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CSI - Season 10, Episode 23
#229 Meat Jekyll
- 邦題:「ジキル博士の手術室」
- 脚本:Evan Dunsky
- 原案:Naren Shankar
- 監督:Alec Smight
- 初回放映:2010-05-20
事件概要
通称「ジキル博士」事件
ハスケルが「ジキルの情報を持っている」と言ったため、キャサリンはハスケルの身柄を刑務所からベガス署の留置場へ移送する。自分の頭越しに決定が行われたことに、ブラス警部は不快感を見せる。
ハスケルはジキルを知っている証拠が、押収された箱の中にあると話す。証拠保管庫から該当する品を出して調べると、中にはスパゲッティで巻いたボウタイ・パスタが入っていた。それは蝶でリボン結びにされたビゲローの内臓と同じ形だった。そのパスタは、11年前にとあるレストランで出会ったシェフから贈られたものだという。その店で、ハスケルはボウタイ・パスタをスパゲティで巻いた物を出され、シェフに同類の血を感じて感激した。またその店には、ジキルの犠牲になったビゲロー、ヒギンズ、ハーソンがいたというのだ。
ビゲロー、ヒギンズ、ハーソンの会計記録や、ビゲローの元マネージャーの話などを総合し、「ヴェネッティーズ」というレストランらしいとわかるが、そこは5年前に閉鎖され、オーナー3名はすでに死亡。そこで、ハスケルに従業員リストを見せるが、ハスケルはステーキやストリッパーを要求しつつ、嘘の回答で翻弄しようとする。
そこへラングストン宛にナマ物の小包が届く。送り主の名は、10年前に死亡したラングストンの父親の名。中には、ジキルに奪われたラングストンのIDと、スライスされた肉片が数枚。肉片には、ダ・ヴィンチのウィトルウィウス人体図、天使、プロペラのような絵、「NAYL」という文字と身元不詳者の遺体に付与する番号が刺青のように描き込まれていた。
該当する身元不詳者をモルグで調べてみると、2009年の12月に発見された男性。刺殺として処理されていたが、よく調べてみると腹腔鏡を挿入した形跡があり、虫垂動脈が切られていた。死亡したのは、ヒギンズに盲腸の「移植」が行われた数日前。おそらく、この人物で失敗したので腹を刺してごまかし、代わりにヒギンズを犠牲にしたのだろう。
「ヴェネッティーズ」の写真と照らし合わせ、身元はウクライナ人のユーリ・グリシェンコと判明。アメリカ国内に身寄りがなく、パスポートも持っていなかったため、今まで身元不明のままだったのだ。番号は、ラングストンのIDを利用してモルグに問い合わせたものと思われた。閉鎖されて空き家となった「ヴェネッティーズ」では人間の血の跡が発見され、ここが「ジキル」の手術室だったとわかる。
ラングストンは、その他の図形や文字の意味を解読し、ジキルは次の犠牲者の静脈にIVCフィルターを挿入するつもりだと判断する。IVCフィルターは血栓を捕捉するためのフィルターだが、ジキルのフィルターはプロペラを取り付けるようになっていた。これを静脈に挿入するとフィルターが傘のように開き、静脈壁を圧迫して破裂させ、犠牲者はゆっくりと激しい痛みに苦しみながら死に至ると思われた。
分析の結果、図を描かれた肉片はイタリア産の高級生ハムとわかる。そこで、「ヴェネッテーズ」の元従業員のうち、現在高級イタリアンレストランに勤めている者を絞り込んでみると、元支配人で現在は「トラットリア・ディマサ」のオーナーであるディマサの存在が浮上する。その店のシェフは、ディマサの息子チャーリーだった。
店での聞き込み中、ニックはキャサリンから連絡を受ける。生ハムからに付着していた上皮のDNAは、ヒギンズに移植された腐った盲腸の主と親子関係にある男性だというのだ。そこでディマサに確認したところ、盲腸の手術を受けたばかりだという。つまり、息子のチャーリーがジキルということになる。
