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csi:s06:127_still_life

CSI - Season 6, Episode 10

#127 Still Life

  • 邦題:「王女メディアの息子」
  • 脚本:David Rambo
  • 監督:Richard J. Lewis
  • 初回放映:2005-12-08

It's hard for anyone to let go of someone they love.

事件概要

ジェシー・マシューズ失踪事件

6歳のジェシー・マシューズが、公園で行方不明になった。母親のカレンがふと目を放した隙にいなくなったという。目撃者の話から、野球帽をかぶった男が男の子を見ていたことがわかる。

ジェシーは学校へ行かず自宅教育を受けており、カレンは隣人と折り合いが悪くほとんど交際がなかった。カレンの両親はすでに死去し、兵士だった夫ドワイトは4年前にアフガニスタンで戦死していた。夫の両親は自分たちがジェシーを育てたいと言っていたが、カレンはそれを拒否。マシューズ家は代々続く軍人の家系であったため、軍隊を思い出させる家を嫌い、4年間ずっとジェシーを2人に会わせていなかった。

その後、「ジェシー」は警察に保護され、一緒にいた男女が誘拐容疑で逮捕される。しかし2人はジェシーを「自分たちの息子」だと主張する。DNA鑑定の結果、その男の子は逮捕された男女の実子アダムであると判明。だがカレンは頑なにアダムを「ジェシー」と呼ぶ。カレンの家にあった歯ブラシから検出したDNAはアダムとは不一致だが、カレンと血縁関係のある男性であることは確実であった。つまり、カレンの息子「ジェシー・マシューズ」は実在し、現在行方がわからないことになる。

カレンが持っていた「ジェシー」の写真は、アダムの一家がWebサイトに載せていた写真をPhotoshopで合成したものだった。2歳までの写真はすべて本物だが、それ以降の写真はフェイク。カレンの両親が最後にジェシーと会ったのも4年前で、それ以降ジェシーの姿を見た者はいなかった。カレンがジェシーを殺したのではないかという疑いが生じる。

カレンの家の庭を調べたが、遺体は見つからない。かろうじて、たんぱく質が地中で腐敗した痕跡と抗精神病薬の痕跡が発見された。薬はカレンに処方されたものと同じだった。すでに精神を病んでいたカレンが夫の葬儀での口論で限界を超え、我が子を兵士にしたくないと思うあまりにジェシーを毒殺して埋め、隣人の犬が腐敗臭に気づいたため遺体を掘り返して別の場所に遺棄したものと推測されたが、それ以上のことはわからなかった。


感想

……暗い。そして悲しい。orz

NYが方向転換して、最近では犯罪の闇と悲哀をベガスが一手に引き受けている感がある。我が子のいない世界に適応できない母、という点ではNYシーズン1の「母の闇」を思い出した。子どもが行方不明になって探し回っていたら実は――という点では映画「フライトプラン」も(ちょっと違うけど)。

冒頭でカレンが公園に敷物を広げてバスケットを開けているシーンや、キャサリンがDNAサンプルを取りに行った時の家の中の様子など、真相を知ってからもう一度見直すと恐ろしい。カレンは1人でバスケットをつめ、1人で車を運転して公園に来て、1人でバスケットを準備したりしていたのかと思うと……。子どものいる家といっても、2歳と6歳では服も使う物も大違いなはずなのに、子持ちのキャサリンが家に入って気づかなかったくらいだ。息子の思い出の中で時間を止めて生きてきたのではなく、幻想の中で成長する息子とともに生きてきたのだろうか。

カレンは何を思いながらPhotoshopで写真を合成していたのだろう。これが「犯罪の痕跡を隠すための偽装」であるなら、まだ理解の範疇だ。カレン・マシューズが私たちと同じ世界に生きているということであるから。でも、やはり違うんだろうな……カレンは本当に、自分の「家族アルバム」を編集しているつもりだったのだろう(犯罪を隠すつもりがあるなら、とっとと別の州にでも引っ越しているだろう)。

ところで、この話ではニック(口ヒゲなくなってた! やったー!)の話にも少し進展が。シーズン5「CSI“12時間”の死闘」の犯人の娘であり犯行の動機でもあったケリー・ゴードンがニックを訪ねて来る。そして「大丈夫か」と聞かれて “Perfect” と答えた!

今シーズンの1話に出たっきりだったので忘れていたが、グリッソムがアーチーに分析させていたテープにも “Perfect” という受け答えが録音されていた。それがケリーの声かどうかはわからないが、何か関連があるのだろうか。ニックはそのテープの音声を聞いていたのか、聞いていたとしたら、ケリーの言葉でそれを思い出しただろうか。どちらとも取れる表情だったので、何とも言いがたいが……何だか、思い出したように小出しにされるなぁ。

他にも、ブラス警部が元海兵隊だったり、主任のパパが植物学の先生で、主任が9歳の時に亡くなっていたことがわかったり、事件のかげでいろいろ設定を小出しにされた回でもあった。


単語帳

  • K9 soldier:軍用犬(canine=犬 と発音が同じ)
  • Bull Run:バージニア州北東部の川。南北戦争で「ブルランの戦い」があった。
  • C-section:Caesarean section(帝王切開)
  • cadaverine, putrescine:カダベリン、プトレッシン(いずれも、たんぱく質が腐敗する時にできる物質)
  • Medea:メディア(ギリシャ神話に登場する、コルキスの王女)。エウリピデスは神話のメディアを題材に悲劇『メディア』を書いた。

Yoko (yoko221b) 2007-02-18

csi/s06/127_still_life.txt · Last modified: 2024-02-18 by 127.0.0.1