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csi:s15:335_the_end_game

CSI - Season 15, Episode 18

#335 The End Game

  • 邦題:「別れの夜」
  • 脚本:Christopher Barbour
  • 監督:Alec Smight
  • 初回放映:2015-02-15

事件概要

ヴァンス姉妹他

フィンの自宅に母親の名前で小包が届けられる。中にはギリシャ神話に登場する双子を象った置物とともに切断された人間の指が入っていた。開けた直後、ウィンスロップから電話がかかり「終わりの始まりだ」と告げられる。

フィンはウィンスロップの情報を得るために、ダニエル・ショーを一時釈放させ、デートクラブの「影の斡旋者」に会いに行く。聖職者でありながらポン引きでもあるブラザー・ラーソンはウィンスロップに女性を斡旋したことを認め、金を出していたのは「父親のコリン・ウィンスロップだ」と言う。

フィンに送られた指はウィンスロップのもので、浸されていた液体からはタトゥーの顔料が検出される。置物には血液が付着しており、「双子の事件だから」と抗体検査を行った結果、ウィンスロップではなく双子の女性の血液と判明。顔料は珍しいもので、ブリスコも同じ色のタトゥーを入れていた。ウィンスロップはブリスコと同じ指を切断し、タトゥーを入れて文字通り一心同体になろうとしているようだ。

その顔料を使っていたタトゥーアーティストのアメリア・ヴァンスが、最近シアトルからベガスへ移転し、双子の姉妹と住んでいることがわかり、自宅へ行ってみると人の姿はなく、鑑識済みの現場があった。だが新しく導入されたハイパースペクトルイメージング技術を使って血痕の経過時間を測定したところ、死後12時間と判明。今までは数週間経過していたので、犯行の方法が明らかに変わっている。さらに、鑑識作業が雑であることや使用した凶器が異なるという違いもあった。現場に置かれたレコーダーの音声も同じ内容を述べ、さらに「別の形へと変貌を遂げた」と続いてラッセルを挑発する。快楽殺人ではなく、自分から双子の兄弟を奪ったラッセルへの復讐心に動かされているのだ。

現場にあった縄には珍しいサボテンの花粉が付着しており、そこから再びコリン・ウィンスロップとの関わりが浮上する。コリンは園芸愛好家だが、2006年に性的暴行で訴えられメキシコに逃亡していた。だがその後、国内に戻っていたのではないか。ショーがウィンスロップの金銭関係を調べたときに、自然保護団体に多額の寄付を行っていることがわかっており、その団体を通じてコリンに金を渡していたという可能性が考えられた。

団体の本拠地はサンディエゴなので、ニックはノーランを通じて協力を要請し、フィンとショーとともに現地へ向かう。

コリン・ウィンスロップが一行を出迎えるが、協力は拒否。だが現地のCSIとともに離れを調べたニックは、鑑識に使う糸やマーカーを発見する。そして冷凍庫の中には双子姉妹の遺体が入っていた。

コリンはその場で逮捕されるが、連行しようとしたところでフィンの携帯電話にウィンスロップから着信がかかる。その直後コリンは狙撃され、ショーもフィンをかばって被弾し死亡する。狙撃現場にはライフルだけが残され、ウィンスロップの姿は消えていた。

防犯カメラの映像を調べたモーガンは、コリンとブラザー・ラーソンの姿が映っていることに気づく。声は聞こえないが、そばにある植物の振動を解析して音声を復元することに成功。2人はコリンの娘メイのことを話し合っていた。

ラーソンは取調べに応じ「メイは15歳で家出し、修道院に逃げ込んだ。実父の子を妊娠していたからだ」と打ち明ける。そこでメイはナンシー・ハーパーと名乗り双子を出産。育てることはできなかったが父には渡したくない。ジャレッドの方はもらい手が見つかったが、病弱だったポールは死んだことにした。だが結局コリンはポールを探し出して引き取り、ジャレッドは見つけられなかったのだという。

だがラッセルは、近親相姦は大嘘だと指摘。DNA鑑定により、双子の実父はラーソン自身だとわかっていたのだ。ラーソンは嘘を認め「メイを守るために嘘をついた。ポールは母親の幻を殺し続け、今や破滅へと突き進んでいる。メイを守ってやってくれ」と言う。メイはまだ修道院にいる。以前にフィンを案内したシスター・アリスこそがメイだというのだ。

ラッセルはフィンとともにシアトルへ向かうことにするが、フィンの自宅へ行ってみると、ドアの取っ手には血痕が。中に入ると、そこには鑑識済みの現場があった。衝撃を受けるラッセルの前にウィンスロップが現れ「フィンを殺した」と言う。ラッセルへの復讐として「かけがえのない存在を奪い取る」ことにしたのだ。

だがラッセルは、血液の量が少ないことや、鑑識作業がまだ途中であることを指摘。フィンはまだ近くにいるはず。ラッセルはフィンの居場所を聞き出そうとするが、そこに応援が到着してウィンスロップに発砲する。ちょうどその時、地下の駐車場にいたグレッグとモーガンが知らせを受け、車を1台ずつ調べる。そこでカリフォルニアとの州境の近くで盗まれた盗難車を発見し、トランクを開けてみると、そこには血まみれになったフィンが瀕死で横たわっていた――。

