• 邦題：「戻せない時間」
• 脚本：Jonathan Glassner, Brian Davidson
• 監督：Felix Enriquez Alcala
• 初回放映：2004-02-23

I wanna go back there.

民家に強盗が押し入り、ホレイショが現場に急行。家の住人は、サーフボードの製造工場を経営するヘンダーソン氏と、その妻と息子。妻は部屋で縛られ、夫は拉致され、息子はガレージの冷凍庫に入れられていた。大量の血だまりから、夫が生存している可能性は低いと思われた。美術品がいくつか奪われたようだが、ヘンダーソンの高価なサーフボードは残されていた。ヘンダーソン家では毎週決まった日にピザを注文しており、犯人はその習慣を知っている可能性があった。

息子ジェイソンの部屋にはヘロインの袋がいくつも隠されていた。息子は預かっただけだと言う。預けた男の名を聞くと、DEAが以前からマークしているモーリス・デュシャンというハイチの男だった。デュシャンの車を調べると、中にはヘンダーソン家のものと思われる美術品が入っていた。デュシャンは、ヘンダーソンの息子からヘロイン代として渡されたもので、ジェイソンは売人だったと主張。ホレイショはジェイソンを尋問し、彼が父親の工場の従業員に薬を売っていたことを知る。

庭に落ちていたスキーマスクからは、サーフボードに使われるグラスファイバーの素材が検出された。ジェイソンから薬を買っていた従業員のジョセフ・ゼラーに話を聞くと、昨年のクリスマスに社員全員が社長宅に招かれ、美術品のことを知っていたという。

デルコはロープを検査。拠り方や糸の素材からロープの種類を割り出し、犯行当日に現場の近くで同じロープを購入した客がいることをつきとめる。ヘ社の社員スティーヴン・デイヴィスだった。デイヴィスの車には、土のついたシャベルが入っていた。

そのシャベルはヘンダーソンの遺体を埋めたものと仮定して、デルコがヘリに乗り、上空からサーモグラフィーを使って遺体の場所を捜索。何かを埋めると植物が損傷して温度が変化するのだ。変化が見られた場所を掘り返すと、ヘンダーソンの遺体が埋まっていた。遺体に入っていた弾丸は、銃身を短く切ったライフルで撃ったもの。デイヴィスが車に工具を積んでいたことを思い出して調べようとしたが、行ってみると彼は車の中で死亡していた。銃身を短く切ったライフルで胸を3発撃ち、そばに遺書らしきメモを残していた。自殺で胸を3発撃つことへの疑問は残るものの、デイヴィス自身の指には発射残渣があり、メモも本人の筆跡に間違いなかった。隣の座席には毛髪が付着していた。

ヘンダーソン氏はパイプカットしていたが、夫人が妊娠していたことがわかっていた。ホレイショは周囲のホテルをあたり、夫人の浮気相手を調べる。ホテルの宿泊記録とバーの支払から、相手はゼラーと判明。夫人のペンダントは、ゼラーから送られた手作り品だった。

車の毛髪は息子ジェイソンのものだった。ジェイソンは薬物を仕入れるために美術品を持ち出していたので、それをごまかすために、自宅に泥棒に入ってくれるようデイヴィスに頼んでいた。だが留守中に入るよう頼んだだけで、まして殺しなど依頼していないという。

ゼラーは夫人から別れを切り出され、ヘンダーソン家に恨みを抱いた。そこへデイヴィスから泥棒の話をもちかけられ、渡りに船で殺人を計画した。デイヴィスにとっても予定外の殺人だった。ゼラーはライフルを切った時の万力をすでに処分していたが、夫人の手作りペンダントと比較すると、工具痕が一致。ゼラーはそのペンダントを、夫人の目の前で作ったのだ。

事件後、ホレイショの来るタイミング！これはもうCSIの登場の仕方じゃないぞ。刑事より早い。現場に一番乗りって、通報を受けたパトロール警官のタイミングじゃん。CSIは、あの「CRIME SCENE DO NOT CROSS」の黄色いテープをくぐって登場、というイメージがあったんだけどなぁ。

遺体の埋めてあった位置がすごく浅くてびっくり。あれは埋めるというより、上に土を「乗せた」感じだな。土を少し取り除けたら顔が出てきたし。あれだと、野犬がすぐに掘り出してしまいそう。ハリケーンの季節だったら即流出だ。

冒頭の絵に描いたような幸福な家庭が、無残に壊れていく様子が痛々しい。そのシーンだって、息子はすでに麻薬の売人で、母親は浮気相手の子を妊娠していることがわかっていたわけで、うわべだけのものと思うと複雑だが……でも、こんな事件にならなければ、それぞれに立ち直っていく機会はあったかもしれないなと思う。もしその時点に戻れたら――。

で、結局デイヴィスは自殺ってことで良いのかな。美術品窃盗だけのつもりだったのに、なぜか社長を殺して遺体を埋めるはめになってしまい、それに耐え切れずに自殺？ ライフルで胸を3発撃つ自殺もありなのかな。まぁ遺書は本物、本人の手に発射残渣あり、争った形跡なしなら、自殺なのかな。

— Yoko (yoko221b) 2006-06-25