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CSI - Season 10, Episode 14
#220 Unshockable
- 邦題:「散り際の美学」
- 脚本:Michael Frost Beckner
- 監督:Kenneth Fink
- 初回放映:2010-03-04
事件概要
ジェイ・ディマーカス
キャサリン、ニック、グレッグ担当。ラスカル・フラッツのベガス公演中、ベーシストのジェイ・ディマーカスが舞台で感電し、病院に運ばれる。キャサリンはジェイの腕にリヒテンベルク図形(木の枝のような模様)が現れているのを見て、通常ではあり得ない高電圧がかかっていたこと、つまり感電は事故ではなく意図的に仕組まれた物であることに気づく。
ニックはジェイの代役を務めたベース管理者のトラヴィスからベースギターを預かるが、それはジェイが感電した時に弾いていたものではなかった。ジェイのギターはゴミ捨て場に捨てられており、グルーピーのマルタがそれを見つけて持ち帰っていた。それは確かにジェイが使った物だが、ギター自体には何も怪しい所はなかった。感電はギターではなくコンセントボックスへの細工によって起きたのだ。
指紋から、感電を仕組んだのは代役のトラヴィスだったとわかる。最年長のトラヴィスは一度ステージに立ってみたくて事故を仕組んだのだ。軽く感電させるだけで、これほどの大事になるとは思っていなかったという。
ヴァンス・コルトン
ラングストン、サラ、キャサリン、ブラス警部担当。ミード湖で年配の男性の遺体が発見される。ラングストンが指紋を調べると、CIAの部長クレイグ・ハリデイがそれを察知してキャサリンに連絡を取り「その指紋の主はCIAで作戦担当次官を務めたヴァンス・コルトンだ」と告げ、協力を提案する。コルトンは1976年から83年まで次官を務め、東ドイツのシュタージ(秘密警察)に対する秘密作戦などを指揮していた。
遺体は水に浸かっており、頭に打撲傷、身体中に癌があったが、いずれも死因ではない。毒物検査でも不審な物は見つからず、ロビンスは検査の範囲を広げる。
サラとラングストンはコルトンの自宅とその周辺を調べるが、ハリデイらCIAが先回りしており、証拠品はすべて持ち去られた後。だが川べりには、何者かがコルトンをカヌーに乗せて流したような痕跡が残っていた。2人の前には、ドイツ領事館の職員が現れる。一方、署には息子のラリー・コルトンが現れるが、「父親とはもう20年も会っていない」と言い、露骨に敵意を見せる。
ラボではホッジスのシステムに不正アクセスがあり、コルトンの回顧録が送りつけられる。そこにはドイツの現役政治家とシュタージの関係などが書かれており、公表されると政治生命が断たれかねない物であった。その回顧録は盗聴記録を基に書かれたはずなので、ハリデイやドイツ人らは、その盗聴テープを探していたものと思われた。
毒物検査の範囲を広げたにもかかわらず、コルトンの死因は相変わらず不明。ラングストンは、回顧録に記載された毒物であるアコニチン、サクシニルコリン、フェルフェナジン、サリンを調べるよう指示する。
アーチーは回顧録の送信元をたどり、ラリーが宿泊するモーテルに行き着くが、ラリーはドイツ人に射殺されていた。パソコンが奪われ、代わりにラリーが父親を殴りつけるところを写した写真が残されていた。ラリーは回顧録で母親を売春婦呼ばわりした父親に怒り、オールで殴り倒してカヌーに乗せた。そして回顧録をホッジスに送りつけて、ドイツに疑いが向くようにしたと思われた。ラングストンは、ラリーに殴られた時のコルトンの様子に注目。それまでコルトンは夜釣りに行ったと思っていたが、写真では釣り道具を持っている様子がない。ラリーに殴られなければ、コルトンは何をするはずだったのか?
ヘンリーはようやく死因をサリンと特定。だが摂取した量は即死するレベル。つまり飲んだのはラリーに殴られたよりも後ということになる。それより前に飲んだとすれば、カプセルなどを使って摂取する時間を遅らせたという可能性が考えられる。
ラングストンは回顧録を持ってハリデイに会い、真相を突きつける。末期がんで死を迎えようとしているコルトンが、スパイとして華々しく「暗殺」されるためにハリデイが一役買ったのだった。
感想
事件は2つ、今回は関連のない別々の事件だった。
片方では人気カントリーバンドの「ラスカル・フラッツ」が本人の役で登場。ミュージシャンがゲスト出演したことは以前も何度かあったが、ジョン・メイヤーは舞台の演奏だけ、テイラー・スイフトやロジャー・ダルトリーは完全に俳優として役を演じていた。こういう出演はベガスでは初めてかな……NYシーズン3の「オイディプスの悲劇」にスーサイド・ガールズが本人役で出演して以来のような気がする。
本人役での出演なので、当然ステージの場面があるし、それなりに時間を割いている。そのせいか、事件の印象が弱い。動機を聞かされても、何じゃそりゃ? て感じで。仮にもミュージシャンが発覚を恐れて楽器をゴミ箱に捨てるというのも、少々がっかりな感じ。ロビンス先生がベースの「解剖」を阻止してくれたので、そこでちょっと補われた感はあるけど。それとグルーピーの女の子も面白かった。
一方、教授とサラのスキッパーコンビの事件は何やらスパイ小説のにおい。今回脚本を担当している Michael Frost Beckner は、CSIの脚本は初めてのようだが、他作品を見ると “Spy Game” とか “The Agency” のようなスパイ物がいくつか。まぁ得意分野っていうことかな。ちょっといつもと違う雰囲気だったが、たまにはこういうのも良いかもしれない。ウィル・パットンの怪しい感じも良かった(「24」のアラン・ウィルソンより良かった!)。ハリデイさん、キャサリンが身元確認しようとしたのを褒めていたけど、前シーズンで偽FBIにだまされたことはちゃんと把握していたのだろうか。
ただこちらも、息子ラリーとドイツ勢の行動が、ちょっとゴチャゴチャしてわかりづらかったかな、という気がする。どちらの事件も、題材は良いのにイマイチ……という残念なエピソード。
ところで、病院の場面ではグレッグが、火山の爆発で指がちぎれたという男性の傷を調べていたけど、あれは単なる事故で終わりだったのかな。