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CSI - Season 5, Episode 13
#105 Nesting Dolls
- 邦題:「人形の牢獄」
- 脚本:Sarah Goldfinger
- 監督:Bill Eagles
- 初回放映:2005-02-03
- He needs a translator, 'cause you're not even speaking the same language.
- That's the best part.
- Best part of what?
事件概要
スヴェトラーナ・メルトン/ジェーン・ドゥ殺害事件
スイングシフト/ブラス警部担当。建設現場で、タールで固められた女性2名の遺体が発見される。事件を知ってグリッソムが興味しんしんで駆けつける。タールはマイナス200度(華氏?)くらいで脆くなるので、液体窒素で冷やしながらタールを取り除くが、グリッソムははがした拍子に頭蓋骨を壊してしまい、「サラをヘルプに」と言って逃亡。サラはタールに残った痕から被害者の顔面を復元する。
上の被害者の死因はおそらく、頭部を強く殴られたことで、顎にも骨折して治療した形跡があった。どちらの被害者も指先が切断されていた。土壌の分析から、下の被害者は少なくとも5年前、上の被害者は約2年前に埋められたことがわかる。
サラは病院で顎に怪我をした女性の記録を調べ、上の被害者スヴェトラーナ・メルトンを探したス。夫のメルトンは、スヴェトラーナは2年前に失踪したと話す。失踪後、メルトンはDV容疑で逮捕されたが釈放され、その後別の女性と再婚していた。メルトンは、スヴェトラーナとも現在の妻ともエージェンシーを通じて出会っていた。
尋問中にサラの口調がどんどん辛らつになり、見かねたキャサリンが注意するが、サラは、メルトンの妻は英語が話せず自分の権利すら知らないのではないかと心配するあまりキャサリンと口論になってしまう。それを見たエクリーはサラに苦言し、他にも苦情が多数来ていることとも併せ、1週間の停職を言い渡す。その後サラは、自宅に訪ねて来たグリッソムに対し、自分の両親のことを話し始める。
スヴェトラーナのジャケットには本人以外の男性の血液が付着していた。事件当時、メルトンは自発的にサンプルを提出しており、不一致であることもわかっていた。また、ポケットに入っていた小型辞書には彼女が別の男性と親しげに映っている写真があった。ジーンズにはメモが入っており、ポケットの生地に写ったインクの跡から解読すると “Madam Matryoshka's Tues 9am” という文字が読み取れた。
「マダム・マトリョーシカ」の美容院へ行くと、クロエ・ダニエルズという女性が応対した。スヴェトラーナは以前、その店でヘアドレッサーとして働いていた。ただし、それは名目上で実際はロシア人花嫁の斡旋。スヴェトラーナと一緒に写っていた男はケン・ウェルストンという美容院の客で、スヴェトラーナから夫が暴力的だという話を聞かされていたという。
スヴェトラーナのジャケットの血はケンの物。ケンの自宅のカーペットに付着していたタールは、遺棄現場のタールと同一だった。ケンは、スヴェトラーナの顎を殴ったことを認めた。夫のもとから逃げるため、本人から懇願されて家庭内暴力をでっち上げようとしたのだ。
スヴェトラーナのシャツに付着していた血はすべて本人のもの。また、血のように見えたヘアダイもあった。ヘアカットに使用する鋏は、指を切断した刃物の形状に一致する。マトリョーシカのサロンを捜索すると、壁に血の痕があった。そこに並んでいた椅子の覆いを外すと、そこにはスヴェトラーナの顔面が血とヘアダイで魚拓のように残っていた。
顔面魚拓の形は写真に写ったスヴェトラーナの顔と一致。その写真に写っていたネックレスは、メルトンの現在の妻が身に着けていた物とわかる。調べると、留め金の部分にはスヴェトラーナの血が付着していた。メルトンは、スヴェトラーナがDVをでっち上げたことに怒り、彼女を殴って死なせてしまった。そこへやって来た従業員のヴラドが遺体を処理したのだ。ケンの家にタールがあったのは、ヴラドが失踪を偽装しようと工作した時に落とした物。5年前に埋めたのは、ヴィザなしでスーツケースに隠れて密航した女性。到着時には死亡していたので、仕方なく埋めたのだという。
