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CSI: Miami - Season 3, Episode 16
#64 Nothing To Lose
- 日本語タイトル:「エバグレーズ炎上」
- 脚本:Ann Donahue, Marc Dube
- 監督:Karen Gaviola
- 初回放映:2005-02-21
It's important that we keep looking and that we do not give up hope.
事件概要
ジェフ・マッギル殺害事件
エバグレーズ湿地帯でワニに食べられそうになった遺体が発見され、アレックスとデルコが現場に出向く。背中に散弾の跡があった。犯罪現場を特定しようとしたところで近くに雷が落ち、付近は一気に炎に包まれる。アレックスらは危ういところで難を逃れる。
被害者は若い男性で、死因はショットガンの傷による血胸症。摘出した弾は鉛でできた手製の弾丸だが、環境に悪影響があることから鉛は使用が禁止されていた。被害者のポケットには、カレッジ・オブ・マイアミの磁気カードのついた鍵が入っていた。
カリーとウルフはカードキーからパム・カーペンターを探し出して事情を聞く。パムの恋人のジェフ・マッギルが、親友のポール・トラヴァースとともに密造酒を買いにエバグレーズへ出かけた。遺体はポールだった。パムの携帯電話には、ジェフからの助けを求めるメッセージが入っていた。2人はエバグレーズへ戻り、メッセージが発信された場所の付近を調べ、ジェフの携帯電話を発見。その近くの小屋には、デイル・ビューフォードという男が住んでいた。デイルのガレージにはショットガンと手製の弾丸があったが、デイルは「夕べは弟が銃を撃っていた」と言う。
ジェフは病院で傷の手当てを受けていた。酒の値段のことで口論になり、相手が銃で撃ったという。だがその男はデイルではなかった。ウルフはデイルの弟ノームを発見。ノームはポールの財布を持っていたが、見つけた時すでに死んでいたので、財布を取って逃げたと主張。
カリーはビューフォードの道具と材料を使って弾丸を製造。弾丸のツールマークから、ポールを殺した弾はビューフォードが製造したものと判明する。だが撃ったのはジェフだった。パムはジェフの恋人だったが、ポールを愛してしまい、ジェフに打ち明けようとしていた。ジェフの髪には散弾の破片が付着していた。実験の結果、撃たれて逃げただけでは髪に破片は付着しない。銃を手に持って発射した証拠だった。ジェフはビューフォードのガレージからショットガンを持ち出してジェフを撃った。そして銃を戻した時にノームに見つかり、撃たれたのだった。
リコ・ガルザ殺害/クレア・ブッシュネル殺害/ラリー・ヴァン・オーウェン殺害/タイ・ラドクリフ殺害
エバグレーズには、消火作業のため刑務所から模範囚が動員される。デルコとホレイショはジェフ・マッギルの殺害現場を調べている途中、囚人のひとりリコ・ガルザがシャベルに刺されて死亡しているのを発見する。作業に出ている囚人は、凶悪犯以外の囚人ばかりのはずだが、その手口は殺しに慣れた犯人を思わせた。
消火作業中の囚人、サイラス・エヴァートンが行方不明であることが報告される。だがサイラスは刑務所内にいた。手首のリストバンドは「なくした」と言う。彼は映画スターのタイ・ラドクリフが自分の9歳の息子をレイプしたと主張し、ラドクリフの裁判中に銃を法廷に持ち込んで脅した罪で収監されていた。サイラスは隣の房にいた殺人犯のトッド・ケンドリックに「仕事」を依頼し、リストバンドと作業服を交換したのだ。
ホレイショとデルコはラドクリフに警告するが、ラドクリフは取り合わず、警察が周囲をうろついたらハラスメントで訴えると言い返す。
囚人を殺害した凶器のシャベルには、魚のエサが付着していた。魚の養殖所を調べると、空のケースとビデオジャーナリスト、クレア・ブッシュネルの遺体があった。クレアはケンドリックが銃を掘り出しているところを目撃して射殺されたと思われた。
ケンドリックへの面会者リストから、パティ・ジョハンソンという女性がケンドリックに命じられて武器を埋めたことがわかる。パティから、ケンドリックの仲間だったラリー・ヴァン・オーウェンの名前がわかる。ラリーは腹を刺されており、ホレイショ到着の直後に死亡。金の入っていたらしい箱が残されていた。
ホレイショとトリップはSWAT部隊とともにラドクリフ邸に急行するが時すでに遅く、ラドクリフは股間を撃たれて死亡していた。庭から桟橋まで血の跡が続いていた。
アレックスとデルコはラドクリフが実際に子どもたちを餌食にしていたこを知る。その後アレックスは遺体を搬送し、検問を抜ける。その頃デルコは庭で足にタグのついた遺体を発見。それは、ラドクリフ邸に来る前、アレックスがデイド記念病院から引き取って運んで来た遺体だった。ケンドリックは遺体のフリをしてトラックに乗り込み、アレックスに銃を突きつけ、傷の手当てをさせる。
