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CSI - Season 13, Episode 4
#277 It Was a Very Good Year
- 邦題:「シナトラの亡霊」
- 脚本:Gavin Harris
- 監督:Frank Waldeck
- 初回放映:2012-10-24
事件概要
アリソン・ベイリー
砂漠に置き去られたピアノの中から女性の遺体が発見される。現場に来たグレッグは、彼女が知り合いのアリソン・ベイリーであることに気づいて驚く。アリソンは音楽ジャーナリストで、以前にグレッグがラスベガスのマフィアに関する歴史の本を出版した際に協力してくれたのだった。実はグレッグとアリソンはそれ以上に親密な仲であったが、そのことはラッセルに言わなかった。
死因はカッターナイフのような刃物で何か所も切り付けられたことによる失血死。争ったらしく防御創がいくつも見られた。遺体やピアノの周囲には、カーボンとポリ塩化ビニルによる黒い物質と、ニカワでできた平たい破片があった。
ピアノのシリアル番号は削られていたが、復元してみたところ、1966年に製造されたものと判明。「最初の所有者はリド・ライト」と聞いたグレッグは「伝説のピアニスト」と当時の逸話を披露。リドはマフィアの若者トミー・グラゼッティと口論になって射殺されたと言われたが、結局遺体は見つからず、リドはそのまま姿を消していた。そしてグラゼッティは現在「シナトラなりきり劇場」を経営しており、ピアノの現在の所有者がそのグラゼッティであるとわかる。
ピアノを運搬したのは、楽器店勤務で楽器の運送も請け負うというレニー・バンダーズ。バンダーズはメンテナンスのためにピアノをLAに運んでいたが、途中で血液が垂れてきたことに気づき遺体を発見。パニックに陥り砂漠に放置して逃げたという。
グレッグはラッセルとともにグラゼッティの劇場へ向かい、楽器置き場で血痕を発見。そこが殺害現場であると判断する。グレッグは、アリソンがリド・ライトの事件を調べたためにグラゼッティに「消された」と思い込んで激昂し、ラッセルはグレッグとアリソンとのことを知る。ラッセルはグレッグを捜査からは外さなかったが、現場から退きアリソンが残した資料から彼女の行動を分析するようにと言い渡す。
グラゼッティの劇場に出演していたシナトラのそっくりさん、ジェフ・レヴィットもアリソンと接触したことは認めたが、事件当日は楽曲認識アプリを更新作業をしていたというアリバイを主張する。
ラッセルは現場にあった黒い物質がレコードを削ったものであることに気づく。またホッジスの分析により、ニカワの破片はレコードのクリーニングに使用したものとわかる。レコードにニカワを塗って均等に伸ばし、乾いたところではがすと、ゴミがすべてニカワに付着して除去できるのだ。ニカワの破片にはレコードの溝が転写されているため、音を復元して調べたところ、フランク・シナトラのアルバム “Sinatra at the Sands” であるとわかる。
一方グレッグはアリソンの残した資料から、彼女が調べていたのはリド・ライトの事件ではなく、1966にサム・ブローンのカジノで起きた事件だったと判断する。そして当時グラゼッティを撮影した写真や当時を回顧する供述などに矛盾があることから、リドはグラゼッティに殺されたのではなく、リドがグラゼッティに成りすましているのではないかと思いつく。そして昔のポスターからリドの指紋を調べて照合したところ、現在のグラゼッティのものと一致した。
グラゼッティは、自分がリドであることを認める。召集令状が来てしまい、カナダへ逃げようかと真剣に考えていたところ、グラゼッティが鶏の骨を喉に詰まらせて死んでしまった。そこで仲間と共謀してグラゼッティになりすましたのだった。当時の身元不明の死者を調べたところ、鶏の骨で窒息死した若者がいたことがわかる。
だがリド=グラゼッティはアリソン殺害の加害者ではなかった。ニカワから判明したアルバム “Sinatra at the Sands” はレア物であり、販売店も限られていたのだ。そこから、レコードを購入したのはシナトラそっくりさんのレヴィットであるとわかる。
レヴィットはアリソンを愛し、彼女のためにレコードを用意してクリーニングまでしたというのに、「グレッグへのサプライズギフトにする」と言われ、腹を立てて殺害したのだった。
感想
毎年恒例の「オールド・ベガス」エピソード。……と、ここまで書いてから前シーズンのエピガイを確認してみたら、前年も第4話「ゲッダの日記」がその系列だった。何だか順番までルーティン化してません?
まぁ、でもグレッグの書いていたベガス・マフィアのモブ列伝が無事に出版されていたとわかって良かった。確かウォリックの事件の時、出版の打ち合わせに向かう途中で引き返して来たはず。その時に会う予定だったのが、今回の被害者なのだろうか。
ラッセルも、プレミアでの言動を思い出すと「お前が言うな」感はあるが、しかしグレッグを捜査からはずさず資料の分析をさせた点は良かったと思う。これは被害者の人物像を知るグレッグにしかできないことだから。
それにしても、運搬していたピアノの中で女性が死んでいたら、そりゃ驚くだろうけど、だからって砂漠に置き去りに!? そして何食わぬ顔でベガスの仕事に戻って良いものなんだろうか。貴重なピアノなのだから、届かなければ当然「どうなった」となるはずだし、「中に死体があったのでピアノごと捨てました」ってなわけにはいかないだろう。あの店員、グラゼッティが殺したと思って「暗黙の了解」で黙っているつもりだったのだろうか。
伝説のピアニスト、リド・ライトの謎めいた死の真相――と煽るわりに情報が少ないなぁと思っていたら、やはり生きていたか!でも本物のグラゼッティの最期が想像を超えて情けなかった(涙)。