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csi:s14:312_long_road_home

CSI - Season 14, Episode 17

#312 Long Road Home

  • 邦題:「ロックンロール・オールナイト」
  • 脚本:Gavin Harris
  • 監督:Phil Conserva
  • 初回放映:2014-03-12

事件概要

マーシー・コーディ他

リムジンの中で血まみれになった若い女性の遺体が発見される。売春勧誘の前歴があったことから、氏名はマーシー・コーディと判明。そのリムジンはロックバンドが借りていたもので、運転手は急性アルコール中毒で病院に搬送されていた。運転手は借主のことは何も知らなかったが、マーシーの他に「タンジェリン」という女性がいたことがわかる。

車内に殺害の痕跡がないことから、別の場所で殺害されてからリムジンに運ばれたものと思われた。車内からは契約書と緑色のガム、溶けて塊になったギターピックなどが発見される。またマーシーの胸にサインがあったことから、現場には「KISS」のベーシスト、ジーン・シモンズがいたことがわかる。

シモンズによると、その夜は「スター体験コース」というパッケージ商品の仕事をしたとのこと。素人ミュージシャンが大金を払って大物と共演し、スター気分を味わうという商品。その日の「顧客」は会計士のボコースキー、ビジネスマンのヤング、ビール製造業者カペーナの3名だった。

体験コースの会場となったライブスタジオへ行ったところ、そこには大量の血の痕があり、そこが殺害現場らしいとわかる。経営者の「キャット」はグルーピーとしてマーシーを雇ったことを認めるが、タンジェリンは違うという。スタジオには大きなドーナツ型を描く謎の血痕もあった。

ニックはミュージシャンのドキュメンタリー映画から着想を得て、ドラムで再現実験を行う。その結果、スタジオにあったドーナツ型の血痕は、血まみれのドラムを叩いたためのものとわかる。おそらく犯人が殺害後、興奮状態でドラムを叩いたのだろう。

スタジオにドラムはなかったが、その後グレッグとモーガンが近くの路地で発見。ドラムの中には1人だけ所在不明だったレックス・ヤングの遺体が入れられていた。

他メンバーの話から、ヤングには音楽プロデューサーからプロデビューの話が来ていたことがわかるが、調べてみるとそれはよくある詐欺の手口。ヤングから金をだまし取ったのは、体験コースを主宰するキャット本人だった。キャットは殺害への関与を否定し「ヤングはタンジェリンと言い争っていた」という。

ヤングは破られた紙片を持っており、そこには「Long Road Home」という詩が書かれていた。指紋から売春勧誘の前歴を持つアンジェラ・グレンの存在が判明。どうやらそれが「タンジェリン」の正体と思われた。

そこへジーン・シモンズがタンジェリンを伴って現れる。DNA照合の結果、彼女はヤングの娘であることが判明。両親が別れた後、彼女は施設に預けられていた。ヤングは後悔して娘を探し、償おうとしていた。そこで彼女を雇い、タイミングを見計らって正体を明かし、娘への歌詞を手渡したのだった。タンジェリンは、いったんは激昂して歌詞カードを破いたものの、その後考え直して和解したと主張。彼女がスタジオを出た時はヤングもマーシーも元気で生きており、その後レコーディングをする予定だったという。

結局、その時に収録された音源から、スタジオにいたもう一人の人物が判明する。タンジェリンが去った後に現れ、バックコーラスを担当した会計士のアーノルド・ボコースキーだった。ボコースキーは「自分の方が上手いのに」と、ヤングのわがままにうんざりしており、不満が爆発してヤングを刺殺し、怒りにまかせてドラムを強打したのだった。ボコースキーの犯行であることは、彼自身が契約書でオーダーしたオーガニックガムから判明する。マイクの内側にガムの痕跡が残っており、キシリトールの分解速度から逆算した結果、ボコースキーが犯行時刻にスタジオにいたことが裏付けられたのだ。


感想

KISSのベーシスト、ジーン・シモンズが本人の役で登場。台詞もしっかりあり、しかもタンジェリンの身柄を引き渡すという重要な役回り。シーズン10ではラスカル・フラッツがやはり本人役で登場していたが、こういう出演はそれ以来だろうか。人気ミュージシャンとしては、その後ジャスティン・ビーバーも登場したけれど、彼は俳優として役を演じていたので。また前シーズンにはオジー・オズボーンが出演したが、ストーリーには関わってこなかった。

血痕の形に注目してドラムで再現実験を行ったり、キシリトールの分解速度からマイクを使った時刻を逆算して割り出すなど、久々に「科学捜査の要素が面白い」と思ったエピソードだった。血痕分析はフィンの役割じゃないかとは思ったけど、やはりドラムを叩くのはニックの方が適役かな。「音楽のドキュメンタリー映画を見ていて思いついた」のは、脚本家さん自身の体験のような気がする。

最後、ブラス警部がタンジェリンに「いつでも相談に乗る」と電話番号を渡していたけれど、ここ数回続けて「父と娘」の関係がストーリーに織り込まれているのは伏線なのだろうか。このシーズンはブラスとエリーの話で始まったので(厳密には前シーズンフィナーレの後半だけど)、この後フィナーレに向けてまたエリーの話が蒸し返されるのではないかという気がする。

作中でラッセルが言っていた「ホテルのプールにリムジンを沈めた」という話。ザ・フーの逸話として語られているけれど、実際にあったかどうかは確認が取れていないようだ。IMDbでトリビアを確認してみたところ、実際にあったと言っているのはキース・ムーンだけで、他のメンバーは「記憶にない」「起きていない」と言い、ホテルにいた別の人々は「車ではなく他のさまざまな物を沈めた」と言っているらしい。その場で写真を撮ってネットに上げるという時代ではなかったのだ。

Yoko (yoko221b) 2021-02-01

csi/s14/312_long_road_home.txt · Last modified: 2021-03-17 by Yoko