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csi_miami:s03:063_identity

CSI: Miami - Season 3, Episode 15

#63 Identity

  • 邦題:「猛獣の正体」
  • 脚本:Ann Donahue, Ildy Modrovich
  • 監督:Gloria Muzio
  • 初回放映:2005-02-14

That's not a threat. That's a guarantee.

事件概要

ターニャ・ファーマン殺害/麻薬密輸入事件

ホテルのプールで女性客のバッグを盗み、警備員に追われて逃げ出した男が何かの粘液に足を取られて転び、捕えられた。謎の物質を不審に思った警備員が近くの日焼けテントを覗き、全身を粘膜に覆われて死亡している女性を発見。顔と首には、何かで刺されたような跡があった。被害者はターニャ・ファーマン、21歳の誕生日を祝うために来ていた。

ターニャを覆っていた物質は胃酸で、顔と首の傷は歯の跡。ターニャは大蛇に胸を締め付けられて死亡し、その後一度丸呑みされ、吐き出されたのだ。ホテルで連絡を受けたデルコとトリップは、ヘビが好みそうな場所を探し、椅子の中で大蛇の死骸を発見する。ホテルの客室からテントまで、ヘビが通ったらしい跡があった。

ヘビを解剖すると、中から錠剤が発見された。何者かがヘビの体内に麻薬を入れて持ち込んだのだ。ヘビが女性を絞め殺した時に体内でビンが割れ、ヘビは麻薬を過剰摂取してエサ(被害者)を吐き戻して死んだと思われた。

ヘビが逃げた客室の借主は、バハマにあるLow Dawg Productionsという持株会社。その会社のライセンスを持っていたのは、クラーボ・クルーズだった。人を轢き殺しておきながら外交官特権により逮捕できなかった人物である(シーズン2「南米の極悪人」)。

薬物は「レッド・デス」と呼ばれるPMAで、摂取者の半数が死亡するほどの危険な薬品。その頃、パーム・タワーズ・ホテルでは、19歳の若者が過剰摂取で死亡していた。恋人のヒラリーは、エクスタシーのつもりで買ったという。売人のビリー・パルメロは、薬物を供給しているのはクラーボだと認めたが、証言は拒否。

ホレイショはクラーボの父アントニオ・クルーズ将軍を訪ねる。将軍は協力を拒むが、ホレイショは目に怪我をした将軍にハンカチを貸し、血液を得る。クラーボが出国しそうだと聞き、ホレイショとトリップはキューバ産の葉巻(違法)を吸っているクラーボを強引に逮捕。将軍夫妻が息子の身柄を引き取りにやって来るが、そこへホレイショはDNA鑑定結果を突きつける。ラモンとクラーボは父親の違う兄弟で、将軍とクラーボには血縁関係はなかった。将軍はクラーボの外交官特権を剥奪し、クラーボは逮捕される。

身元詐称事件

ターニャ・ファーマン事件で現場検証中のウルフの所へ、バッグを盗まれた女性客が来る。ウルフは氏名・生年月日・社会保障番号・免許証を確認する。氏名はカーラ・ジェイン・ガードナー。免許証を確認すると、車のローンを6ヶ月払っていないというアラートが表示される。カーラは、それは別の女性が自分に成りすましてやったことだと言い、それを示す書類を見せる。ウルフは書類を確認してバッグを渡す。

しかしその後、別の女性がカーラと名乗って警察署に現れる。彼女の話によると、先にバッグを持ち帰ったのは自分に成りすました女性とのこと。彼女はそれを示す書類を何枚も持っていた。何者かが自宅のゴミ箱からローンの申込書を拾い出し、自分の住所でそれを申し込んで詐欺を始めたという。

本物のカーラは身分詐称が始まる前に怪我で骨折していた。腕をスキャンして、後から来たカーラが本物であることが確認される。だが証拠が不十分であり、非暴力犯罪は優先順位が低いため、検事は立件しないことを決めた。

フィリップ・ガードナー殺害

カリー、ウルフ担当。カーラ・ガードナー(本物)の元夫フィリップ・ガードナーが、車の中で爪磨きのやすりで目を刺されて殺害されていた。やすりは偽カーラが使っていた物に似ていた。被害者の手には数本の毛髪。そこへ真カーラが登場し、偽カーラには扶養手当の支払いをめぐる動機があったと言う。

やすりの指紋は偽カーラの物。フィリップが握っていた毛髪も偽カーラの物だったが、毛根が付いていたのは1本だけだった。ウルフは、争って抜けたにしては、毛根のある毛が少なすぎると不審に思う。一方、偽カーラはイヴ・マーティンカスという本名を名乗り、他にも詐欺をはたらいたことを認めたが、殺害はあくまで否定。