ニックは巡査を厨房へ行かせるが、そこへ銃声が響く。巡査は撃たれて死亡、ニックも被弾して倒れる。チャーリーが銃を手に、「医者になる夢を奪われた」復讐に、父親にIVCフィルターを挿入したと口にする。ディマサは妻が死んだ時、寂しさに耐えかねて息子を退学させ、自分の店でシェフの修行をさせたのだ。チャーリーは父親と、店でピアノを弾いていたビゲロー、常連客のヒギンズ、ハーソン、グリシェンコを恨み、彼らに復讐を続けていたのだった。ラングストンが自分と父親の話をしてチャーリーを説得しようとするが、チャーリーはラングストンに銃を向ける。しかしその隙をついてニックが発砲、チャーリーは射殺される。
ディマサは病院へ運ばれて手術を受け、ニックも手当てを受ける。ラングストンはハスケルの房を訪れる。ハスケルはラングストンの表情を見て「ジキル」が死んだことを悟り、去って行こうとするラングストンを首を後からつかみ、折れた眼鏡のフレームで背中を繰り返し突き刺す――。
感想
「ジキルを知っている」というハスケルの言葉で終わった前回のプチクリフハンガー。キャサリンとラングストンはジキル情報を求めてハスケルの身柄をベガス署へ護送させる。このためにキャサリンはサム・ブローンのコネを使ったようだが、ブラス警部に一言も相談なし? 別に一言入れるくらいすれば良いのにと思うんだけど、何でかな。ともかくキャサリンはそのために早起きし、同じベッドにいたヴァルタンにも何も言わずに出て来たらしい。うーん、この2人はやっぱり、できちゃったのか。
ラングストンが留置場へ赴き、鉄格子ごしに尋問する場面は「羊たちの沈黙」を思わせる。というか、当然それを意識して作ってるよね、この場面。
ハスケルはどうやら11年前――ディック&ジェーン・キラーとして逮捕される前にジキルに会っていたらしい。スパゲッティで巻いたボウタイ・パスタにハスケルは一目で魅了されたという。で、サラが箱からそのボウタイを取り出し、ビゲローの「腸結び」と比較して「そっくりだ」と言うのだが、正直「そっくり」とまで言うのはちょっと無理があるし、ハスケルがどこに惹かれたのかもいまいちピンとこなかった。ただし、緑と赤の毒々しい色の取り合わせは確かに似ているし、只者でないセンスを思わる。食べたくならないけど。
で、そうこうするうちに、ラングストン宛に小包が届き、暗号で次の「犯行予告」が行われる。
この「暗号解読」とハスケルからの情報をつき合わせていくうちに、ジキルが何者で次の被害者が誰なのかがわかり、最後にはイタリアン・レストランで銃撃戦となってジキルの動機や人となりが明らかになっていくわけなのだが……。
うーん。(しばし絶句)
うーん…………。
だから、連続事件の解決篇は作るなと、あれほど(爆
最後に銃を撃ちまくったシェフのチャーリーが、今シーズンえんえん引っ張ってきた「ジキル」である、というのはやっぱり無理があると思う。人の身体も臓器も自分の「作品」を作るための道具でしかなく、何をするのも慎重で用意周到で、自分なりの美学にこだわりを見せる「ジキル」の正体が、こんなワガママ男だと言われたら、がっかりを通り越してもう目を背けるしかないではないか。
結局医者になる道を断たれてシェフになったチャーリーが、なぜ父親の盲腸を持っていたのか(へその緒じゃあるまいし、記念にください、なんていうことはない……よね)。ヒギンズの著作から切り抜かれた「ミケランジェロ」の含意するところもよくわからない。チャーリーが死んで、結局わからないままになってしまうんだろうなぁ……。
暗号解読も、かなり強引に力技で運んだ感じだが、これもNYのシェーン・ケイシーの暗号の二番煎じ感がありあり。それ誰にも解けなかったらどーすんの? 何でそれがそうだってわかんの? と突っ込みたくなる所も同じだしね。
……という、数々の「何じゃそりゃ」のせいでクリフハンガーの続きもどーでもよくなった感を禁じえないのだが、まぁそれでもやはり、来年の今頃は何だかんだでまた観るんじゃないかと思う。
じゃ、また来年!
— Yoko (yoko221b) 2012-05-17