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CSI - Season 14, Episode 5
#300 Frame by Frame
- 邦題:「14年間の十字架」
- 脚本:Gavin Harris
- 監督:Alec Smight
- 初回放映:2013-10-23
事件概要
ダーシー・ブレイン
2000年に発生した失踪事件。18歳のダーシー・ブレインが裕福な資産家ジャック・ウィッテンとともにクラブから出て行ったのを最後に消息を絶つ。ダーシーの車はその後、彼女の血痕が付いた状態で発見されるが、肝心のダーシー本人は見つからず、殺害されて遺体を遺棄されたと判断される。
事件当時は主任だったグリッソムが不在だったため、キャサリンが担当するが、有力者ウィッテンがからむ事件だったため、昼番の主任だったエクリーが強引に捜査を引き継ぎ未解決のまま終了していた。
ウィッテンは古い映画スタジオをテーマにした「プレミア」というカジノを開こうとしていたが、この事件で投資家が次々に手を引いてしまい、以降は世捨て人のような生活を送ることになる。
グウェン・オネッタ、エミリー・ブリッドウェル、ボブ・ギア
ジャック・ウィッテンの自宅で若い女性が死亡し、ウィッテン自身が通報する。彼は自宅にある試写室で映画を見ており事件については何も知らない、被害者とも面識はないと主張。13年前の事件を担当したサラと当時分析官だったグレッグは「今度こそ」とダーシーにつながる証拠を探そうとし、エクリーも「あの時の私の判断は間違っていた」と反省を示す。
死亡していた女性は麻薬所持の前歴を持つグウェン・オネッタ。頭部に鈍器損傷があり、ガラス片が検出されるが、グラスやボトルの物ではない。また、現場にはコルクの欠片が落ちていたが、そばにあったワインのコルク栓は割れていなかったた。
ウィッテンは父親の代から美術品のコレクションを所持していたため、グレッグは自宅のどこかに保管庫があるのだろうと見当をつける。美術品を保管する際に湿度を管理するためにコルクがよく使用されるのだ。グレッグは壁の中から隠し扉を見つける。そこは暗証番号式で施錠されていたが、グレッグは「プレミア」のオープン予定だった日付を入力して解錠に成功する。保管庫の中には、もうひとりの女性が手を縛られて監禁されていた。
その女性、エミリー・ブリッドウェルは病院に運ばれ、「友達のグウェンとクラブへ行き、そこで出会った男性に誘われて来た。そこで保管庫に閉じ込められ、グウェンが叫ぶ声が聞こえた」と供述する。ラッセルはそれを聞き、グウェンの倒れていた部屋と保管庫は離れているのに、声が聞こえたのはおかしいと不審に思う。
グウェンの頭部から発見されたガラス片が懐中電灯に使われるものらしいとわかり、改めて保管庫を捜索すると、ガラスの割れた懐中電灯が発見されるが、そこに付着していたのはエミリーの指紋だった。
もう一度エミリーに事情を聞こうとするが、彼女は呼吸不全を起こして急死していた。遺体は青く変色し、銀を摂取したものと思われた。胃の中から古いフィルムが発見された。
近くに駐車されていたエミリーの車からは、セキュリティコードなどを書いたメモが発見される。どうやらエミリーとグウェンは二人組の空き巣で、フィルムを盗み出すためにウィッテンの家に忍び込んだらしい。そしてエミリーがグウェンを殺害した動機も携帯電話の通話履歴から明らかになる――エミリーの恋人がグウェンとも交際していたのだ。おそらく、目的のフィルムを探している時に間の悪いメール着信があり、エミリーはカッとなってグウェンを殴り殺害。その後、保管庫でフィルムを探している時にウィッテンが戻って来て通報する声が聞こえたので、あわててフィルムを飲み込み、自分で自分を縛って監禁されたように見せかけたのだろう。
