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CSI - Season 11, Episode 12
#241 A Kiss Before Frying
- 邦題:「腐った桃にキスを」
- 脚本:Evan Dunsky
- 監督:Brad Tanenbaum
- 初回放映:2011-01-20
事件概要
カールトン・ドリーン、イライジャ・ニューブルーム三世、ハーミシュ・ハーシュコウィッツ
頭部にひどい熱傷を負った男性が道路下で発見される。最初は死亡していると思われたが、デイヴィッドがメスを入れた途端に意識を取り戻して暴れ始め、生きているとわかる。ただちに救急車が呼ばれ、被害者は病院へ搬送される。身元は、金物店に勤務するカールトン・ドリーンと判明。
被害者は両手両脚を拘束された形跡があり、胸に帯状の火傷の跡があったことから、電気椅子で処刑されたものと思われた。被害者が走行中の車から投げ落とされたという形跡があるため、電気椅子もトラックに積んでいたものと思われる。ラングストンは電気椅子で再現実験を行い、被害者の皮膚に付着していたポリエチレンの欠片と合わせて、犯人はスポンジを被害者の頭に乗せたと考える。食塩水に浸したスポンジを頭部に載せると電導性が高められるが、天然の海綿でなく化繊のスポンジを使うと逆効果になってしまう。その結果、頭部だけが燃え、心臓には十分な電流が流れなかったのだ。
グレッグはラボに見学に来た女性、エレン・ホワイトブリッジと親しくなる。エレンは小学校で教師をしており、校外学習として生徒たちにラボを見せようかと考えているという。
翌日、同じ手口で殺害されて遺棄された被害者が発見される。ただし頭部に熱傷はなく、完全に死亡していた。氏名はイライジャ・ニューブルーム三世。ドリーンもニューブルームも裕福な家の出身だが、ドリーンは財産を失い現在は貧しい。対してニューブルームは信託財産で悠々自適の暮らしをしており、接点は見つからない。
現場付近の防犯ビデオ映像から、犯人が使用したと思しきトラックが発見される。持ち主は南アフリカ出身のヨハネス・デスムートだが、デスムートは「トラックは売った。相手の名前は知らない」と主張。
忙しくてデートもままならないグレッグのために、食事を持ってエレンが訪ねて来る。グレッグは喜ぶが、少し目を離した隙にエレンが捜査資料を見ていることに気づいて不審に思い、こっそり彼女を尾行。エレンの正体は小学校教師ではなく、クラブの舞台でセクシーなダンスを披露するバーレスク・ダンサー、リタ・ヴォン・スクイーズであった。
グレッグはクラブでエレンと話していた男のグラスをこっそり持ち帰り、指紋を採取。その男はロデリング・ハマーバッカーといい、犯罪歴があるとともに妄想性の統合失調症の診断を受けていた。
その後、3人目の被害者が発見される。と同時に、病院に収容されていたドリーンが死亡。また、3回目の犯行時にデスムートは拘束されていたことから、目撃者とともに容疑者もいなくなってしまったことになる。
3人目の被害者はハーミシュ・ハーシュコウィッツ。その名を聞いてピンときたグレッグは、3人の被害者の関連に気づく。3人の祖父たちがそれぞれ、70年前に起きた殺人事件に関係していたのだ。
1940年代、バグジー・シーゲルは歌手のアグネスをフランスから連れ帰った。アグネスにはロシア人のバレエダンサー、ボリス・クチコという恋人がいたが、戦争で死亡したと思われていた。だがクチコは生き延び、アメリカに渡りアグネスと再会。2人はバグジーに内緒で密会を重ね、娘をもうけていた。だがついにバグジーに見つかり、アグネスは殺害され、クチコはアグネス殺しの罪を着せられ、電気椅子で処刑される。その時に法廷で偽証したのがハーシュコウィッツ、検事がドリーン、弁護人がイライジャ・ニューブルーム一世――3人の被害者の祖父たちだった。そしてアグネスの写真を見ると、彼女はエレンに生き写し。エレンはアグネスの孫娘だったのだ。
グレッグはエレンから「助けて」という電話を受け、単独で彼女のいるダイナーへ向かうが、そこで何者かに銃撃を受ける。銃撃が止んでみると、中にいたはずのエレンの姿は消えていた。座席に長距離バスの時刻表が残されていたことから、グレッグはバス乗り場へと向かう。
一方、署には銃撃事件の報せが入り、現場にいた「標的」がグレッグらしいことから、キャサリンらは心配する。ホッジスはハーシュコウィッツ事件で採取した土壌の分析結果から、閉鎖された塗料会社を突き止める。ブラス警部らは現場へ向かうが、ハマーバッカーは銃撃戦の末に自分の電気椅子を使って自殺。
グレッグはバス乗り場でエレンを発見。エレンは、一連の殺人はすべてハマーバッカーが妄想に駆られて起こしたことで、自分は協力させられていただけ」と言い訳をするが、結局その場で逮捕される。
感想
今シーズンも来ました、オールド・ベガスエピ。こういう話なら当然グレッグが大活躍なわけだが、いきなり謎めいた美女が登場してびっくり。でも邦題がこれなので、「ピーチの香り」とか言い出した時にもう結末が見えてしまって残念。確かに最初から怪しすぎる登場ではあったけれど、邦題でネタバレはやはり歓迎できない。原題の方はアラン・レヴィンの小説 “A Kiss Before Dying” のパロディで、こちらの邦題は『死の接吻』。2回映画化されており、原題はいずれも小説と同じだが、邦題は1956年版が「赤い崖」、1991年版が「死の接吻」となっている。“fry” は、油を付けて焼く、揚げるという意味の他、俗語では「電気椅子で処刑する」という意味もある。
ニックは見学に来たエレンを見て「電話番号を聞いとけよ~」とグレッグをせっついたものの、彼女の正体を知って「ストリッパーなんだろ?」と手を引くよう言うのだが(厳密に言うとストリップとバーレスクダンスはちょっと違うらしいが)、キャサリンの前職がストリッパーという設定はもうなくなったのだろうか。最近の話を聞いてると、もうすっかり昔から「サム・ブローンの娘」として育ってきたような感じなので、設定変更ならいっそその方が良いかもしれない。
ラングストンとキャサリンの会話に登場する「バーニング・マン」はネバダ州の砂漠で毎年夏に行われるアート・フェスティバル。単なるお祭りではなく、すべてを自前で用意して生活し、交流し、表現するというけっこうハードな活動。単なる見物人はおらず、全員が表現者であるという趣旨であり、場所は何もない砂漠のど真ん中(祭典が終わるとすべてを無に帰して撤収する)であるから、簡単に見に行ける代物ではなさそうだ。
小説版 “The Killing Jar” では被害者が「バーニング・マン」の参加者で、それに関してグレッグが雑学知識を披露する場面があるのだが、ドラマと小説は別世界で連動しているわけではないからなぁ。でもちょっと残念。
前回と今回、2回続けてサラがお休み。次回はサラの出番が多いので、その調整だろうか。
— Yoko (yoko221b) 2013-05-04