ホレイショは追尾装置を作動させてアレックスのバンを探す。アレックスはケンドリックとともにエヴァートンの自宅にいた。ケンドリックはエヴァートンのキャビネットから書類を持ち出し、エヴァートンの息子にラドクリフの遺体を見せる。そしてアレックスを殺そうとするが、間一髪でホレイショが駆けつけ、ケンドリックは逃亡。
エヴァートンは収監される前は警備システムの仕事をしており、暗証番号を忘れる顧客が多いためそれをファイルに保管していた。ホレイショは、エヴァートンの顧客の中でも最も裕福なクライアント、ラッセル・チャンが狙いであると推測、チャン邸へ急行してホバークラフトでケンドリックを追跡。だがケンドリックは追いつめられて炎の中へ逃亡、その後焼死体で発見される。アレックスは焼死体の包帯を確認する。
感想
「津波大パニック 無法地帯」に続く長尺版。こちらの方がストーリーにまとまりがあって面白かったと思う。ワニ、火災、弾丸、そしてホレイショの身内事情と内容もマイアミ的。子どもを虐待する映画スターという、どっかで聞いたような話が出てきたが、ただ子ども関連なわりにホレイショの怒りはそれほどでもなかったというか、そのへんは今回アレックスに譲ってしまったようだ(男の子だからか?)。
消火作業に囚人が借り出されるということに驚くが、そういえば清掃作業員として囚人を雇う、という設定は時々出てきていたと思う。たしかデイド署もそうだったはず。皆けっこう怖そうだったけど、凶悪犯罪者はいないと説明されていた。出所間近で脱走の可能性が低い人を選んでいるのだろう。
メインの事件は、行く先々で死体に出会いつつ追跡追跡また追跡という、スピーディな展開だった。ホレイショとデルコがホバークラフトを猛スピードで走らせて、湿地帯を疾走する姿がかっこいい! もう最高にかっこいい!! この際彼らが鑑識であることは忘れよう。ホレイショ、トリップ、デルコが外で暴れまわり、カリーとウルフがオーソドックスな科学捜査を担当、というのはけっこう適材適所なような……これで固定されても飽きるけど。
ケンドリックの最期はちょっと、あっけなかったかなぁ……でも、やりたいことはやった! 視聴者も見たい物は見た! という所での幕切れという感じだったから、これはこれで満足できた。
さらに、事件の合間をぬって姪の病気の面倒をみるホレイショ。娘の心配をするスージーをはぐっと抱きしめる場面が良い。ホレイショのハグは、ロマンチックなものではなく、むしろ切ないような優しさを感じさせる(ロマンスという点ではむしろ、「悪夢の始まり」での見つめ合いの方が)。医者に自分はスージーの “brother-in-law” だと言っていたように、彼女はホレイショにとって守るべき妹なのだろうと思う。
ホレイショファミリーって、何だか母系性家族みたいだ。結婚ではなく、血縁(実際は違うけれど)で結ばれた家族。ホレイショが兄で、その下にイェリーナとスージーという2人の妹がいて、その子どもたちがいて。ホレイショは生物学的に父ではないが、子どもたちの保護者である。
そしてラストシーン。「私の家族じゃないわ!」といったんは拒絶したイェリーナが、レイJr.を連れてマディソンの病室にやって来る。たとえ適合しても、骨髄移植ってドナーにもかなり苦痛や危険があるものではなかっただろうか。イェリーナにしてみたら、やはり「何で愛人の子のために大事な息子を」と思っただろう。この場面のイェリーナはけっこう好き。今まではホレイショの隣に「いるだけ」のお人形さんのような印象を受けることが多かったが、ここでは彼女の生の感情が見えるから。そして背を向けて去った後、ラストでレイJr.とともに病院に現れるまでの間に、どんな風に気持ちが変化していっただろうか――と、いろいろ考えてしまった。
しかし、イェリーナが存在感を増すたびに他の女性が場を失ってしまうというのは、どうにかならないのか。スージーとマディソンはこれ以降出演エピソードがない。移植はどうなったのか、いっさい示されないまま役割を終えたように去ってしまった。えー何でー。スージーは、成人女性では唯一(事件の被害者・遺族を除く)、ホレイショがいくら保護者的になっても許せる人なので、貴重な存在だったんだけどなぁ。
ケンドリックは1回きりのキャラだし、「やるべきことをやった」から退場、となるのは良いと思う。でもスージーは生前のレイの記憶を共有し、シーズン1から引っ張ってきた存在なだけに(ただしシーズン1のスージーは別人みたいなもんだが)、こういう去り方は残念に思う。シーズン5以降でまた出て来てくれないかなぁ。
— Yoko (yoko221b) 2006-08-26