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CSI - Season 11, Episode 17
#246 The List
- 邦題:「魔性のリスト」
- 脚本:Richard Catalani
- 監督:Louis Shaw Milito
- 初回放映:2011-03-10
事件概要
ヴァンス・トルソム
刑務所で乱闘騒ぎが起き、囚人のヴァンス・トルソムが殺害される。ヴァンスは元ブライム郡警察の刑事で、妻殺しの罪で服役中だったが、最近になって再審請求が通ったという。ニックは被害者の部屋で思わぬ「新証拠」を発見して驚く。
ヴァンスの妻アン・マリーは元ベガス署にいた警官で、結婚する前から男性関係が派手なことで有名だった。ヴァンスは「自分は無実で、妻の愛人だった真犯人によって罪を着せられた」と主張しており、その「容疑者リスト」として、アン・マリーと関係を持った男性たちのリストを作成していたのだ。その中にはエクリー、ブラス、ヴァルタン他警官の名前がずらり。しかもその半数がアン・マリー殺害事件の捜査に関わっていた。
ラングストンらは囚人たちから押収した服などの証拠から現場を再現し、ホゼ・カスティーヤとカルロス・サラヴァールが両側からヴァンスを押さえ、トマス・モリーネスが刺したことがわかる。モリーネスは元会計士だが飲酒運転で事故を起こして収監されており、刑務所内での暴行に耐えかねて「格を上げるため」に元刑事の囚人を刺したことを認める。何者かに依頼されての暗殺であることは確かだが、モリーネスは「言えば殺される」と口をとざす。
ヴァンスの面会記録を調べると、アン・マリーの妹ジョディ・キャンブリが何度も来ていたことがわかる。ジョディは当初、ヴァンスを犯人と信じて連絡を断ってきたが、偶然に手紙を開封したことがきっかけで会いに行くようになり、ヴァンス犯行説に疑いを抱き始めていた。ジョディによると、事件の直前にアン・マリーは「本命の恋人」ができたと言い、離婚を考えていたという。
アン・マリー事件の捜査は主にブライム郡の警察が行っており、ベガス署では補助的な活動をしていた。アン・マリーの車が燃やされた状態で発見され、車内に大きな血痕があった。エクリーの部下が証拠の鑑定を行い、アン・マリー本人の血液と確認されている。遺体は結局発見されなかったが、ヴァンスの自宅のゴミ箱からは血まみれの包丁とシャツ、放火に使用したマッチが発見された。
キャサリンは「遺体を消す知恵のある犯人が証拠を始末しないのはおかしい」と疑問を抱き、アン・マリー事件の証拠の再鑑定を行う。再鑑定の結果、血液からは抗凝固剤が検出され偽装とわかる。ニックは放火の手口を見て、ブライム郡で起きた類似の事件を思い出す。犯人はその手口を真似たのではないか――事件の担当はルーカス・マーティン刑事で、アン・マリー事件の主任担当でもある。リストには載っていないが、実はマーティンが秘密の恋人で、アン・マリーを殺害した真犯人ではないかという疑いが生じる。
もしマーティンが真犯人なら、遺体を隠したのも担当事件を模倣している可能性がある。そこで、担当した事件から場所の見当をつけて調べてみた所、女性の遺体が発見される。だが、まだ新しい遺体――アン・マリーの妹のジョディだった。
ジョディ・キャンブリ
ジョディは頭部を撃たれて殺害されており、銃弾はマーティンが持っていた銃と一致。警察の支給品ではなく個人用の物で、マーティンは「州外の展示即売会で売った」と主張する。
グレッグはジョディの爪から採取した上皮細胞を分析して驚く。DNAはジョディと姉妹関係にある女性の――つまりアン・マリーの物だった。アン・マリーは自分が死んだように見せかけて姿を消していたのだ。事実を突きつけられたマーティンは、ようやく犯行を認める。ヴァンスはアン・マリーを離そうとしなかったので、死を偽装してヴァンスに罪を着せ、数年で自分も辞職しようと決めていた。銃は護身用にと彼女に渡したもので、メキシコの孤児支援基金に偽装したアン・マリーの口座に定期的に送金もしていた。だが、3ヶ月前にいざ辞職しようとすると、アン・マリーが連絡を断ったという。
3ヶ月前といえば、ジョディがヴァンスに接触し始めた時期。口座の動きを調べると、3ヶ月前からマーティンと同じ孤児支援基金への送金が始まっている。アン・マリーがマーティンを捨てた後、次の金づるとして妹に接触して真相を明かし、自分の死亡保険金を送金させたと思われた。最後の送金でジョディの口座は空になっているが、それが行われたのはジョディが死亡し、マーティンが勾留された後なので、これもアン・マリーがしたことであろう。
身を隠していたアン・マリーがヴァンスの再審請求の動きを知り、それを阻止するためにベガスへ戻って彼を殺させ、真相を知っている妹を殺してマーティンに罪を着せた――というのが真相だと思われたが、囚人とアン・マリーの接点は何か。アン・マリーと警察学校で一緒だったヴァルタン刑事は、退学になったジャロッド・マローンの存在を思い出す。彼はその後刑務官になり、ヴァンスの独房を担当していたのだ。
マローンは取引に応じ、自ら囮となってアン・マリーをおびき出して逮捕させる。
感想
刑務所でのケンカ騒ぎが思わぬ警察スキャンダル、そして冤罪事件に発展。警察の偉い人も思わぬところで旧悪露見。アン・マリーの男リストは「まるで警察名簿」だというが、まさかグリッソムは入っていないよね。ロビンス先生も入っていないと思う。
ケンカ騒ぎが実は暗殺、その背景事情は4年前の事件に遡る……というプロットのアイデア自体は面白いと思うが、アン・マリー事件の謎がいささか簡単すぎたのが残念。遺体が発見されないままだった、とくればもう、かなりの高確率で「実は生きている」と続くよね。案の定、証拠は偽装でしたというのがあっさり証明され、以下とんとん拍子というかリバーシの駒のように白と黒がパタパタと裏返しにされてしまう。尺の問題かもしれないが(あらすじを書いてみるとわかるが、今回の事件、かなり情報量が多い)、ちょっと簡単に話が進みすぎたような気がする。血液が凝固していないことに気づかなかった、なんてお粗末すぎる。
さらに時系列がちょっと謎。ニックはアン・マリーのことを知らなかったようだから、彼女がベガス署にいたのはもう10年以上前のことだろう。その後ブライム郡の警察に移りヴァンスと結婚。「殺害」事件は4年前だから、シーズン7の頃ということになる。しかしエクリーはシーズン5の「狼少女」で局長補佐に昇進して現場を離れているので、CSIに「エクリーのチーム」は存在していなかったはずなのだ。シーズン7といえば、グリッソムがサバティカル休暇を取ったり、ケプラーのゴタゴタがあったりした頃だから、一時的にCSIに戻っていたのだろうか?
4年前にブラスとヴァルタンが担当したのは、まぁ良いのかもしれないが、今回の「アン・マリーを殺した真犯人の容疑者リスト」というのは「ヴァンスを殺す動機を持つ容疑者リスト」でもあるのだから、ヴァンスの事件はリストに載っていない刑事が担当するべきではなかったか。リード刑事とか……あ、でもうっかり刑務所に調べに行くと囚人たちには目の毒かな。
— Yoko (yoko221b) 2013-05-18