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CSI: Miami - Season 3, Episode 10
#58 After The Fall
- 邦題:「悪夢の始まり」
- 脚本:Ildy Modrovich, Marc Dube
- 監督:Scott Lautanen
- 初回放映:2004-11-29
Rule number one: Never mess with Calleigh Duquesne.
事件概要
マイケル・ジョンソン(事故死)
マンションの3階から男性が転落。向かいの家で女性が目撃していたが、近眼だったのではっきりは見ていない。現場ではマイケル・ジョンソンという男性が倒れて死亡していたが、その被害者は足は無傷で頭に怪我をしていた。つまり、彼は転落したのではなく、上から落ちてきた男にぶつかって死亡したのだ。
被害者の右耳の後に、何かの塗料が付着。そのマンションでは、最近318号室のエドワード・マシスがバルコニーを塗装していた。現場の痕跡から、マイケルの上に落下した男は、屋上から降りてきて3階の手すりにぶつかったことがわかる。
ホレイショは屋上で不審な男を発見、取り押さえる。屋上には、ロッククライミングの要領で下に降りるための器具が設置されていた。逮捕されたダグ・ラムジーは、ホレイショに暴力を振るわれたと主張する。
エドワード・マシス(狂言・詐欺)
マシスはキャビネットをこじ開けた跡を見て中を調べ、「祖母の指輪が盗まれた」と言う。だがその後、マシスは「盗まれた」はずの祖母の指輪をオークションで売ろうとしたところを見つかり、保険金詐欺で逮捕される。では、こじ開けたキャビネットには何が入っていたのか。
ドナ・スコット(殺害)
屋上に設置されていたケーブルには、上皮細胞が付着していた。細胞の主はラムジーではなく、窃盗の前科のあるスタンリー・ヘミングという人物だった。ヘミングは足首を骨折し、血のついたDVDを所持していた。その形状はマイケルの肩にあった半円形の傷に一致。DVDには、判事のアイザック・グリーンヒルが売春婦と一緒にベッドにいる場面が映されていた。マシスは半年前までグリーンヒル判事の書記を勤めており、最近口座には多額の入金があったこともわかる。ホレイショは判事がマシスから脅迫を受け、ヘミングを使ってDVDを盗み出させたことを疑うが、判事は否定する。
DVDが録画されたのは2004年の10月30日。背後の映像から撮影場所も判明した。その場所に住んでいたのはドナ・スコットという女性で、しばらく前から行方がわからなくなっていたが、部屋にはバッグとキーが置いてあった。管理人が最後に姿を見かけたのは、DVDが録画されたのと同じ日だった。
ネヴィンズはグリーンヒルが担当した事件を調べる。中に、トラックの運転手が売春婦を殺害してエバグレーズの湿地に遺棄した事件があった。ホレイショは、グリーンヒルが同じ場所にドナを遺棄し、発見されてもその運転手の犯行に見せかけるつもりではないかと疑う。正確な場所を知っている人間は少ない。公選弁護人や検事補は異動しており、担当検事はネヴィンズだった。
湿地帯を捜索すると、果たしてそこにはドナ・スコットの遺体が埋められていた。ドナの髪には吐瀉物が付着していた。DNAから、嘔吐したのはマシスだったとわかる。
ドナの死因は窒息。口の周囲に酸素マスクのような型がついていた。吸入したのはおそらく一酸化二窒素。快感を得るためにマスクで吸入し、過剰に吸入した死亡したと思われた。ウルフはマシスのアパートでマスクを発見。内側のDNAはドナのもので、外側の指紋はグリーンヒルの同僚のラトナー判事だった。ラトナーとグリーンヒルは、書記と売春婦を共有していたのだ。
ダグ・ラムジー(暴行?)
