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CSI - Season 11, Episode 6
#235 Cold Blooded
- 邦題:「冷血動物」
- 脚本:Tom Mularz
- 監督:Louis Shaw Milito
- 初回放映:2010-10-28
事件概要
ブライアン・リスター
砂漠で若い男性の遺体が発見される。直接の死因は交通事故や転落によく見られる、びまん性軸索損傷であったが、腹部には大きな咬み跡のような傷があった。その大きさは恐竜並み。ホッジスの調べ(と趣味)により、ラスベガスアリーナで開催中の恐竜ショーで使われているロボット恐竜ではないかとわかり、調べてみると確かに被害者の血液反応が出る。
被害者の所持品から、身元は西ラスベガス大学の古生物講座に所属するブライアン・リスターと判明。ブライアンの専門は草食恐竜で、同じ講座の女子学生ジェーン・ルイスと婚約していた。ジェーンは、ブライアンとは恐竜ショーの後で別れたきり姿を見ていないと主張する。だが客席を映した映像には、ブライアンが席を立ったときにジェーンが隣席の青年とキスを交わす場面が映っていた。
ラングストンは、西ラスベガス大学から恐竜の模型を借りて再現実験を行うが、ただ咬んだだけではブライアンの傷よりかなり浅くなる。ブライアンは恐竜の牙の上に落下したと思われた。
クレジットカードの記録から、ジェーンとキスをしていた若者は同じ大学の同じ講座で肉食恐竜を研究するトラヴィス・キルボーンとわかる。ジェーンは「その場の雰囲気にのまれただけで、行きずりの知らない相手」と言っていたが、12人しかいない古生物講座でお互いに知らないはずはない。トラヴィスは、3人で恐竜ショーを観て酒を飲み、倉庫に忍び込んでこっそり恐竜を操作したことを認める。ブライアンはブラキオサウルスと一緒に写真を撮りたがり、ジェーンがクレーンを操作した。だがブライアンは恐竜の首にぶつかり、T-レックスの牙の上に落下。その時はまだ生きていたが、ブライアンが牙を抜こうとしてさらに下まで転落して死亡。すでに不法侵入していたため、2人はパニックになり、その場からブライアンの遺体を運び出して砂漠に捨てたのだった。
ラングストンは、ジェーンがハンバーガーを食べていたことから、草食系のブライアンが物足りなくなったのではないかと疑うが……。
フィル・コーラー
投資顧問のフィル・コーラーが自宅で頭を撃たれて死亡する。担当刑事のフランキー・リードは自殺を疑うが、火薬の付着状態などから他殺とわかる。身に着けていたはずの金の時計はなくなっていた。フィルは5年前、15歳だった娘のホイットニーが友達のレイチェルとともに誘拐されるという事件に遭っており、その時もニックが担当していた。2人は殺害されたと思われ、犯人はすでに逮捕されて終身刑になっているが、遺体はまだ未発見。
フィルは妻シャロンと離婚係争中。離婚の原因はフィルの不倫で、相手はレイチェルの母親カーリー・ベック。娘を失った悲しみを分かち合ううちに深い仲になったらしい。現場にあった毛髪から、カーリーがその場にいたことがわかる。ニックとフランキーはカーリーの自宅へ向かい、そこでミイラ化した少女の遺体が写った写真を見つける。服装から遺体はホイットニーとわかるが、まだ発見されていない遺体の写真をなぜ所持しているのか。また、写真の遺体が完全にミイラ化していることから、撮影者が犯人のイーライ・ホルトでないことも明らか。ホルトは事件後すぐに逮捕されているのだ。
ニックはホルトに事情を聞こうとするが、ホルトは10日前に監房で首を吊って自殺をはかり、現在も意識不明だという。ホルトの通信記録から、カーリーが「娘の場所を教えてくれれば何でもします」という手紙を送っていたことがわかる。
写真を分析した結果、背景に写っている看板から場所がわかり、ホイットニーの遺体が発見される。骨に残る工具痕とホルトの親戚から聞いた話から、犯行現場が判明。ホルトの伯父が所有する作業場だった。また、カーリーが家財道具を質に入れ、車を売って多額の現金を作っていたことがわかる。フィルの自宅からなくなった時計も、カーリーが質に入れていた。
