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CSI - Season 7, Episode 24
#165 Living Doll
- 邦題:「殺人模型の正体」
- 脚本:Sarah Goldfinger, Naren Shankar
- 監督:Kenneth Fink
- 初回放映:2007-05-17
I took away the only person she ever loved, so she's going to do the same thing to me.
事件概要
トレヴァー・デル
グリッソムらのチームは模型殺人事件の捜査を継続し、死亡したアーニー・デルの家にいた里子たちの行方を調べていた。そのうちの1人、トレヴァー・デルの住所がわかり、グリッソムとブラスが出かけて行くが、トレヴァーは既に死亡していた。遺体のそばには漂白剤の大きなボトルがあり、リビングにはトレヴァーの人形が置かれていた。ただし、ミニチュア模型はなく人形が1体あるだけで、特に現場や遺体の状態を模した形跡はない。
グリッソムはトレヴァー人形が装着していた銀のブレスレットに注目する。そのブレスレットは本物のトレヴァーが身に着けていたものと同じデザインで、サイズも小さく手作りが困難なため、専門の業者に発注した可能性があった。グリッソムは模型愛好家の集まる掲示板で、そのような細工のできる店を調べる。
しかし、その後トレヴァーの死因は感電とわかる。改めて浴室を調べてみると、隣室の住人がトレヴァーの浴室からこっそり電気の配線を引いて電気を盗んでいたことがわかる。洗面台が割れて水がそのケーブルにかかったため、トレヴァーは感電してしまったのだった。トレヴァーはフィギュア好きだったため、人形は単なるプレゼントであると考えられた。
サラ・サイドル
グリッソムは金属細工を請負っている店を訪ね、「ナタリー」という名の女性がブレスレットを注文したことを知る。ナタリーは数日前にも、電池で動く小型のモーターを買っていた。
アーニー・デルの里子の中には、ナタリー・デイヴィスという女の子がいた。ナタリーは6歳の時、妹のクロエを2階から突き落として死なせており、その後里子に出されたのだった。クロエはミニチュアの人形のように地面に倒れ、父親は泣きながらクロエの血を漂白剤で洗い流した――腹話術師であるナタリーの実父は、クロエと名づけた人形を使って、グリッソムとキャサリンにその出来事を語って聞かせる。
ナタリーは一度見た情景を細部に至るまで正確に記憶できるという能力を持っていた。アーニーはナタリーが成人してからも一緒に模型作りを楽しみ、ナタリーに頼まれて事情を知らぬままペニー・ガーデンの家に模型を届けていた。だが、レイマンドの事件でナタリーの関与を知ったアーニーは「もう絶対に人を殺してはいけない」と約束させ、自ら罪をかぶって自殺したのだった。
グリッソムがオフィスへ戻ると、そこには新たなミニチュア模型が置かれていた。砂漠らしき場所で、裏返しになった車の下で人形が倒れている。グリッソムはそれがサラの人形であることに衝撃を受け、急いでサラと連絡を取ろうとするが、サラは行方不明。グリッソムは、ナタリーが清掃員としてラボに出入りしていたことを知る。
人形は電池式のモーターで手を動かしているため、サラはまだ生きている可能性があった。車の登録番号は、6週間前に事故でスクラップになった物。捜査を担当したのはサラで、現場写真には野次馬の中にナタリーが写っていた。ナタリーは、現場でグリッソムとサラの親密な様子を見て2人の関係を知った。そして、自分が唯一愛したアーニーを奪って行ったグリッソムに対して、同じことをしようとしたのだった。
グリッソムはミニチュア工作のコミュニティに “NOTURLITTLEBISQUEDOLL” すなわち “Not UR(=your) Little Bisque Doll” というハンドルを見かけたことを思い出し、それがナタリーだと確信。オークションの落札結果から現住所を突き止め、ナタリーの身柄を確保する。
