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CSI: Miami - Season 3, Episode 1
#49 Lost Son
- 日本語タイトル:「永遠の旅立ち」
- 脚本:Ann Donahue, Elizabeth Devine
- 監督:Duane Clark
- 初回放映:2004-09-20
You hang in there.
事件概要
リード・ウィリアムズ殺害/ジョーイ・ウィリアムズ誘拐事件
河を疾走する船が橋脚に激突し、橋を破壊する。その船は事故の1時間前に盗難届けが出されていた。船はオートパイロットで動いており、デッキに男の遺体がある他は無人。男は至近距離で額を撃たれていた。身分証から、氏名はリード・ウィリアムズとわかる。
ウィリアムズ家を訪ねると妻タウニーが出迎えた。息子が誘拐され、リードは身代金を届けに行ったのだ。誘拐犯の要求は、300万ドル相当の宝石。息子のジョーイは空手の教室からいなくなったと聞き、道場へ調べに行くと、空手のコーチが買収されてジョーイを連れ出すのを見逃したことがわかる。
船上の現場には、犯人が持って来たらしい袋が落ちており、中には魚が入っていた。それは Triploid grass carp という草食の魚で、除草のために運河に放流されていた。魚の大きさから、いつどこで放流されたかを調べ、その場所へ向かうと、そこにはタイヤ痕がまっすぐ水中まで続いていた。デルコが潜水し、沈められた車を調べる。ジョーイはいなかったが、トランクの中には誰かを閉じ込めていた形跡があった。トランクで採取した毛髪のDNAから、リードはジョーイの事実の父で、タウニーは継母であることがわかる。
最初に船が橋に激突した現場では、川底から大量の宝石類が発見された。しかし、それはすべて贋物。エメラルドには歯で噛んだ跡があった。犯人が本物かどうか確かめるために噛んだのだ。そしてリードは贋の宝石を渡したため、射殺されたものと思われた。
リードとタウニー以外で宝石に触ることができるのは、宝石のクリーニングを請け負っているマコーリー宝石店だけだった。ホレイショとスピードルが宝石店へ行くと、「新しい店主」と名乗る男が出迎える。途中で、スピードルは怪しい動きに気づいて銃を抜く。銃撃戦になり、スピードルは被弾し、死亡。IABのステットラーがやって来るが、現場へ駆けつけたカリーがいち早くホレイショとスピードルの銃を受け取っていた。「店主」はただ宝石を贋物とすり替えただけの泥棒で、銃を持っていたのは警備員とわかる。誘拐とは無関係だった。
カリーはスピードルの銃を調べ、発射していないことに気づく。弾づまりで撃てなかったため、スピードルが自分の銃を見た。その際に被弾したのだった。
運河から引き上げた車には、前歴のあるピート・ケラーという男の掌紋があった。SWATが自宅を急襲してケラーを逮捕。リードを殺したものと同じ口径の銃を持ち、前歯が欠けていた。だがピートは「自分は手を引いた、タウニーに聞け。誘拐は彼女の計画だ」と言う。
空手のコーチが受け取った封筒を調べると、それはコーチのティモンズ自身の物であることがわかる。犯人から「渡された」物ではなかったのだ。デルコは道場の床で、マンチニールの樹液を発見。この木が生えているのはヘルズベイという、ワニの生息する危険な場所だ。ホレイショは現場へ向かい、乗り捨てられた車と、沈みかけた船の上に取り残された少年を発見。犯人はワニに襲われたらしく、血に染まった上着だけが残っていた。ホレイショは川に入り、無事に少年を救出。
タウニーの本名はシシーといい、昔はピートと組んで悪事をはたらいていた。ターゲットは常に50代~60代の妻を亡くしたばかりの男性。寂しさにつけこんで近づき、詐欺や盗みをしていたのだ。リードにも同じように近づいたが、彼と継子のジョーイを本気で愛してしまったため、ピートとは手を切り過去を隠して暮らしていた。ピートはそれを恨み、ティモンズと組んでジョーイを誘拐したのだった。
カリーはスピードルの銃を調べるが、結論は最低限の「動作不良」にとどめ、その原因には言及しなかった。
感想
スピードル……
事前にネタバレは見ていたし、スピードル役のロリー・コクレーン自身が降板を希望したことも知っていたので、それはそれで仕方ないなぁと思っているが、殉職の仕方としてコレはないんじゃないか……と思う。&sad;
誰かを守ったわけでもなく、命と引き換えに事件を解決したわけでもなく。銃が撃てなかったというその状況さえも、シーズン1「ネディアー・キーレの正体」の使いまわしってのはあんまりじゃないか。ロリー・コクレーンのインタビューを読むと、彼本人もこの死に方には満足していないらしい(“lame” と評している)。
前シーズンの「盗まれた証拠品」や「CSIの汚名」で少しずつスピードルの人となりにスポットが当たってきた感があるだけに、このような退場はとても残念に思う。キューバ難民や弾丸ガールといったわかりやすい属性があるデルコやカリーに比べると、確かに目立たない存在ではあったかもしれないが、少しずつ味が出てくるのがスピードルの良さだったのに……。「CSIの汚名」で登場したAV女優のクッキー(サラ)も再登場しそうな感じだったし、きっとスピードルに関してはクリエイター側にもいろいろ計画があったのだろうと思う。それがコクレーンの降板で全部ふいになってしまったわけで、思惑をだいなしにされた恨みから、あのような方法で殺害に及んだと考えると、動機としては、まぁわかるような気もするが。
だがそれはそれとして、このエピソード自体は印象深い良いエピソードだった。いきなり意味もなく橋を破壊する(この破壊自体に必然性ないし)というマイアミならではのド迫力のオープニング、誘拐された少年の命がかかっているという緊迫感によるテンポの良さ。魚や樹液から場所を割り出すという展開も、いかにもマイアミらしい。撃たれたスピードルに呼びかけるホレイショの悲痛な叫び、泣きながら検死するアレックス(この場面の音楽の歌詞が “Where is my boy?” だったのが余計に悲しい)。ロッカールームでお互いを支えあうように抱き合うホレイショとカリー。葬儀の場面で、涙をこらえるかのように目をしばたたかせるホレイショのあの表情。皆素晴らしい場面を作っていたと思う。
だが――というか、だからこそ余計に、その素晴らしい場面のほとんどを構成していたのが、スピードルではなかった、ということが残念だ。もっと光が当たって良い、それに値するキャラクターだったと思う。