ウィンスロップは一命をとりとめ、今後裁きを受けることになる。フィンは昏睡状態のまま。サンディエゴCSIの主任に決まったニックは「こんな状態では去りがたい」とためらいを見せるが、皆に励まされて旅立って行く。


感想

ギグ・ハーバー・キラー事件、ようやく解決。事件の全貌が明らかになった――とは言い難いのだが、説明を増やせばよいというものではないし、少々物足りないくらいの方が良いのかもしれない。終ってみれば、一連のエピソードの中ではこのフィナーレがいちばん面白かったんではないかな。ジキルやハスケルの時と比べても、だんぜん良かった気がする。

……でもよく考えると、「良かった」という印象は、最後さわやかに去って行ったニックのおかげかもしれないけど。

シアトルで5年以上前に始まった連続殺人事件。双子の出生には、やはり出ました「父と娘」関係が大きく影響していた。前回でも述べたように最近のシーズンは「父と娘」の関係が注目されることが多い。この双子の周辺にだけは見られなかったが、それが最終回で、こう来るか。

また、シーズン13「地獄の9つの円」のブラザー・ラーソンが再登場したことでも「父と娘」アークの一環であるという関わりが増した気がする。

双子の母親はコリン・ウィンスロップの娘メイ(May)。ラッセルの娘マヤ(Maya)との名前の類似は気になるが、今回マヤについては、警備を強化したという以外は特に言及がなかったと思う。ポールに深手を負わせたのはマヤだが、その復讐は考えていなかったのか。確かにマヤに執着していたのは死んだジャレッドの方で、ポールの狙いはシーズン開始時からフィンレイとラッセルだった。

今シーズンの冒頭で、フィンは爆弾を仕掛けられた車に閉じ込められたし、今回は凶器と指を送りつけられる。あのタイミングで電話をかけるには、近くから覗いているか、隠しカメラをしかけておく必要があるだろう。その自宅へ一人で帰したのはやはり不用心と言わざるを得ない。

そしてラーソンは「メイは実父の子を妊娠した」と衝撃的なことを言うが、その場で嘘を指摘され「メイを守るために嘘を言った」とあっさり撤回。衝撃の強さの割に扱いが軽いし、この嘘がどうメイを守ったのか、その点がピンとこない。ポールはコリンとメイの関係を知って殺意を抱いたのではなかったのか?

ラーソンは、メイではなく自分の身を守りたかっただけのようにも見える。あれでも一応は聖職者なのだし、15歳の娘を妊娠させたとわかったらコリンに殺されかねない。誰だってあの一家と親戚になりたいとは思わないだろう。

しかし実際のところは、撮影してから放映するまでの間に話が変更されたのじゃないかと想像している。最初は逆だったのではないか? ラーソンは自分が父親だと言うが、DNA鑑定で他人であることを指摘されて真相を口にした――という方が、展開としては納得できる気がする。しかしネットワークドラマでその展開はちょっと……と、どこからか横やりが入り路線変更。ラーソンの場面を編集して順序を入れ替え、ラッセルの台詞を収録し直したのではないだろうか。もちろん想像にすぎないけど、ラーソンの台詞は具体性に欠ける言葉が多かったし、態度にも双子の父親らしい描写がなかった。もっと言うと「父親らしさがない」という描写も感じられない「赤の他人」的な存在。

そんなこんなで。一連の事件に関する説明は十分とはいえなかったが、ともかくこれで「ギグ・ハーバー・キラー」アークは終了。ついでにCSIも終了が決定した。フィンが昏睡状態のままなのが気になるが、ラストを締めたのはサンディエゴの主任になるために旅立って行くニック。過去シーズンの懐かしい映像がモンタージュとして挿入され、万感胸に迫る最終回となった(いや、完結編がまだあるけど)。

ニックは全シーズンにレギュラーとして出演し、IMDbの出演者リストでもトップに立つ最多出演者なのだ。捜査官としてはちょっと損な役回りをさせられることもあったけれど、それも成長を描写するためだったと思う。それにニックは本当に、サブキャラも含めて誰とでも相性が良かったよね。

本国アメリカでは、2時間の特番のような形で前回とこのエピが続けて放送された。そうしてみると、今回本編での出番は少なかったけれど、この2話が「ニックお別れエピ」の前後編に見えなくもない。

最後に映った事件ボードは、シーズン1の第1話にも登場していた。この第1話でニックは100件目の事件を解決し、ライバルだったウォリックより先にレベル3の捜査官に昇進した。このシーンがあることで、CSIの中心は実はニックだったんだなぁ……という印象が強くなる。

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え、ちょ、小道具さーん! ニックの事件番号が#100から進んでないんですけど!!

驚いて検索してみたら、シーズン6「クレイジーストリート」でも同じスコアボードが登場し、その時も事件がまったく更新されていなかったと判明。マジか。マジだ。

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よく見えないけど、確かにニックとウォリックの事件は変わっていないっぽい。他の回でも出てきたことあったのだろうか。あったとしても事件番号はやっぱり同じなんだろうな。ていうかJoeって誰?

最後に思わぬオチで笑ってしまったが、ともあれ今まで本当にありがとう、ニック。新天地でも元気でね!!


使用楽曲

  • Deep Six by Marilyn Manson(冒頭)
  • I Lived by OneRepublic(終わり)

Yoko (yoko221b) 2024-08-17

csi/s15/335_the_end_game.txt · Last modified: 2024-08-17 by Yoko