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CSI - Season 7, Episode 20
#161 Lab Rats
- 邦題:「模型の鍵」
- 脚本:Sarah Goldfinger
- 原案:Sarah Goldfinger, Naren Shankar
- 監督:Brad Tanenbaum
- 初回放映:2007-04-12
事件概要
ミニチュア模型殺人事件・再考
グリッソム以下CSIたちは、それぞれ現場や検死室に出かけて行く。ホッジスは捜査員のいなくなった頃を見計らい、ラボ仲間のアーチー、マンディ、ヘンリーをこっそり呼び出し協力を呼びかける。いわく、一連の模型殺人に頭を悩ませているグリッソムから、今までとは違った視点で何か新しい手がかりを見つけられないか、極秘に調査するよう依頼されたというのだ。彼らはグリッソムのオフィスから殺人模型を持ち出し、事件について再考する。
1. イジー・ディランシー/「奈落の底へ[後編]」
被害者はロック歌手。現場は自宅のダイニング。死因は麺棒による頭部への打撲。妻、前妻、子守、息子が調べられるが全員シロと判明。模型は現場に置かれており、写真の裏に人形の顔をアップにした写真(絵?)があった。
2. ペニー・ガーデン/「宣戦布告」
被害者は元カクテルウェイトレス。現場は自宅のリビング。死因はリキュールに入れられていたニコチン。同居していた甥と、ペニーから鎮痛剤を買っていた隣人が調べられるが、いずれもシロと判明。ペニーが死ぬ前に暴れて窓を突き破ったたため、模型は製作後に位置を調整され、後になってから自宅に届けられた。クッションの裏には、血を流して倒れている人形の上半身の写真。模型を届けに来た人物は「ロコモーティブ・ビル」という鉄道模型クラブのロゴ入りシャツを着ていた。
3. レイマンド・スアレス/「殺人模型アーニー・デル」
被害者はマンリー・チキン工場の従業員で、現場は同工場内。死因は感電水槽に入れられたことによる感電死。模型は現場の片隅に置かれており、模型内の扉部分に、うつ伏せに倒れている人形の写真があった。同じ工場に勤務する従業員の中に、ロコモーティブ・ビルのメンバー、アーニー・デルがいた。アーニー・デルの自宅には鉄道模型がいくつも置かれており、今までに現場に置かれていた模型の部品は、デルの鋳型で作られたものと判明。アーニー・デルは殺人を告白する動画を残して拳銃自殺。これをもって、模型殺人の捜査はいったん終了となった。
4. バーバラ・トールマン/「予告された殺人模型」
今回の殺人模型は、決行の4週間以上前にグリッソムのオフィスに届けられた。被害者は引退した精神科医――の予定だったが、事前に場所と被害者を特定して囮捜査が行われたため、身代わりのケイマン巡査が犠牲となる。現場はトールマンの自宅のリビング。死因(ケイマン巡査の)は一酸化炭素中毒。暖炉の中に一酸化炭素の発生装置が仕込まれていた。「新たな遺体発見」を報じるミニチュア新聞に例の人形の顔。それとともに、今までの3枚の人形の写真が “you were wrong” のメッセージとともに入れられていた。
* * * * *
ラボ技術者による「特捜班」はDNAラボのウェンディも加え、5人でさまざまな可能性を検討する。一連の被害者と現場に何か共通項があるはずだとにらむホッジスは、やがて漂白剤の存在に思い至る。ディランシー家ではゴミ箱に漂白剤のボトル、バーバラの部屋では花瓶の水に漂白剤が混ぜられていた(バクテリアを殺して花を長持ちさせるため)。マンリー・チキン工場にも漂白剤のドラム缶がある。そしてペニーの家には漂白剤のクーポンが落ちていた。
オフィスへ戻って来たグリッソムは、ホッジスが勝手に証拠品に触っていることを咎めようとするが、ホッジスの「漂白剤がカギ」という説には同意する。一連の犯行が、漂白剤がトリガーになって起したものであれば、4箇所すべてに出入りしている清掃会社の犯行などが考えられる。
感想
フィナーレ前によくある「おさらいエピ」。レギュラーのCSIはほとんど登場せず、ホッジス以下ラボ技術者たちが大活躍。ボビー・ドーソンがいなかったのが残念だけど、誰も射殺されていないからしょうがないか。
模型殺人について、今までの流れの中で自分なりにいろいろ考えてきたことがあったのだが、今回「漂白剤がトリガー」と言われて「う~ん?」と、ちょっと出鼻をくじかれた気分。
えーと、以下、先のエピソードを見ないで書いているので、ぜんぜん的外れかもしれないことをまずおことわりしておくとして、今までいろいろ考えてきたことなど。
歴代の連続殺人犯――シーズン1フィナーレの人、ポール・ミランダ、青ペンキ等々、思い出してみると、それぞれに似通ったタイプ(性別、年齢、人種など)の被害者を選び殺人の方法も同じだった。でも今回の模型殺人犯は、被害者の属性も殺し方もバラバラ。ただし、被害者が男性の時は頭を殴ったり感電槽に押し込めたりと暴力的で、女性に対しては毒殺や一酸化炭素中毒という静かな方法を選ぶという規則性もあるように見える。プロファイリング中心のドラマなら、犯罪の手口(MO)が2種類=犯人は2人組! となるところなんだけど、その可能性はどうだろう。
犯人は何か意図を持って被害者を選び出しているのではないだろうか。例えば、たまたま同じ時期に同じ場所にいて、同じ何かを目撃したか関与した。あるいは、相互に関わりのある何かを所有しているとか。
また、第4の殺人が今までと大きく異なっているのが気になる。模型を現場に置かず、グリッソムに送りつけたこと(もしかして真のターゲットはグリッソム?)。現場で手を下さず時限装置に頼ったこと。その結果、おそらく意図したのとは違う結果になったはずだが、それに対するアクションが特にないこと……。第3と第4の事件の間に、何か決定的な事が起きて犯人が変質したのか。あるいは別人が犯行を引き継いだのか。
……なんてことをつらつら考えていたのだが、う~ん、漂白剤かぁ……。
仮に漂白剤が正解だとすると、単独犯ということになるだろうか。漂白剤がきっかけで殺人衝動が引き起こされるとして、それは毎回異なる殺害方法を取って現れるものなのだろうか。また、漂白剤は具体的にどの時点で何を引き起こしているのか。模型はどの段階で製作しているのか。殺人衝動は実際に手を下さなくても、たとえば一酸化炭素の仕掛けを作るだけで満足できるものなのだろうか。
ホッジスは漂白剤から「ハウスキーパーか清掃員」を連想しているが、漂白剤で殺人鬼に変貌する人がそもそもそういう仕事に従事していけるものなのか(特に虐待の記憶がある場合)。また、ひとくちに清掃業といっても、一般家庭と食肉工場では、規模もやり方も全然違うのでは。
という疑問はあるものの、今回のエピ、これだけいろいろ考えさせられただけで十分面白いものになった。また、ホッジスは本当に良いキャラになったなぁとしみじみ。最初は「何となくヤな感じ」という印象しかなかったし、シーズン4では主任に “what's-his-name” なんて呼ばれていたのに……。ミニチュア模型の世界に入り込んだり、主任に褒めてもらってガッツポーズにスキップって! 可愛いじゃないか!
でも相手に携帯番号知られちゃったよね……大丈夫かな。