フィルムを調べてみると、笑顔で歩いて来るダーシーの姿が映っていた。その表情から、撮影者との間に親密な関係がある様子が伺えた。ホッジスはそのフィルムを使用するビンテージカメラを集め、フィルムに付けられる傷と照合して撮影に使用されたカメラを割り出す。それは質屋にあったもので、2ヶ月前にボブ・ギアというカメラマンが売ったものだという。ウィッテンは「プレミア」のオープンに備えて、ビンテージフィルムで撮影した映像を制作させており、ボブ・ギアもその撮影に加わっていた。ギアが質入れしたフィルムを、偶然ウィッテンが買い取ってコレクションに加えたようだ。
サラ等はボブ・ギアの自宅へ向かうが、ギアはすでに射殺されていた。凶器は22口径の銃で、ウィッテンも同じ口径の銃を所持していた。
ウィッテンは犯行を否定し、ギアを雇ったのは昔のことで今はほとんど接触がないと言う。ダーシーが映ったフィルムも見たことがないと主張する。銃も凶器とは一致しなかった。
ウィッテンはようやく、ダーシーと親しかったことを認める。彼女は何か問題を抱えており、ウィッテンと同じく古い映画が好きだったため、よく自宅に招いて一緒に映画を見ていた。だがある朝、目が覚めると自分の横でダーシーが血まみれになっていた。そこへボブ・ギアが現れ「後は任せろ」と遺体を始末してくれた。ウィッテンはギアに大金を支払い、その時にギアが撮影した写真をずっと保管していたのだ。
ギアが遺体写真を撮影したなら、脅迫のためにフィルムを盗む必要はない。ダーシーの事件は再び暗礁に乗り上げるが、グレッグはキャサリンの言葉を思い出し、専門業者に依頼してフィルムを修復させる。細かい部分まできれいに見えるようになった映像を確認すると、背後の電光掲示板には、ダーシーが失踪した2ヶ月後、2001年1月のニュースが映っていた。ダーシーは死んでいなかったのだ。
サラは、ギアの通話記録から「ヴィヴィアン・シンクレア」を割り出す。ヴィヴィアンことダーシーは、父親の虐待から逃れるため、ギアと組んで一芝居打ち、自分の死を偽装して別人になりすました。そしてシカゴで結婚して二児の母になっていたが、ギアからの連絡で例のフィルムがウィッテンに買い取られたことを知り、今回の計画を企てたのだった。
感想
300話記念エピ。なのにニックの出番が(昔の映像以外)なかったのが残念。番組の方向性で揉めて、一時降板中だった(この数話後に復活するはず)とはいえ、300話記念なのに……。
さらに言うと、14年前の回想シーン(新録)の映像処理がいまいちだったのも残念。若返りフィルタは使えなかったのだろうか。しかし、というかだから逆に、ラストで流れた昔の映像に、懐かしさがより強く感じられたかもしれない。特にサラ。こんなに美人だったっけ? って、まじまじと見てしまったわ。髪型も当時の方が良かった気がする。
台詞でダーシーの事件は「14年前」と言われていたけど、シーズン1の年(2000年11月)なら「13年前」だよね。シーズン1の時点でデイヴィッドはもうモルグにいたはずだが、前シーズンでの設定変更(シーズン1の2年前に高校を卒業)は有効らしく、ウィッテンや「プレミア」の話は知らないようだった。
真相が明らかになって、途端にウィッテンが物分かりの良い善人になった感じだが、この判断力が13年前にあれば……と思わずにいられなかった。ダーシーとギアの芝居もかなり危うい冒険だったと思うが、あの時点でウィッテンが通報しようとしたらどうなっただろう。この点はまぁ、ウィッテンも世捨て人のように13年を過ごすうちに変わっていったんだなぁと思っておこう。エクリーも良い人になったし。
とはいえ、ウィッテンがギアから「法外な料金を請求された」と言った所はちょっと笑った。死体遺棄という重罪をやらせておいて「法外」もないもんだ。結局狂言だったので悪質であるというのはその通りなのだが……。
最後の場面(証拠保管室)でサラがグレッグに見せていたキラキラのヘッドドレスは、シーズン1「歪んだ愛」に出てきた伝説のショーガール、ポーシャが使っていたものだと思う。でもこれって保管しておく必要はあるのだろうか。事件と直接の関係はなくポーシャの毛髪を採取するのが目的だったので、取ってしまえばもう用済み(だからグレッグがかぶって遊んでも良かった)で返却すべきだと思うのだが。