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CSI - Season 11, Episode 18
#247 Hitting for the Cycle
- 邦題:「ギャンブルラボ」
- 脚本:Daniel Steck, Richard Catalani
- 監督:Alec Smight
- 初回放映:2011-03-31
事件概要
ある夜、ヘンリーは事件の一覧を書いたボードの前で立ち止まる。死因としてそこに書かれていたのは殺人、事故死、自殺。ここに「自然死」が加わると、一晩ですべての死因が揃う「サイクルヒット」が完成する。そこでCSIとラボのメンバーたちは、誰がサイクルヒットを完成させるかで早速賭けを始める。モルグには新人のケヴィンが加わり、その態度でデイヴィッドらを苛立たせていた。
氏名不詳女性
グレッグ、サラ担当。オフィスで女性が死亡していた。腹部が膨らんでいるが妊娠ではない。腸の中には誤飲したクリップが入っており、そこから感染症を起こして死亡したとわかる。
スティーヴン・パイルズ
グレッグ、サラ、ブラス警部担当。複数参加型のオンラインRPGゲームをプレイしていた「DV8アヴェンジャー」ことスティーヴン・パイルズがパソコンの前で椅子に座ったまま死亡していた。DV8はトイレ休憩の時間も惜しんで紙オムツをするほどのゲーマー。どうやら、ゲーム「アーロンの軍団」のプレイ中に嘔吐し、吐瀉物が喉につまって窒息死したらしい。彼が参加していたゲームの賞金は高額なもので、十分動機になり得る。
ゲームで閃光弾の攻撃を受けたため、光過敏性発作を起こしたのではないかと疑われるが、その後、毒物検査によりDV8が睡眠薬を摂取していたことがわかる。閃光弾攻撃を受けたときは、薬の作用で眠っていたはずだ。部屋には睡眠薬の容器があったが、これは「エヴァン・フェラーリ」という人物に処方されたもの。
DV8の生活はゲーム漬け。エヴァンもゲーマーであろうと見当をつけ、ゲームの決勝戦が行われているイベント会場へ向かったところ、「エヴァン」の正体はコンパニオンをしている金髪美人と判明。エヴァンはDV8の恋人だったことを認めるが「睡眠薬は決められた量を守っている」と犯行を否定する。
胃の内容物から、DV8が食べたピザにイピカック(吐根)が混ぜられていたことがわかる。吐根の作用で吐いたものの、睡眠薬で眠っていたため吐き出せずに窒息死したのだ。指紋を照合した結果、吐根ピザと睡眠薬を渡したのは、イベントの司会者モニカ・ギンブルと判明。
モニカとエヴァンは恋人同士だったが、エヴァンはDV8を愛しモニカを捨てた。モニカはそれを恨み、「賞金まで手にするのは許せない」と、DV8を殺害したのだった。
ベンジャミン・ファウラー
ニック、ラングストン担当。ベンジャミン・ファウラーという男性が知人の家のプールの中で、射殺体となって発見される。顔を殴られて手を縛られており、今からはテレビがなくなっていたため強盗が疑われた。ファウラーは事業に失敗し、ギャンブルに溺れて離婚し、以前の知り合いの家の留守番をしていたのだ。
元妻のオリヴィアは、2日前に飲酒運転で逮捕されたファウラーの保釈金を払ったのが最後だったと言い、「今でも愛しているのに冷たい態度を取った」と後悔する。
屋内にあった血痕から、高利貸しのカール・ジャンセンが現場にいたことがわかる。ジャンセンは借金の取り立てのため、家に押しかけて暴力を振るい、テレビを奪ったことを認めるが、殺人は否定する。
ファウラーを撃った銃弾は口から入って後頭部に抜けていた。拳銃はプールの中。銃口からファウラーの舌の組織が検出され、ファウラーが自分で撃った可能性が浮上する。水中で撃てば発射残渣は付かないし、手を縛るのも歯を使えば自分でできることがわかる。
調べてみると、ファウラーはジャンセンにテレビを奪われた後、家にあった彫刻を質入れし、保険会社に送金して未払いの掛け金を支払っていた。飲酒運転や借金などでボロボロになっていたファウラーは、せめて愛する妻に何かを残したいと思い、狂言強盗をでっち上げて自殺したのだった。
氏名不詳女性
キャサリン担当。高齢の女性が自宅の階段下で死亡する。老衰による自然死かと思われたが、調べてみると骨折の跡があり、骨粗しょう症だったこともわかる。階段で転んで大腿骨を骨折し、血栓ができて死亡したものと思われる。従って事故死。
氏名不詳男性
担当者不明。酒場の強盗で射殺されたため、明らかに殺人。
* * * * *
こうして「結局サイクルヒットは出なかった」と思われたが、その後デイヴィッドがケヴィンを呼びに行くと、ケヴィンは検死台に横たわり死亡していた。ロビンスは動脈瘤による死亡、すなわち自然死と判断。最後の最後でサイクルヒットが完成し、デイヴィッドに賭けていたロビンスの一人勝ちとなった。
感想
何でも賭けの対象になってしまうラスベガス。他のシリーズに比べて(初期NYを除く)暗く重苦しい話が多いベガスだが、不思議とドライなユーモアが似合う。こういう不謹慎エピソードができるのもベガスならではだろう。こういうタイミング(フィナーレの少し前)でコミカルな話が入るのは例年のことだが、いつもならCSIよりラボ技術者が活躍するところ。でも今シーズンは、通常エピと同じパターンでCSI中心、それにモルグの出番が多いぐらいか。うーん、ウェンディの抜けた穴は大きかったということなのか、たまたまそうなっただけなのか……。
ゲーム事件は、ブラス警部とゲーマー坊やの軽妙なやり取りが面白かった。光過敏性発作は日本でもアニメ番組の視聴中に起きた事件が有名。ニンジャ・アサシンはDV8に発作を起こさせようとしたようだが、結局その時はもう薬の作用で眠っており、無駄に減点されただけだったことになる。それでも決勝戦に残れたということは、やはり凄腕だったということなんだろうな……あれでも。
狂言事件の方は、何だかデジャブ。初期シーズンにも同じように、妻に保険金を残そうと銃で自殺した事件があって、やはりニックが担当だったように記憶している。やり直しのできない失敗は本当に辛い。そして、結婚指輪を外さない夫と「離婚したけどまだ愛しているのに」と嘆く妻の姿に、ラングストン自身の姿が重なっていく――やはりフィナーレにはグロリアが再登場するのだろうと思わせる。
さて、自信満々で自分に賭けるニック、対抗するグレッグをよそにラングストンは「ギャンブルしたければカジノへ行く」とクール。サラは仕事一筋。キャサリンは「自然死でCSIが呼び出されることは滅多にないから、サイクルヒットは出ない」と、一枚上手のベテランらしい所を見せる。キャサリンの読みは正しく、結局最後まで自然死はなかった……と思いきや、最後の最後でモルグの新人ケヴィンが病死してサイクルヒット達成。
このケヴィン君、登場した時からとにかくイヤな奴で、見ていてイライラさせられた。最後に亡くなったのはお気の毒だが、今後もう出てくることはないんだと思うとちょっと安心(ごめん)。
で、「自然死だとCSIは出動しなくても、君なら現場へ行くから」とデイヴィッドに賭けていたロビンス先生の一人勝ちとなった。キャサリンよりさらに上手だったのは、さすがにロビンス先生というべき所だが、死因を判定する先生が賭けに参加していいのかな。ま、いいか。