やがてカーリー本人が発見され、コインロッカーに現金入りのバッグを入れようとしていたところを逮捕される。
カーリーはホルトから「遺体を埋めた場所を地図に書いた。1枚5000ドルで売る」という連絡を受けたと言う。何とか5000ドルを工面して地図を手に入れたが、そこにいたのはホイットニーの方。もう1枚の地図を手に入れるため、フィルに会って助けてほしいと頼み込んだ。フィルは「これは詐欺だ」と取り合わなかったものの、「これを足しに」と時計を渡した。それで何とかもう5000ドルを作り、指定されたロッカーに入れに行く途中だったのだ。
だが、カーリーが「ホルト」から連絡を受けたのは、本物のホルトが意識不明になった後のこと。囚人仲間がホルトから話を聞きだしたかと思われたが、犯人は看守のジェイソン・リクターだった。リクターはホルトが地図を書き残して首を吊ったのを発見し、金の隠し場所かと思って地図を盗み「遺書はなかった」と嘘の報告をした。そしてホルトのふりをしてカーリーと話した時にフィルの態度を知り、警察に通報されることを恐れて殺害したのだった。
リクターは地図を焼き捨てて逃走を図るが、失敗し逮捕される。現場にあったシャベルの痕跡と地図の燃え残りを照合した結果、レイチェルの遺棄現場が特定され、そこで遺体が発見される。
感想
DVDの収録順序は、3話が「スクウィーグル」、4話が「ブラッドムーン 満月の夜」、5話がこの「冷血動物」で、「ゴミ屋敷の法則」は6話になる。放送順序に合わせるので、ちょいと話が前後する。今回またサラがお休み。
さて珍しく事件が2つだ。恐竜の事件ではホッジスが大喜び。「スクウィーグル」では自らのフェティッシュな趣味を暴露して「変態さんいらっしゃ~い」と喜んでいたが、今回も恐竜ショーを間近で見物して、役得だなー。ウェンディ降板は残念だけど、ホッジスはオーソドックスな恋愛ドラマを演じるより、変態さんで大はしゃぎの方がキャラとして面白いぞ!
恐竜の事件、ラングストンがジェーンの行動を読んで事故に見せかけた殺人を示唆していたけど、どうなのかな……殺意を証明するのはいささか無理があるのではないかと思う。草食恐竜を研究することや草食の彼氏がいることと、自分が草食か肉食かということは別問題だと思うし。落ちれば死ぬような高い所に上って、素人が慣れない操縦をするなんて、愚かだとしか言いようがないとしても、それ以上の責任を問えるかどうか。
もうひとつの少女殺害事件は、最後しんみりと被害者に寄り添うような形で終わって良かったと思う。でも実を言うと、刑事がケイティ・サッコフだったので「もしやこの人が犯人?」と一瞬疑ってしまった。「24」のアレが見事だったもので、つい。
何としてでも娘の遺体を見つけたい、そう思いつめるカーリーの執念は胸に迫るものがあるが、それに対するフィルの冷静さがちょっと、腑に落ちないレベル。いつまでも嘆くより気持にけじめをつけて前に進もう、というのは良いのだけど、ミイラ化した娘の写真を見せられて、その場で通報するでもなく、「場所はどこなんだ!」とカーリーを問い詰めて現場に行くでもなく、かといってカーリーの執念との温度差を描写するほどでもなく。娘だと信じたくなかった、ということなのだろうか。
それにCSIがホルトの親戚に聞き込みをしてあっさり犯行現場を見つけたのも何だかなと思った。犯人が逮捕されて、有罪にできるだけの証拠もあったわけだから、「10年会っていない」と言われようが容疑者の周辺は徹底的に調べるものではないだろうか。
そのへんのプロセスに説得力があれば、最後のモンタージュももっとグッと来る場面になったのではないかと……レイチェルの発見場面や、ずっと必死だったカーリーが最後にニックの腕にくずおれる場面など、すごく良い要素だっただけに、もったないなと思った。
— Yoko (yoko221b) 2013-04-07