マンションの屋上で逮捕されたダグ・ラムジーが、ホレイショに暴力を振るわれ肩を脱臼したと主張したため、IABのステットラーが調査を開始する。デルコは事情を聞かれ、ホレイショは暴力をふるっていないと証言。
カリーはラムジーの衣服を調べる。ラムジーは屋上で麻薬を吸っていただけだと主張していたが、その形跡は見られなかった。また、アレックスは肩のレントゲン写真を見て、固い物に何度も繰り返してぶつけた形跡を発見する。ラムジーは留置場で、自分で自分の肩を脱臼させたのだ。ラムジーは訴えを取り下げる。
ステットラーはホレイショに、スピードルの件でカウンセリングを受けるよう指示する。ホレイショは繰り返し宝石店の悪夢を見ることを話すが、その相手はレベッカ・ネヴィンズだった――。
感想
ああぁぁホレイショが、ホレイショがっ!!
もう事件はそっちのけでホレイショと女性たちに釘付けですよ。
ステットラーのDV疑惑は結局クロなのか解決したのかわからないままだが、やはりイェリーナに対してホレイショは保護者モード全開という感じ。この2人はどうしても、「守る男と守られる女」という(あまり良くない意味で)古典的な図式から抜け出せない感じがして、そこが少々不満に感じるところ。イェリーナの刑事という立場にも「常にホレイショのそばにいる」という以外の意味が感じられず、彼女なりの刑事らしさを発揮できていないと思う。聞き込みなんか、ホレイショだけでなく他のCSIと同行してもいいのでは……。
その点、カリーは保護の対象ではない。むしろホレイショを守る女性。ホレイショの無実を証明して、ステットラーには「最初から事実は目の前にあったのに」と容赦ない一言。ホレイショの「ルールその1、カリー・デュケーンを敵に回すな」という言葉からも、なみなみならぬ信頼が感じられる。シーズン1の初期エピソードでは、メーガンという年上の女性がいたせいか、妹的な「可愛い子」ポジションに置かれていたカリーだが、最近は名実ともにCSIのナンバー2としての貫禄を見せていると思う。「愛の奴隷」のその後が気になるところだが、このままホレイショを守る存在であってほしい。
さらに、「津波大パニック 無法地帯」のラストでディナーの約束をしていた地方検事のレベッカ・ネヴィンズも、自分の立場が危なくなると知りつつホレイショに協力。保身よりも正義の人なのだろうか。そういえば「ヘルナイト」でレイJr.の事件を担当した時も「他の検事は手を出したがらない」と言っていたような気がする。美人であるせいか、やり手で野心家というありがちな印象を抱かせるところがあるが、基本的には良心的な人だと思う。ホレイショもそこはわかっているのだろう。なぜなら……
ホレイショが自分の最も弱い部分をさらけ出しているから。「永遠の旅立ち」でスピードルを失った、その時の悪夢が彼を苦しめている。銃撃戦の場に一緒にいて部下を守れなかった、その罪悪感から抜けきれずにいる。それを話す相手はレベッカ・ネヴィンズだった。ここでレベッカもまた、ホレイショを守る(あるいは癒す)女性であることがわかる。“Ma'am,” “Sir,” と呼び合って同時に笑顔になる、この微妙な表情の変化がたまりません。
ええと、それからそれから……あ、事件。マシスが盗まれたはずの指輪をオークションにかけるというのが、ちょっと不自然というか不注意すぎな気がした。それと、ラトナー判事の登場が唐突すぎかな。もうちょっと前の方で登場させておくべきだと思った。転落現場を目撃 → 被害者は実は別人、という展開は面白いと思ったんだけど、簡単に解決してしまった。
結局、最初の事件は、ヘミングが屋上からマシスの部屋に侵入してDVDを盗み、バルコニーから逃げようとして落ちてしまった、ということで良いのかな。ヘミングを雇ったのはグリーンヒルの方だったのか、背後関係がよくわからない。最初の被害者は本当に運悪く通りかかっただけだったのね……。
それにしても、ライアン・ウルフ君の服装はいったい何なのだろう。私は決してファッション・センスがある方ではないが、赤の長袖シャツとオレンジのポロシャツという配色が変だというのはわかる。どっちか片方だけ着ていればいいのに、何で重ね着?
— Yoko (yoko221b) 2006-08-13