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CSI - Season 7, Episode 23
#164 The Good, the Bad, and the Dominatrix
- 邦題:「館の終焉」
- 脚本:Jacqueline Hoyt
- 監督:Alec Smight
- 初回放映:2007-05-10
事件概要
ヘザー・ケスラー&ヴァーノン・ポーター
キャサリン、サラ、ブラス警部担当。西部劇の街を再現したテーマパークで、レディ・ヘザーが首を絞められて倒れているのが発見される。犯行時は深夜で客はおらず、発見したのは夜勤の警備員。ヘザーは、そこでパーティを企画しており、オーナーの許可を得て下見をしていたところだったという。オーナーはジャック・オークリーという人物だが、鍵を開けてヘザーを入れたのは息子のベンジャミン・オークリーだった。
その後、ヘザーの事件を通報した警備員のポーターが、パーク内で射殺体として発見される。銃弾はポーターの体内に1発、酒場に展示されている人形の胸に1発残っていたが、その2つは別々の銃のもの。人形にめり込んでいたのは、パーク内に展示されている昔の拳銃から発射されたものだった。
ポーターの携帯電話にヘザーへの発信記録が残っていたことから、ブラスとキャサリンはヘザーの邸宅へ向かう。だがそこにはグリッソムがおり「一晩中一緒にいた」と彼女のアリバイを保証する。グリッソムはヘザーがレイプ検査を拒否したことや、糖尿病であることを伏せていてショックで死にかけたことを気にしており、「友人として」彼女を訪ねたのだという。
拳銃と弾丸のケースからは、ベンジャミンの指紋が検出される。ベンジャミンは、父親がヘザーに大金を支払っていたことを知って怒り、父を殺そうと銃を持ち出した。だが、父に会いにパークへ行ってみると、ジャックはポーターを撃ち殺していた。ポーターはジャックを恐喝していたのだった。ベンジャミンは父を撃とうとするが、弾はそれて酒場の窓を破り、人形に当たってしまったのだ。
ヘザーがジャックから得た金は「自分を殺すプレイ」の料金だった。彼女は娘ゾーイが死んだ後、ゾーイがアリソンという娘を産んでいたことを知ったが、親権は元夫(アリソンの祖父)のジェローム・ケスラーに渡ってしまっていた。ヘザーはポーターを雇ってアリソンの消息を知り、孫娘に信託財産を残して死のうとしたのだった。グリッソムはジェロームとアリソンを探し当て、2人をヘザーに引き合わせる。
フェイス・マロニー
ニック、ウォリック担当。轢き逃げされたらしい女性の遺体が路上で発見される。氏名はフェイス・マロニーとわかるが、複数の財布を含む金品を大量に所持しており、どうやら窃盗犯らしい。
フェイスは事故に遭う前、レストランからタクシーを呼んでいた。彼女を乗せた運転手、シャンドルー(ドルー)はフェイスを乗せたことを認めたが、彼の供述はタクシーに設置したカメラの映像と食い違う。ドルーがフェイスを降ろしたのは、事故現場のすぐ近くだった。
その後、ドルーの車に同じタクシー会社の運転手、ガスの車が追突していたことがわかる。ガスは客をめぐってドルーと争った後、わざと車をぶつけた。その衝撃でドルーの車が前方へ押し出されてフェイスをはねてしまったのだ。
事故はドルーの責任ではなかったが、ガスは「お前の車ではねたのだから、法律上はお前が責任を問われることになる」と嘘を言って協力させ、事故を隠蔽。移民であるドルーは故国への送還を恐れ、ガスの言葉を信じて隠蔽工作に協力した。結局そのために、共犯者として罪を犯すことになってしまったのだった。
感想
CSIはレディ・ヘザーというキャラクターをどうしたいのだろう。
レディ・ヘザーはSMの館の女主人であり、ラスベガスという街の持つ闇・背徳・倒錯といった要素を体現したような人だと思っていた。なのだが、そういう妖しい面を見せたのって、結局初登場の時ぐらいじゃないだろうか。再登場の時にはなぜかマリッジカウンセラーみたいなことをやっていて、その時も正直「?」とは思ったのだが、支配と被支配のファンタジーを導入することで解決できる人間関係もあるのだろう――と、いろいろ考えて納得した気になっていた。
ところが前シーズンの「怒りの鞭」では……これを見た時はややブチ切れ気味の感想を書いたものだが、私はここで「レディ・ヘザー」という存在は完全に否定されたように思った。
そして追い討ちをかけるような今回のエピソード。キャラが魅力的でも、ネットワークの看板番組でSM行為を肯定的に扱うわけにはいかないのだろうか。レディ・ヘザーに「母性」という属性を与えたのは、結局そういうことなのだろうか? 普段着姿で元夫と孫娘と相対する場面には「これが女として正しい、あるべき姿だ」というメッセージが込められているようで、キリスト教芸術にある「悔悛した罪の女」というモチーフが連想されてしょうがなかった。う~ん、考えすぎかなぁ、そこまでは……。
もちろん、グリッソムはキリストではないし、結末をあのようにしたことが「正しいヒロイン」としてサラを話に組み込むための予告編というわけでもないのだろうけど……とにかく「ヘザーをどうしたいのか」という疑問が最後までもやもやと残ったエピソードだった。
事件の方もジャックとベン、ベンとポーター、ジャックとポーターの関係が説明不足だし、ジャックがヘザーを「殺害(自殺幇助?)」しようとした状況も整理されていなかったように思う。トイレに詰まっていた下着はジャックの? ジャックはヘザーの首を絞めた後にムラムラしてトイレで射精してノーパンで帰ったのだろうか(それ、すっごい変。というか間抜け)。無理に2プロットにしなくて良かったんじゃないかなぁ、片方だけで事件が2件起きているのだから。
もうひとつの事件も、ガスが何のためにドルーの車にぶつけたんだろうとか、今ひとつスッキリしなかった印象。それから、ウォリックが被害者のバッグを持ち上げた時の台詞が “heavier than my kid” となっていたけど、いつの間に子どもが?! それともこれはCCの誤植で本当は “kit” だったとか?(ウォリックのキットは常に完璧だから重そうだ)
次回がフィナーレなので、模型殺人も解決するはず? なのだが、今回はグレッグがアーニーの里子についての調査結果を報告しただけ。進んでいるのは主任の模型製作だけで、捜査よりそっちに夢中なんじゃないかという心配が……。でも主任の模型もすごく精巧だわ~。やっぱり主任なんじゃないの、模型殺人犯。(嘘)
— Yoko (yoko221b) 2008-11-02