なっていた。
野球帽の毛髪はマリッサの息子と判明。しかも、この毛髪はせいぜい2~3年しか経過していない。
ショーンに送られた手紙の消印はヘンダーソン。ダリアンのモーテルはスローンにあり、ヘンダーソンとは離れている。わざわざ手紙を投函しに行くような場所ではない。ヘンダーソンに住んでいたのは、妹のベスだった。ベスの家を訪ねたグリッソムは、火傷の跡から彼女が謎のウェイトレス、リビーであると知る。そしてベスの元には、8歳の金髪の男の子が住んでいた――。
ベスの話では、8年前にウォルターが突然夜中に現れ、ベスに赤ん坊を押し付けたのだという。ウォルターは、モーテルで泣きながら電話をするマリッサの声にイラつき、彼女を絞め殺した。そしてナイフで腹を割いて赤ん坊を取り出し、その赤ん坊をベスに渡して行ったのだ。ベスはスーツケースの中を見て、父親が苦しまないようにと絶縁の手紙をでっち上げて送付し、そのままマーティンを自分の息子として育ててきたのだった。マーティンを自分に渡したのは、ウォルターの唯一の善行だった、とベスは言う。
感想
うーん、何だかよくわからない事件だ~。脚本を書いたEli Talbertのコメンタリーも一応聞いてはみたんだけど、よくわからない。でも、それによると「人生は混乱であり、人は時として理由もなく邪悪な振る舞いに及ぶ」ということらしいので、わからなくても良いのかもしれない。
事件を整理してみると、
8年前:
- ベス(リビー)がウェイトレスを1日でクビになる
- ウォルターがモーテルの宿泊客マリッサを殺害
- ウォルターがマリッサの荷物と赤ん坊とをベスの家に持って行く
- ベスが絶縁状を偽造してショーンに送りつける
2~3年前:
- ベスがウォルターのモーテルへ行き、マーティンの帽子を置いて帰る
日付不明:
- ウォルターがベスの制服を車に置く
- ベスがマリッサのトランクをウォルターに返す
まぁ、すべては8年前に起きたということかな。ウェイトレスの制服をウォルターが持っていたのは、ベスがそれをウォルターに見せて「仕事を1日でクビになったばかりなのに、赤ん坊なんて育てられないわよっ」と言った(でも効果がなかった)とか、そういうことでもあったのだろうか。
ベスがマリッサのトランクをいったんは手にしながら(ショーンの住所を知り手紙を送っているから)、それをウォルターに返したのは、2~3年前、マーティンをウォルターのもとへ連れて行った(少なくとも帽子を持って行った)時だろうか? 想像するに、マーティンが学齢期になり、父親がいないことを気にするようになったので、トランクを見つけて真相を知る前に……ということではないか? と思うのだが。でも写真や免許証なんてそれこそ捨ててしまえばいいのに。ベスも、兄ほどではないが物を捨てられない人なのだろうか。それとも勝手に捨てるとウォルターが怒るから?
で、マーティンは今後どうなるのだろう。ベスが何らかの罪に問われるとしたら、実の父であるショーンに引き取られるのだろうか。ベスはマーティンを可愛がって育てていたようだから、何だかそれも可哀想なような……。マーティンにとっては、正式にベスの養子になれればいちばん良いだろうと思うのだけど。赤ん坊の時から育てているのだから、タミー・フェルトンのような問題はないと思う。
さて、このエピソードには残された謎もいくつかある。ラストシーンは、ウォルターの家から大量に押収した「証拠品」の山から、主任が血の付いたシャツを出すところなのだが……。これは誰のシャツ? 他にも被害者がいるのか? ウォルターが「帝王切開」した時に着ていた服かと思ったが、この血痕は外側からはねかかったのじゃないよね。どう見ても内側からしみ出した感じ……。だ、誰のシャツなんだ!
コメンタリーによると、Eliのもとには真相を求めるメールが大量に寄せられているとのこと……それはそうでしょう。
しかし最大の謎は! あれだけすぐに怒り、怒りを抑えるすべを持たず、5メートル歩くたびにトラブルを起こすようなウォルターが、なぜ今まで逮捕されずにこられたのだろう?
主任とウォリックが遺体を掘り返す時の、ちょっと独特なBGMは、アインシュテュルツェンデ・ノイバウテンのアルバム “Perpetuum Mobile” に入っている曲で、ちゃんと歌詞も字幕(UK版DVD)に入っていた。ドイツ語なので意味は調べてないけど。
♪EINSTÜRZENDE NEUBATEN:
Ein Seltener Vogel
Was für ein seltener Vogel
Ein seltener Vogel
Der sehr sanft singt
Gefieder ohne Färbung