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csi:s08:178_a_thousand_days_on_earth

CSI - Season 8, Episode 13

#178 A Thousand Days On Earth

  • 邦題:「ベビー・コーデリアの棺」
  • 脚本:Evan Dunsky
  • 監督:Kenneth Fink
  • 初回放映:2008-04-10

事件概要

ベビー・コーデリアことイネズ・バルボア

3歳未満の幼女の遺体が駐車場で発見される。ダンボールに入れられていたが、身体は毛布で丁寧にくるまれ、首には聖ユダのメダルがかけられていた。死因は後頭部への打撲傷だが、身体には薬品をかけられたような火傷の跡があった。身元不明だったため、その少女は発見場所の名前をとって「ベビー・コーデリア」と呼ばれ、世間の注目を集める。その後、コーデリアは髪を染められ、パーマをかけられていたことから、誘拐されて身元を隠しているのではないかと疑われる。

コーデリアが入れられていた箱は電気掃除機の箱で、配達先はノラ・オトゥール。彼女と同棲しているディーン・ジェイムズが実は子どもへの性犯罪歴を持つレオ・フィンリーであるとわかるが、レオは「箱を捨てただけだ」と犯行を否定する。そもそもレオが性犯罪者リストに載ったのは、ドラッグでハイになって裸になったところを、近所の子どもに見られてしまっただけで、小児性愛者ではないというのだ。

一方、刑務所では囚人のドナルド・バルボアがニュースを見て「あれは娘のイネズだ」と言い出す。ドナルドは、同房の囚人だったボイド・ウォルドリップが出所した時に妻の面倒をみてほしいと頼んでいたが、妻グレースはその後自分を捨ててボイドと再婚したのだという。ドナルドは、ボイドが娘を殺したに違いないと主張する。

警察はボイドの自宅へ向かうが、一家の姿はない。ボイドの前妻は彼が収監中に病死し、ボイドは釈放後に自分の子を2人引き取っていた。イネズの髪を染めたのは、実父より新しい家族に外見を似せるためと思われた。台所のシンクの下には、配水管用の洗剤がこぼれた跡と血痕があった。

だがその頃、ウォルドリップ一家はダイナーで人質を取り、立てこもり騒ぎを起こしていた。ボイドは説得に応じて子どもと人質を解放し、グレースと一緒に出て行こうとするが、グレースがよろめいたひょうしにガラスが割れ、その音で警官たちは一斉に発砲、グレースは射殺されてしまう。

ボイドは弁護士を拒否し「自分がイネズを殺した」と言う。だが、キャサリンは子どもたちから真相を聞いていた。子どもたちは3人でかくれんぼをしており、イネズはシンク下にもぐりこんだ。そこでおそらく、何かのはずみで洗剤を浴び、配水管に頭をぶつけたものと思われた。ボイドが発見した時はすでにぐったりしていたが、病院へ運ぶための車がなく、ボイドはイネズを抱いてバスに乗った。だがイネズは途中で死亡、ボイドは前科者の自分は何を言っても信用されないだろうと思って遺体を箱に入れて置き去りにしたのだった。


感想

幼い女の子が殺されて何かに入れられる話だというのは、邦題のおかげで見る前から見当がついていた。ので、段ボールの箱が映った段階で「これか……」と思ったらやはりそうだった。原題の「地上での1000日」はイネスの生きた日数のことだろうかと思うと、さらに鬱々とした気持ちになってしまった。何となくシーズン1「殺意なき殺人」を思い出させる。

このエピソードは、2006年に実際にラスベガスで起きた Baby Jane Cordova 事件が元ネタ。箱に入れられた3歳くらいの女の子の遺体がアパートのゴミ捨て場で発見された事件で、子どもはやはり発見場所の名前を取って “Baby Jane Cordova” と呼ばれていた。現実の事件は虐待による死亡で、両親が逮捕されるという結末を迎えていた(こちらの話では遺棄場所と動機をかなり美化している)。

事件の性質から、娘を持つ母であるキャサリンがいささか暴走気味で、マイアミのエピソードでのアレックスを思い出す。レオとのやり取りでは、メーガン法の抱える問題も提示されており、まぁそれを言いたいがための演出というのはわかるにしても、ちょっと強調しすぎな印象がなきにしもあらず。キャサリン・ウィロウズという個人というより、「子どもを守る」という一言で思考停止に陥っている、戯画的な「母親」像のように見えた。

それにしてもブラス警部だって取調べではかなりキツかったのに、レオが怒りの矛先を向けたのは警部じゃなくてキャサリンなんだよね。相手がキャサリンなのは番組構成上の都合かもしれないが、鑑識員の女性を相手に選んだところは、自分より力の弱い相手で、しかも警官じゃないから簡単には逮捕しないだろう、という計算があったという解釈も可能であるように思う。なので、自殺するつもりなど毛頭なかったと見た。まぁ、実は無実だった被疑者が自殺するというシナリオは、「ラスベガスに別れのキスを」で使ったばかりだから、繰り返しを避けたのかもしれないけど。

メーガン法の功罪について突っ込んでいく余裕はないし、実際に運用されて問題点も指摘されている米国と、まだ導入が議論されているにすぎない日本とではどちらに対しても温度差があるなぁと思う程度か。ただし今回のレオのようなケースは、メーガン法自体の問題というより、運用が不適切だったというレベルの問題じゃないかな、と思う。

CSIのエピソードとしては、イネズの着衣や毛布、聖ユダのメダルからボイドにつながる証拠が検出できなかったことの説明がほしかった。

Yoko (yoko221b) 2009-11-27

csi/s08/178_a_thousand_days_on_earth.txt · Last modified: 2020-04-09 by Yoko