• 邦題：「そばにいてほしい」
• 脚本：Jacqueline Hoyt
• 監督：Kenneth Fink
• 初回放映：2008-11-06

郊外のガソリンスタンドで男性の遺体が発見される。氏名はイアン・ウォレス。両手首を縛られて引きずられたような跡があり、胸部に刺し傷が9ケ所もあったが、それらの傷はいずれも死後のもので、死因は素手で首を絞められたことによる窒息。また、乳輪に針を刺した跡や舌に電気を流したような熱傷があり、拷問を受けた可能性があった。遺体を車の下に隠して運ぼうとしたが、走行中に落下したため遺棄したものと思われた。

グリッソムはレディ・ヘザーを訪ね、被害者がSMプレイのM役をしていた可能性があるという意見を聞く。果たして、イアンの部屋からはSMの道具とSMクラブ「ロウワー・リンクス」のカードが発見される。

イアンはジャスティーン・ステファーニという女性と同居していたが、自宅で採取したサンプルから、イアンは同居人以外の女性とSMプレイを行い、その同じ相手と性交渉を持ったことが判明。レディ・ヘザーは「ジャスティーンは家庭的で古風な女性、イアンは自分の心の闇を彼女に隠していた」と診断する。

イアンの浮気からジャスティーンに疑いがかかるが、彼女はその後、全焼したSUVの中で炭化した遺体となって発見される。状況から、犯人はジャスティーンの手首を縛って車で追い回した挙句に轢き殺し、車ごと燃やしたものと思われた。犯人はその後、現場から別の車で逃走。

ジャスティーンの携帯電話から最後に話した相手がわかるが、相手は生命保険のセールスマンのマーティン・デブリンで、仕事の話をしただけだと主張。だが、イアンのシャツに付着した血痕はマーティンのもの。マーティンはイアンとともに「従者」としてSMプレイを行っており、2人の「支配者」はマーティンの弁護士だった。

弁護士は「ロウワー・リンクス」で女王役を演じ、イアンとマーティンとともに3人でプレイをしていたが、つい興奮してイアンにキスし、マーティンがそれに嫉妬して役割が崩れてしまった。弁護士はイアンを追って自宅へ行き関係を持ったが、イアンは現実とファンタジーを区別するタイプであり、セックスの後彼女を突き放す。その様子を見ていたマーティンが乱入して争いになったが、結局2人とも追い出されてしまったという。

マーティンはその後でジャスティーンに電話し、イアンと弁護士の濡れ場を撮った写真をメールしていたが、写真の送り先はジャスティーンではなくマーシャル・ジェフリーズという人物で、番号はジャスティーンと1番違いだった。慌てて番号を間違えたものと思われた。

3人の関係はわかったが、容疑者の靴のサイズは現場に残るものとは不一致。また、レディ・ヘザーの診断でも犯人は性的サディストであり、一般に孤独を好み、プレイとしてSMを楽しむタイプではないと推測される。イアン宅の裏口は開いていたので、何者かが侵入してもおかしくはない。捜査は暗礁に乗り上げる――。

う～ん……主任のこういう姿は見たくなかったかなぁ。ウィリアム・ピーターセンの降板がすでに決定済みなのはわかるけど、とにかく「主任の辞職」という決められたゴールへ向けて話を進めよう、という意図がちょっと見えすぎてしまっている感じ。サラとウォリックの前例もそうだったが、番組を辞める時は死ぬか燃え尽きるかしないといけないのかな？ 主役が去ることはやはり番組にとってマイナスであるから、明るく描くことはできないのだろうか。まぁ「いつでも戻って来る」的なスタンスでは後に来る人も困るだろうし、それなりに後任の引き立て役になってあげないといけないのかもしれない。そうはいっても、やはりレディ・ヘザーの所に入り浸って捜査資料をホイホイ渡してしまうのは、主任としてどうかと思うけど……。

グリッソムとサラの関係が2人の降板をめぐって一進一退して、どうにも一貫性のないものになっている、と前シーズンでは文句も言ったけど、それはもういい。結局は「自分の見たいものだけ見れば良い」のだと思う。

恋愛描写って（CSIのドラマに入れられるものとしては）そんなにバリエーションもないわけで、かつ万人に支持される展開なんてあるはずもないので、限られた時間内に（つまりシリーズが終わるか役者が降板するまでに）やれるだけやるしかない、と。そういうわけで、

• 恋愛未満のほのぼの
• 苦悩と癒し、受難と救出
• 仕事の合間に愛を育む
• プロポーズにOKしてキャッキャウフフ
• 喪失、別離の悲しみ

というのを、ひととおりローテーションして萌えてみました、ということかと。そういえば、マイアミのホレイショ/マリソルのラブストーリーもこんな感じ（しかもワンシーズンで出会いから別離まで完走）。NYは二人ともレギュラー継続だから別離ネタがまだ……あ、別離は別のカップルでやっちゃったか。

まぁ、なので深く考えず、自分の好きなところだけつまみ食いして萌えておけば良い。そんなもんだ。

事件は結局未解決で「え？ここで終わり？」と思いながら呆然とエンドクレジットを見つめてしまった。後日談はあるのかな？ マーティンが写真を間違えて送った相手のことは調べなくて良いの？ まぁ、そんな写真が届いたとしても、たどれるのはマーティンの携帯までで被害者には結びつかないのだろうけど。

そんなこんなで、いろいろと消化不良な感じのエピソード。BGMのリンキンパークの曲は良かった。

— Yoko (yoko221b) 2011-05-15