感想
タールで固まった死体に興味しんしんな主任がいい。頭蓋骨を壊しちゃった時の「しまった」な表情もお茶目。最初の方の展開では、中盤からあんな深刻な話が飛び出すとは思いもよらなかった。
今回の事件、夫の犯行の裏づけがちょっと弱いのでは……と思った。ネックレスなんて、鎖にかぶれて血がつくこともあるし。結局決め手はヴラド(本名はヴラヂーミルさんかな)の証言だけではないんだろうか。そのへんは取引で何とかするのかな。
メールオーダーブライドや顔面魚拓と、けっこう充実した内容だったと思うが、印象の強さという点では、やはりサラのエピソードに食われてしまったかな。
個人的には、事件に対する取り組み方を何でもかんでも個人の過去に結びつけるやり方は、あまり好きではない。基本的にミステリは被害者と加害者のドラマであって、捜査官のドラマではないと思っているから。それに、家族のゴタゴタはキャサリンがやっているし、過去のトラウマはニックの件があるので、もうこれ以上増やさなくてもいいじゃんよという感じ。
それにしても、2005年1月にはMiamiシーズン3「分かれ道」でホレイショのアレがあって、次の週にNYシーズン1「タングルウッド・ボーイ」でダニーのアレがあって、その次の週にサラのこれですか。私生活カミングアウト強化月間か!
今回のサラの告白は、シーズンの初回でサラが言おうとしていたことだと思うが、今までのシーズンを振り返ってみると、いささか唐突な感がなきにしもあらず。シーズン5まで来たベテランの捜査官にしては……まぁ、毎回ブチ切れられても困るからいいか、と思っておく。これだけシーズンが続いていると、それぞれの人となりにイメージができてくるものだが、自分の思ったとおりに展開すると「~が~なのは当ったり前じゃん」と思うものだし、気に入らない展開だと「~だから~だなんて短絡的すぎ」と思うものだからだ。少なくとも私はそう思ってしまったからだ。
サラの部屋が登場するのは2度目かな。シーズン2「閉ざされた人々」の時と比べてみると、家具の配置が変わっている。以前は入ってすぐの所に机と椅子があり、その奥に1人用のカウチとテレビがあるという、来客を迎えるということを全く想定していないようなレイアウトだったが、今は机が奥に引っ込んで、手前にソファとテーブル。来客用のスペースがある、ということは3年の間に少し社交的になったのだろうか。
下の画像は、シーズン2の部屋(左)と今回の部屋(右)を比較したところ。
玄関のすぐ外の壁が変わっているから、引っ越したのだろうか? 少なくとも冷蔵庫は買いかえた様子。
サラとグリッソムの場面は2人の感情表現が細やかで切なくて、とても良い場面だったと思うが、やはりCSIとしては事件の捜査をしてほしかったなと思うところ(グレイヴヤードシフトは2回連続で事件を担当していない)。それに、その場面に持っていくためにキャサリンの役割にちょっと無理が来ているような気がした。キャサリンってこんな人じゃなかったと思うのだが。サラの傾向を知っているなら尋問に同席させなければ良い話だし(そもそもこれはスイングシフトの事件で、サラは人身御供ヘルプでしょう)、どうも何となくエクリーに「ひっついてる」感じが気になってしまった。
ここはむしろソフィアの役回りじゃないんだろうか? 同じチームになって間がないのだから尋問の手法をめぐって対立してもおかしくないし、エクリーがソフィアの肩を持つのも当たり前だし、グリッソムとの三角関係みたいな緊張感も出せただろうに。まぁソフィアは嫌われ者になっちゃうからそこは気の毒だけど、でもそのために登場したようなものでしょ?(鬼)
でも murder gene(殺人遺伝子)とか言いだしたら、実父と異母弟が殺人犯であるキャサリンの立場は一体……。
— Yoko (yoko221b) 2006-08-20