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CSI: Miami - Season 2, Episode 8
#32 Big Brother
- 邦題:「憎しみの絆」
- 脚本:Ann Donahue, Jonathan Glassner
- 監督:Joe Chappelle
- 初回放映:2003-11-17
That's what I do. I clean things up.
事件概要
スティーヴン・ブレーメン殺害事件
真夜中のオフィスで、オプショントレーダーのブレーメンが死亡していた。オフィスの電気は切れていたが、パソコンは無停電電源装置で動き続け、キーボードの上に顔を落として倒れた瞬間から「J」のキーが押されたままの状態になっていた。入力速度と「J」の文字数から、犯行時間が割り出せるはずだった。現場にはハイヒールの足跡。デスクにはシャンパン、キャンドルが用意されていた。血の付いた何かのキャップが落ちていた。
ホレイショは現場検証中に別件の連絡を受け、いったん現場を離れる。
現場にはノートパソコンのケースがあったが、本体はなくなっていた。オフィスのマシンは操作をすべてモニタされていたので、ブレーメンは私物のパソコンを持ち込み、ワイファイカードで別のオフィスの無線通信機器に侵入してインターネットにアクセスしていた。
そのオフィスのサーバを調べると、ブレーメンは毎日のように、Webcamサイトを見ていたことがわかる。カメラを装備した女子寮の映像が24時間ライブで供給されているサイトだった。さらに、アマンダという女性が被害者にメールを送り、犯行当日の午後10時(Jの数から割り出したのとほぼ同時刻)にオフィスで会うことになっていたこともわかる。
サイトを運営している会社を訪ねると、そこに女子寮があった。本物の寮ではなく、作られたセットなのだ。デルコはコントロール室で、元アイスホッケーの選手だった係員から話を聞く。一方カリーはアマンダの部屋へ。客と外で会うことは禁じられており、アマンダはブレーメンのことは知らないと答える。アマンダのアリバイはカメラで証明されたものの、彼女の靴からは、彼女が現場にいた証拠の物質が検出される。再びアマンダを訪ね、カメラの死角で話を聞くと、アマンダはオフィスへ行ったことは認めたが、行った時はもう死んでいた、メールを見られたくないためにノートパソコンを持ち出し、近くのごみ箱に捨てたと言う。
パソコンを回収して調べると、蓋に接着剤が付着していた。アマンダが削除したファイルを復元すると、アマンダが送ったメールが2通発見された。1通は10時に会う約束、もう1通は夜中の12時に会う約束になっていた。IPアドレスを検証した結果、10時の方は偽造で、その偽造メールを送ったのは社長のマシンとわかる。社長のオフィスには接着剤の容器もあった。デルコは、接着剤は加害者が自分の傷をふさぐために使ったとにらみ、管理者の手を調べるが傷はなかった。
手に怪我をしていたのは、コントロール室に勤務する元ホッケー選手のロイドだった。接着剤で傷をふさぐのは、スポーツ選手がよくやる方法なのだ。ロイドは女子寮の映像を管理するうちにアマンダに恋をし、彼女が自分に裸体を見せていると思い込んでいた。大勢のユーザが彼女を見るのはかまわないが、誰かが彼女に触れるのは許せない。それでブレーメンを殺し、アマンダのメールをわざとらしく偽造して社長に罪を着せたのだ。
レイモンド・ケイン殺害事件(reopen)
連絡を受けたホレイショが署に戻ると、そこには以前の事件(シーズン1「覆面捜査官の真実」)で面倒をみたスージーがいた。保護観察を終えてマイアミへ戻って来たが、メタンフェタミンを車に置いているところを見つかり、連行された。ホレイショの名刺を持っていたため連絡が行ったのだ。車はスージーの夫ボブ・キートンのものだった。キートンの家には、スージーが産んだ娘マディソンがいた。ホレイショはマディソンが弟のレイモンドにそっくりであることに気づく。レイモンド・ケインは麻薬の囮捜査官だったが、数年前に射殺されていた。彼は捜査中に自ら薬物におぼれ、悪徳警官(dirty cop)になっていたという噂があった。
ホレイショはメタンフェタミンの成分分析をスピードルに、マディソンのDNA分析をヴァレーラに頼み、レイモンド殺害事件の証拠を調べ始める。DNA鑑定の結果から、ホレイショはマディソンがレイモンドの娘であることを確信。事件前に異動願いを出したことでヘイゲンを問い詰め、レイモンドに妻以外の女性がいたことを知らされる。イェリーナは薬のことはうすうす感づいていたが、女性のことは知らなかった。
ボブはスージーが持ってきた保釈金で保釈される。ホレイショはボブはスージーに暴力をふるっていることを知り、ボブの面倒をみていれば薬はやらなくてすむというスージーに「それは依存する対象を切り替えただけだ」と忠告。
レイモンドの死体に付着していた薬とボブの薬の成分が一致した。ホレイショはボブが働いているペットショップに向かい、薬を押収。さらに、スージーの案内で、ボブが薬物を吸引していた倉庫へ行き、そこでアンテナに偽装した銃身を発見。レイを殺害した弾と旋条痕が一致した。レイモンドはスージーへの虐待を止めようとしてボブと争い、殺害されたのだった。
感想
ついにレイモンド事件の真相が明らかに。でも、前シーズンから引っ張っていたわりには簡単にわかりすぎ……という気がした。事件当時ボブ・キートンはまったく捜査線上に浮かんでいなかったのか?
事件解決それ自体よりも、スージーがレイモンドの子を産んでいたという事実の方が衝撃だ。薬物はまだ、仕事のためと思うことができたが、これは疑いようもなくイェリーナへの裏切り行為。さらにそれをラボの資源を使って確認するホレイショ。待て、ベガスではキャサリンが(ネタバレ)。事件の関係者だからいいのか?
事件前に異動願いを出していたことでヘイゲンを責めるホレイショ。パートナーであるヘイゲンがレイの問題に気づいていなかったはずはない、なのに見捨てた、という思いなのだろうか。弟のパートナーだから、ホレイショにとっても弟みたいな存在だったはずなのに。仲の良かった時期もあっただろうに。レイモンドとイェリーナを中心に、ホレイショ、ヘイゲン、そしてカリーも一緒に家族同然にしていた時期とかなかったのだろうか。庭でバーベキューしたり。
ヘイゲンも何だか可哀想だ。彼はレイが最初のパートナーだと言っていた(シーズン1「死刑台への脱走」)。レイと組んでいた当時はまだアカデミーを出たばかりの新人で、他に相談する人もいなかったのではないかな。ホレイショとイェリーナはレイの身内だし、アカデミー時代から親しかったカリーはホレイショを信頼している部下だし。
レイモンドの事件がいつ発生したか――ということについては、どうも脚本上の混乱、というか路線変更があったらしい。最初は93年だったのに、他のエピソードで98年だったり2001年だったり。このエピソードでは証拠保管箱の日付が2001年の9月になっている。この件については、次シーズンでまた新しい事実が発覚するみたいなので、考えるだけ無駄かもしれないが、シーズン3を見終わったあたりでまとめてみたいと思っている。
もう1つの覗き部屋(実はやらせ)事件。タイトルの “Big Brother” はホレイショがレイモンドの兄であるというだけの意味かと思ったら、どうもこちらの事件の意味も兼ねているみたい。ジョージ・オーウェルの「1984年」に登場する「ビッグ・ブラザー」だ。人々の行動や思考をすべて監視している存在。でも金を取って「監視させてあげる」ことがビジネスになるとは、1984年当時は思ってもみなかったな~。
— Yoko (yoko221b) 2006-06-05