グリッソムは何とかサラの居場所を聞き出そうとする。ナタリーは「サラを殺していない」と言うものの、その後は常軌を逸したように切れ切れの歌を呟くばかり。その頃サラは、模型のとおりに車の下敷きになり、抜け出そうと必死にもがいていた――。
感想
ようやく模型殺人犯の正体が明らかになり、色々な点で驚かされたエピソード。まず、犯人が女性だというのが意外(女性の連続殺人犯はひじょうに珍しい)。まぁ、このシリーズには(現実には滅多にいないとされる)女性爆弾犯もいたので、女性の連続殺人犯もいて当然なのかもしれないが。今にして思えば、この犯人の代名詞として “he” が一貫して使われてきたのは、ミスリードのためだったのか。
また、犯人が「犯人」として最初から登場するとも思わなかった。上述したような先入観のせいもあるが、「もっともらしく見せてるけど、この娘はフェイントで犯人は別にいるんでしょ?」とか思いながら見ていたら、まんまこいつかよ犯人! みたいな。うーん、あの細腕でイジー・ディランシーを一撃で撲殺し、レイマンドを水槽にぶち込んだのだろうか……彼女は建設現場で働いていたこともありそうだし、ああ見えて実はけっこう力持ちなのかもしれない。
いや建設現場というのは単なる想像だけど、スクラップになった車を砂漠のどこかへ運搬して、引っくり返してサラの上に乗せようと思ったら、レッカー車とかクレーンとか扱えないとダメなんじゃないかと……。ついでにバーバラ人形への凝り方から察するに、病院かモルグで働いた経験もありそうだ。
今回は、珍しく時系列が一定していなくて混乱する。冒頭のコンビニの場面では、TVのニュースでハッピーの事件(「ゾンビボクサー」)を「昨夜」と言っていた。また、ナタリーは「1ヶ月以上」ラボで清掃員をしているので、面接の場面はかなり前の出来事ということになる。
- 4月6日:車の事故(一瞬だけど日付が画面に映った)
- 4月26日:ハッピーの事件(放映日=事件当日と仮定)。ナタリーがコンビニで漂白剤に遭遇
- 5月17日:今回のエピ(これも放映日)
面接は事故の後くらいに入るのかな?
グリッソムは「今回の犯行は漂白剤がきっかけではなく自分への復讐だ」と判断していたけれど、行動の直接の引き金を引いたのは、やはり冒頭で漂白剤が床にこぼれたことではないの? その時TVのニュースに主任かサラが映っていたんじゃないかと思ったのだけど。このへんも含めて、詳しい事実関係の種明かしは後編(次シーズン)に持ち越しなんだろうか。
……などなど、疑問点は多々あるものの、前後編の前編だからそれも仕方ないかなと思う。ストーリー自体は面白かった。ナタリーのキャラクターも、上述のような疑問は別として、彼女の持つ「壊れた」雰囲気が「ミニチュア模型」の不思議な雰囲気にぴったりハマッていたように感じた。親父さんも変だし……案外この親父が黒幕で、ナタリーを操って殺人指令を出してたりしないだろうか。
ナタリーの工房のセットも良かったし、場面転換時に挿入されるベガスの空撮映像がミニチュア風に加工してあったのも面白かった。え、まさかベガスの模型まで作ったの? と思っていたら、フォーカスがすっと定まって実際の夜景になった。すごい、面白~い。
後半の、サラがサラわれるという、つまんないダジャレみたいな展開についての感想は、次シーズンのプレミアエピでまとめて書くことにしよう。クリフハンガーで、しかも後半の展開の重要な部分がわかっている(中の人の契約問題もあって、色々ニュースになったりしたから)ので、この時点で感想は書きにくいのだ。後編、Grave Danger の焼き直しみたいな事になっていないといいな。
クリフハンガーでハラハラドキドキしようと思ったら、やはり本国ペースで放送を追いかけてないと無理なのね。CSIくらいの人気番組になると、特にスポイラーを探していなくても、何だかんだで目に入ってきてしまうもんね。
— Yoko (yoko221b) 2008-11-03