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CSI - Season 14, Episode 12
#307 Keep Calm and Carry-On
- 邦題:「エアポート逃避行」
- 脚本:Thomas Hoppe
- 監督:Brad Tanenbaum
- 初回放映:2014-01-15
事件概要
ヘレン・モリソン
ニューアークから飛行機でラスベガスに到着したばかりの女性が、空港の近くで遺体となって発見される。状況からみて、走行する車から飛び降りるか投げ落とされるかしたらしい。車が停車した形跡はないので、運転手は救助せずそのまま走り去ったということになる。ニックとサラは発見現場近くを調べている途中、飛行機にレーザーポインタを照射するといういたずらをしている少年を見つけ、航空法違反で逮捕する。
飛行機のチケットに記載された氏名はジャネット・リギンズで、機内では着陸の直前に盗難騒ぎが起きていた。ケニーという乗客ともめていたらしいとわかって事情を聞くと、ケニーは時計を盗まれてジャネットが犯人だと確信し、彼女のスマートホンを奪って交換を持ち掛けようとしていたという。
ジャネットのスマホを押収して調べてみると、彼女は「ナリー清掃サービス」に電話をかけていた。経営者のジェファソン・ナリーに事情を聞いたところ、ジャネットは偽名で本名はヘレン・モリソンと判明。ナリーはヘレンと同じ高校に通っていたのだが、ヘレンは既婚者であり連絡を取る気はなかったという。
その後、機内の窃盗犯はハンク・キャッサマンという乗客だとわかる。ハンクは窃盗の常習犯で、乗客の様子を観察して現金や貴重品に目をつける名人だった。ヘレンにも早くから注目し、荷物から3万ドルもの現金を奪っていた。さらに、ヘレンが何度も化粧直しをしていたことから、それは顔のアザを隠すためで「暴力をふるわれていたのだろう」と言う。
ハンクのにらんだ通り、ヘレンは夫のアレンから長年にわたりDVを受けていた。そのアレンは妻を追ってベガスへ来ており、モルグでロビンス医師を相手に騒ぎを起こしていた。アレンはヘレンが3万ドルを持って逃げたことを知り、直行便の飛行機で先回りするつもりだったが、結局は飛行機の遅れで間に合わず、そのためアリバイも成立することとなった。アレンは、ヘレンの浮気相手は「清掃業者のジェファソン」だったと言う。
改めてジェファソン・ナリーに事情を聞くと、ナリーはアレンの暴力を知り、バーで知り合った「ウルフ」という謎の人物にヘレンの逃亡を手助けするよう依頼したことを認める。ウルフは偽の身分証明書や飛行機のチケットなどを用意し、安全のために最低半年は連絡を取るなと命じていた。それでナリーはヘレンからの電話を無視したのだった。ヘレンの3万ドルはウルフへの報酬だったが、それを機内で盗まれてしまったため、仕方なくナリーに電話したものと思われた。
グレッグらはナリーの供述を元に「ウルフ」を探すが見つからない。偽のIDのに埋め込まれたRFタグや、レーザーポインタで遊んでいた若者らの目撃証言から、どうやらウルフはナリー自身であったらしいとわかる。ナリーは清掃を請け負っている印刷会社のデジタルプリンタを勝手に拝借して身分証を印刷していたのだ。
ナリーはようやく、「ウルフ」とは架空の存在であったことを認める。ナリーは空港でヘレンを車に乗せたものの、大金を盗まれたうえに「ウルフ」が実在しないことを知って「夫に殺される」とパニックになり、もみ合っているうちに転落させてしまったのだった。
ハンクが盗んだ金はアレンに返却されるが、ニックはモルグでロビンス医師ともみあいになったことを根拠に、アレンを暴行罪で逮捕する。
感想
貴重品は手元から離さず持っていましょう――という教訓で終わりそうなエピソード。少なくともいくつかに分割して、一部はハンドバッグに、一部は「ウルフ」用の私書箱にでも送っておけば被害はもっと少なく済んだはず。
それに、ナリーは何のためにあそこまで手の込んだ話をでっちあげる必要があったのか。2人でやり直すつもりなら、ヘレンには真相を話しておいても良かったのでは? 目当てはあくまでお金だったので、高く吹っ掛けるためにはそれなりのストーリーが必要だったということなのだろうか。「別人になりすましての逃避行」まではサスペンスドラマのようでカッコいいけど、その後どうするつもりだったのか、いまいちピンとこなかった。
ナリーはヘレンへの愛情を強調するが、どうもやり方が手慣れているし、実は本当に「ウルフ」として活動して稼いでいたんじゃないかという気もする。