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csi:s05:095_harvest

CSI - Season 5, Episode 3

#95 Harvest

  • 邦題:「天使の生き血」
  • 脚本:Judy McCreary
  • 監督:David Grossman
  • 初回放映:2004-10-14

You're probably the first person in her life to think only of her.

事件概要

アリシア・ペレス殺害事件

アリシア・ペレスという13歳の少女が行方不明になった。母親のシビルが放課後に学校へ迎えに来るが、その日は朝から欠席。そこへアリシアの姉エイプリルから「アリシアが連れ去られた」と電話が入る。アリシアを連れ去ったのは、ひげを生やした黒人の男だったという。その時のシビルのシャツには血がついていた。

アリシアが連れ去られた現場はコンビニの前だが、店員はアリシアの姿も犯人の車も見ていなかった。店内にいたエイプリルが、外に向かって手を振り、次の瞬間悲鳴を上げたという。店の外に設置した監視カメラはダミーだった。

エイプリルは、アリシアが車の中で私服から制服に着替えたと言うが、荷物の中に着替えは入っていなかった。エイプリルは素行が悪く勘当されていたが、アリシアとは時々会っていたらしい。

アリシアは、インターネットで臓器移植について調べていた。ベッドカバーの端には “I Hate Mom & Dad” と書かれ、日記には「手術のことを考えてよく眠れない」とあった。アリシアの兄ダニエルは腎臓が悪く、アリシアがドナーになって移植手術をする予定だった。そのために好きなサッカーも断念したので、本心ではあまり乗り気ではなかったようだった。

ペレス家とアリシアの通学路、誘拐現場のコンビニを含む地域には、性犯罪の前歴を持つ者が大勢居住していた。通学時のアリシアを怪しい男が見ていたという目撃情報もあった。誘拐を計画しそうなプロファイルと地域で絞り込み、マーロン・ウェイロードを発見。エイプリルが目撃した誘拐犯、通学時の怪しい男のプロフィールと一致するが、結局事件とは無関係と判明した。

アリシアの遺体が発見される。遺体は毛布に包まれ、死後に服を着せられた形跡があった。下着を着けていなかったが、性的暴行は受けていない。毛布には血痕があったが防御創などの外傷はなかった。背中には何か細長い筋状の痕がついていた。骨に針を刺した痕があることから、アリシアは少なくとも2回、骨髄移植のドナーになっていたことがわかる。そして、アリシアが死亡したのは、「誘拐された」日の未明から午前4時の間。つまり誘拐の話は嘘だったのだ。

ダニエル・ペレスは10歳の時に、急性前骨髄球性白血病と診断された。移植が必要だったが、家族の誰も適合しなかった。混血だったこともあって骨髄バンクにも適合者はなく、残る方法は、適合する子どもをもうけることだった。アリシアはダニエルに血液と骨髄を提供するために生まれたのだった。

エイプリルのアパートのゴミ箱には、MapQuest の地図があった。経路は、マーロンの家から「誘拐現場」になったコンビニまで。だが地図をダウンロードしたのはシビルだった。ペレス家を捜索すると、アリシアを包んでいた毛布と同じ色の繊維、アリシアの身体についた筋状の跡と一致する三脚があった。

アリシアに薬を与えて殺害したのは、兄のダニエルだった。ダニエルはアリシアがこれ以上自分のために犠牲になることに耐えられなかった。アリシアに外傷がなかったのに毛布に大量の血液が付着していたのは、アリシアから輸血を受けたダニエルが鼻血を出したためだった。その後、ベレス夫妻は勘当していたエイプリルまで動員し、一家総出で偽装工作をして誘拐事件をでっち上げたのだった。

殺害事件

被害者の氏名は不明。23歳の女性で、バス停で襲われ殺害された。


感想

すごくショッキングで、見た後は暗澹とした気持ちにさせられる話。冒頭でアリシアを迎えに来たシビルがエイプリルからの電話を受け、「誘拐現場」へ行ってひどく取り乱したところを見せる。最初に見たときは特に何も思わないのだが、もう一度見直す時、これはもう演技だとわかっている。何時何分に電話をかけて何と言うか、事前に決めてあったのだろうか。あの取り乱しようは娘が死んだからなのか、それとも偽装工作がばれないかという不安でオーバーアクションになっているのか。

ダニエルが自殺を選ばずアリシアを殺害することを選んだ理由は、よくわからない。本当に信仰からのことだったのか。それとも、何事もダニエルが中心だった家庭で、彼が死んだ後アリシアが幸せに暮らせるはずがないと思ってのことだったのか。うーん……自殺が良いとは決して言わないが、殺人より罪深いとも思えない。殺人よりも自殺が厳しく禁じられているとしたら、それは権力者が民衆をコントロールするためではないのかな? 何にしろ、すっきりしない部分が残る。

「神様がお許しにならないから」――これを教条主義的に突き詰めていくと、「禁止されていないことは何でもやっていい」となってしまうのだろうか。ダニエルがなぜ、移植はこれで最後にすると誓わせたのか、両親がそれを理解していれば「腎臓のことまで誓っていない」なんてあっさり反故にできるはずがないと思うのだ。

それにしてもこの母親は、本当に自分たちのことしか考えていないのだなぁ……マーロンに対しても、自分の罪を着せておきながら、それを棚に上げてあれは悪人だから当然、みたいな言い方をする。性犯罪(特に子どもへの)は絶対に許せるものではないが、だからといって他人の罪までかぶらねばならない法はない。キャサリンに対しても、キャサリンの仕事を増やして時間を奪ったのは自分なのに、何であそこまで尊大な物言いができるかなと思う。

個人的にCSI史上でも最低の部類に入ると思っているのが、シーズン4「残酷なスリル」のBプロットで娘を殺した母親なのだが、それを思い出して「少なくともあの人は、自分の娘を対等な他者として見ていたよなぁ」などと思ってしまった。もっとも、それが問題だったわけだし、くらべてどうこう言う話でもないけれど。

ただ、両親がもっと同情すべき人たちとして描かれていたら、もっと救いようのない、暗い結末だったかもしれない。どうしようもなく利己的で同情や共感を呼ばない、そんな描き方だったので、かろうじて「悪が報いを受ける」的な体裁を保てたのかなという感じ。どれだけ暴言を投げつけられようが、キャサリンにはまだ時間があるものね。前途多難そうではあるけど。

何でも、このエピソードはジョディ・ピコーの “My Sister's Keeper”(邦訳『私の中のあなた』)という小説とよく似ているらしい。Amazonのページで概要を読んでみると、ストーリーはちょっと違うみたいだが、状況設定は確かによく似ているように思う。実話がヒントになっているらしいので、あるいは元ネタが同じ話だったということかもしれない。

ところで tv.com のページに「リンゼイの服が黒からピンクに変わっている」という Goof の指摘があったけど、黒のトップに見えてるのは、バックパックの肩紐の部分じゃないのかな。しかしシーズン2の「倒錯の館」でキャサリンは「うちの子は7歳」と言っていたのに、3年後の今回なぜか12歳に。

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今回はニックが、拳銃の試験に不合格だったという理由で現場からはずされてしまい、出番が少なかった……。でも拳銃を携帯するならちゃんと練習しないと! だってマイアミでは(以下略)


単語帳

  • immunosuppressant:免疫抑制
  • give sb the creeps:誰かをぞっとさせる
  • acute promyelocytic leukemia:急性前骨髄球性白血病

Yoko (yoko221b) 2006-07-21

csi/s05/095_harvest.txt · Last modified: 2024-02-18 by 127.0.0.1