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CSI: Miami - Season 3, Episode 7
#55 Crime Wave
- 日本語タイトル:「津波大パニック 無法地帯」
- 脚本:Elizabeth Devine
- 監督:Karen Gaviola
- 初回放映:2004-11-08
カナリヤ諸島の火山の山体崩壊により津波が発生。数時間後にはマイアミ海岸に達するとの予報が出され、海岸付近の住民は避難を始める。ガソリンスタンドとATMには長蛇の列ができ、街には混乱が広がる。
A decent guy wouldn't have exploited this tragedy in the way that he has.
事件概要
レオン・コードウェル/レジーナ・ディーコン殺害事件
混雑するスーパーマーケットの駐車場で、男女2人の買い物客が殺害された。2人とも頭を尖ったもので刺されており、現場には女性が持っていたオレンジが散らばっていた。
男性の名はレオン・コードウェル。腕の刺青から前科者と判明。対して女性はレジーナ・ディーコンという女子学生で、たまたまその場に居合わせただけのようだった。
コードウェルの所持品の中には銃と銃弾があったが、銃弾は銃よりも強力な物であったため、津波に乗じて犯罪をたくらんでいるという疑いが浮上する。車には大量の白い毛髪、買い物荷物は非常はしご、ビニールのチューブ、小型マグライト。それが犯罪に必要なものなら、仲間はまだそれを必要としているはずと判断し、付近の店で同じ品物を購入した男、スティーヴ・リディックを逮捕する。リディックの靴にはオレンジを踏んだ形跡もあった。だが地方検事ネヴィンズは証拠が乏しいと難色を示し、リディックは釈放される。
コードウェルは気管支に繊維が多く、無呼吸状態に陥っていたと考えられた。おそらくその症状のため、犯罪仲間としては使えないとみなされて殺害されたのであろう。
ゴールデンビーチ信託銀行襲撃事件
レオン・コードウェルの車で採取した白い毛髪は、何匹もの犬の毛だった。犬種(グレイハウンド)から推測してドッグレース場へ行くと、そこには実験で穴を開けたようなハリケーンガラスがあった。そのガラスはカスタムメイドで特殊なサイズ。同じサイズのガラスがゴールデンビーチ信託銀行に設置されていた。ホレイショはデルコとともに銀行へ向かう。
ゴールデンビーチ銀行へ到着すると、2人組の強盗が銃を乱射していた。ホレイショとデルコは、そこで強盗2人を射殺。武器はコードウェルが持っていた銃弾と一致するが、リディックの姿はなかった。そこへ津波が襲い、ホレイショらは地下の金庫室に避難して難を逃れる。
目撃情報から、犯人グループの1人が津波の前に逃げたことがわかるが、それがリディックかどうかは不明だった。
ホレイショは負傷した支店長夫人を見舞い、支店長のライリーが行方不明であることを知る。トリップ刑事は支店長の自宅でウィーラーという従業員のファイルを発見し、その住所へ向かう。ライリーは、現場から逃亡した犯人が部下のウィーラーであることに気づいたのだ。だが、その場にいたリディックがライリーを人質にして逃亡。ただちに緊急配備するが、取り逃がしてしまう。
一方で、銀行の襲撃事件に関して不審な点もいくつか浮上していた。犯人はなぜ天井に向けて銃を乱射していたのか。最初の被害者コードウェルが調達していた道具が、強盗に使われていないのはなぜか。ハリケーンガラスを壊す練習をしていたのに、それも実行していなかった。ドッグレース場にいた男の服には爆発物の痕跡があるのに、爆発物は使用されていない。
銀行をもう一度調べると、2階にあった金庫が破られ、金の延べ棒が奪われていたことがわかる。爆発物は金庫を破るためで、強盗が天井に銃を乱射して爆発音をごまかしたのだ。現場には非常はしご、爆破に使用したチューブ、浮き袋らしい繊維の切れ端があった。細長いパンチで窓に穴を空け、金に浮き袋を付けておくと、後は津波が窓を破壊して金を運び去るという寸法である。
浮き袋の持ち主は、シリアル番号から津波研究者のグリーズマー博士と判明。博士は、研究のために重要な浮き袋がなくなって困っていたと言う。強盗は津波を利用して金を運び出していたが、ウィーラーの供述から、それは少なくとも3ヶ月前から計画されていたはずだった。津波は火山の山体崩壊で起きたが、それを前もって予測することは不可能。おそらく、最初はハリケーンを利用するつもりだったが、津波が先に来たのでこれ幸いと利用したのであろう。