毛髪には、粘着性の物質が残っていた。イヴ(偽カーラ)の車にも同じような粘着性の物質。真カーラがローラー式のテープで車から毛髪を採取し、フィリップの手に握らせたのだ。そして、偽カーラのゴミ箱から拾い出したやすりを使って、元夫と自分の偽者両方を葬り去ろうとしたのだった。


感想

ねばねば液体の正体を探ることから始まり、クラーボのidentity問題で決着した事件。もうひとつの事件はもろにidentityの争奪をめぐる事件だった。

ねばねば事件の方は、もう見事にミステリの要素がありませんな。前回、もうプロットにツッコむのは止めようと思ったけれど、これだともうツッコみようもないというか。「調べたらこうだった」「聞いたらこう答えた」でとんとんと話が進んで行って、行き着く先がクラーボ・クルーズなのだもの。ホレイショがどんな手でクラーボをしとめるのか? という所が焦点か。

今回はお父上が登場。イラクでの捕虜に対する尋問施設の運営を任されている人で、要するに米国にはできないダーティな仕事を請け負っているらしい。だから恐ろしい人なのかもしれないが、さすが将軍だけあって息子よりはよほどきちんとした人に見える。クラーボのホレイショに対する態度をいさめ「米国の law enforcement officer に敬意を払え」と言う姿は、軍人としての何がしかの矜持を感じさせる。ホレイショがラモンを逮捕させた張本人であることを考えると、暴力や拷問は仕事だけという折り目正しい人なのかもしれない。

しかし、そんな親ばか将軍が、DNA鑑定結果を突きつけられて……! そんな! そんな都合の良すぎることがあっていいのか! マイアミでなかったらとうてい許せないような展開に。将軍様はクラーボの特権をあっさり剥奪。

将軍様……もしかして普段からクラーボには手を焼いていて、内心勘当したいと思いつつ、あれでも息子だからと我慢に我慢を重ねてきたのだろうか。

父親の後ろ盾がなくなれば単なる犯罪者。哀れなものです。黙って護送車を見送るホレイショも、内心哀れんでいるのかと思いきや、「してやったり」と言いたげなふざけた笑顔。やっぱり鬼だこいつ。つーか起訴前に将軍様の気が変わったらどうするんだ!

その少し前の顔が悲しそうに見えたのは、きっとクラーボではなく彼の悪事で生命を奪われた犠牲者たちのことを思っていたのだろう。麻薬によって早すぎる死を迎える若者たちの事件で、ホレイショはいつも悲しみと怒りを隠さない。でもゴキゲン(爆)

ところでホレイショが親子の秘密に気づいたのは写真を見たから? しかし将軍様(中央)と似ているのはラモン(右)よりクラーボ(左)の方じゃないかと思うのだが。

hermitage.rdy.jp_csi_img_caps_miami_063.jpg

実は将軍様、若い頃はイケメンだったのだろうか。ホレイショもよく気づいたと思う。親子鑑定では本人も苦労しているからかな……。

もうひとつの事件は逆に、久しぶりにミステリ色が強くて面白かった。カリーとウルフのコンビは、美人のお姉さんと可愛い弟って感じで良いなぁ。

本物のカーラが警察に現れた経緯が説明されていなかったけど(ひったくられたのはイヴのバッグで、カーラはバッグ盗難のことは知りさえしなかったはず)、想像するにバッグの中に真カーラの電話番号か何かが入っていて、「カーラさんのバッグはデイド署のウルフさんが預かっています」と警備員から連絡が行ってしまったのじゃないかなと思う。盗られたのはどう見てもイヴのバッグなわけで、その点においてウルフに落ち度はなかったわけだ。

カーラが「イヴの動機」と言い立てた内容がちょっとよく理解できなかったのだが、それ以外はきれいにまとまった事件だったかなーと思う。ゴミ箱に捨てた1枚の書類から始まったID泥棒の被害――最後にカーラが同じ方法でイヴを陥れる凶器を手に入れた、という所が良かったと思う。いったんは立件を見送られたイヴも、殺人の容疑をかけられてはたまらない、と過去の悪事を自供して逮捕。何だかすごい形で一件落着だ。

不要なDMを捨てる時は、やはりシュレッダーにかけておいた方が良いのだろうか。


単語帳

  • caiman lizard:カイマントカゲ(南米産の大トカゲ)
  • paramethoxyamphetamine:パラメトキサンフェタミン(PMA)。幻覚作用と覚醒作用を持ち、毒性の高いことで知られる。
  • rescind:無効にする、廃止する

Yoko (yoko221b) 2006-08-23

csi_miami/s03/063_identity.txt · Last modified: 2020-03-28 by 127.0.0.1