浮き袋は倉庫に保管していた。他に鍵を持っているのは、オフィスを共有しているハリケーンの専門家、レスリー・ハリソン博士。
レスリーはリディックと何度も電話のやり取りをしていた。レスリーから、その日爆破予定のホテルの名を聞き出し、ホレイショは現場に急行、ハマーで突っ込み間一髪でライリーを救出する。直後にホテルは崩れ落ちる。続いて沿岸警備隊のレーダーでGPSシグナルを「発信」している装置を探し、金の延べ棒を回収中のリディックを発見する。
エド・ミラー殺害事件
海岸付近に住む伯父の無事を確認したウルフは、その帰りに川べりで女性の遺体を発見する。だが津波の犠牲者ではなく、すでに防腐処置がなされていた。埋葬された後に棺から流出してしまったのだ。近くの墓地からと思われたが、そこでは流出した12体がすでに全員回収されたという。
川べりの遺体の身元は、やはりその墓地に埋葬されていたメイベル・ワイスだった。しかし、その墓地では遺族に無断で墓を移動させたりするなど、管理はずさんだった。また、防腐処置されていない遺体が1体発見される。しかも絞殺されており、身元も不明。ウルフは墓地の出入り口の監視ビデオを要求する。
車両の映像をスキャンし、高さの違いから重量の変化を判断するソフトウェアを使って調べると、来た時より帰る時の方が軽くなっている車が見つかった。持ち主はポール・アボットで、被害者はポールの継父エド・ミラーと判明する。ポールの車からは墓地と同じ成分の土と、エドの唾液が検出される。エドは母親の生前も良い夫ではなかったうえ、母親が死んで2日も経たないうちに別の女を寝室に引っ張り込んだ。ポールは墓地で母親の願いを「聞き」、エドを殺害したのだった。
* * * * *
津波の混乱の去ったマイアミ。ウルフとアレックスは、再び埋葬されるメイベルを見守る。ホレイショは病院へ被害者を見舞った後、ディナーのためネヴィンズ検事の家へ行く約束をする。
感想
すごい! すごい! 津波、ビル爆破ときて、最後は沿岸警備隊が出動しての追跡劇! テレビ番組でこれだけ派手な映像が見られるとは思わなかった。津波はCG、爆破は実際のビル爆破の映像、津波の後の惨状はハリケーンの映像を使って、あとは「編集の妙」だったようなのだが。んー、でもビル爆破はせっかくのド迫力映像に比して使い方は軽かったかな。出し惜しみしない所は潔いのかもしれないが、でももうちょっと緊迫した場面で見たかったと思う。
で、事件のプロットは……うーん、これはもう何だかツッコミを入れる方が野暮という気がしてきた。それよりホレイショ鑑賞の方が重要だろう。今回は、ちょっと珍しいホレイショが見られて面白かった。
たとえば、津波の映像を見るホレイショの、ちょっと珍しい表情。大自然の驚異の前には、さすがのホレイショも言葉を失うといったところか。津波が1波来て引いたところで扉を開けていたけど、普通、津波というと少なくとも3波くらいは来るものではないんだろうか。CM中に次が来ていたのか。ま、いっか。
津波に比べると、その後の爆破シーンはけっこう余裕で救出劇をこなしたという感じ。爆弾はホレイショが通った後を律儀に破壊しているというか、ホレイショがいちばんカッコ良く見えるタイミングで爆発している。力関係は「津波>ホレイショ>爆弾」なんだな。その後、沿岸警備隊が出動したと思ったら、ホレイショは船のデッキに仁王立ち。どこへ行っても我が物顔な人だ。
で、ラストでは何と!? 前回「ヘルナイト」で登場したネヴィンズ検事とディナーですと? 前回は自己紹介していたから初対面だったはずよね……ハロウィーンの夜から1週間くらいで(放映からは2週間だけど)もう、部屋の鍵を開けて待っていてもらえる仲になったのか? ていうか無用心じゃないんですか、検事なのに?
その時のホレイショの、ちょっと珍しい笑顔! やはり前回、イェリーナ一家の姿を見てから寂しくなっていたのだろうか。しかしそのイェリーナは、今回顔に痣をつくって登場し、ステットラーの家庭内暴力疑惑が浮上するという、何だか落ち着かない展開……。2人とも否定してはいるものの、ホレイショはもう完全にステットラーの犯行と決め付けている。早い段階でホレイショが犯人呼ばわりする相手は、かなりの確率で無実(少なくとも実行犯ではない)という傾向もあるようだが、真相は如何に。
ところでこの邦題、津波はいいけど「大パニック 無法地帯」って。駐車場でケンカしたりといった混乱は起きていたけれど、これは言いすぎだろう。事件も殺人とか銀行強盗とか、毎週起きているような事件だし(うち1件は過去の犯罪が明るみに出ただけ)、爆破は単なる取り壊し。犯罪者以外のマイアミ市民たちはおおむね良識的に行動していたのではないだろうか。