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CSI: Miami - Season 3, Episode 20
#68 Killer Date
- 邦題:「エピローグの幕開け」
- 脚本:Elizabeth Devine, John Haynes
- 監督:Karen Gaviola
- 初回放映:2005-04-18
This being a place like this, sex and murder might be indistinguishable.
事件概要
キム・バートン殺害事件
カリー、ウルフ、トリップ刑事担当。クラブでキム・バートンという女性が殺害された。死因は窒息だが首を絞めた跡はなく、枕を顔に押しつけて殺害したと思われた。爪が割れ、争った様子を思わせた。死亡した時、クラブには大勢の客がいたが、その店はテーブルの代わりにベッドがしつらえられ、それぞれ楽しんでいたので誰も何も気づかなかったようだった。
報せを受けてカリーとデルコが現場に来るが、入ろうとしたところでデルコの警察バッジがないことに気づく。デルコはバッジを探すため現場を離れ、カリーとウルフが証拠を採取。
キムはパートナーのノエルとともに、紹介業をしていた。クライアントの男性を「自分の友人」といって女性に紹介するのだ。女性は、同じ女性から紹介された方が安心する傾向があるため、紹介業はうまくいっていた。だが、彼女らはルックスでクライアントを選別していたため、誰かに恨みをかっている可能性があった。
現場に落ちていたブレスケアシートから、かつて容姿を理由に断られたハリー・クルーグマンがいたことがわかるが、彼はその後ジムに通い見違えるようになって再びアプローチしただけだった。キムは以前断った相手とも気づかず契約に同意したので、動機はなかった。さらに、枕のDNAは女性のものだったこともわかる。その日キムが紹介していたロバート・スミスは本名をブッチ・ラリーといい、実は既婚者だった。
ラリーの妻もノエルもDNAは不一致。しかしウルフがふと思いついてCODIS(犯罪者・行方不明者のDNAデータベース)で検索すると、クラブにいた女性ガブリエラ・マリネリがヒットした。その結果を見てヴァレーラは動揺し、ウルフをラボの外へ追い出す。ヴァレーラは半年前、手違いでレイプ事件の被害者のDNAをCODISに登録してしまったのだ。これは被害者に対する重大なプライバシー侵害であり、DNAが法廷で証拠として使えなくなってしまう。別の証拠が必要になったため、会場にいた全員の聴取をやり直す。
カリーとウルフはトリップ刑事の協力を得て、ガブリエラの事件を調べる。彼女をレイプした容疑者の名はスコット・ブラウン。彼は「スティーブ・ブラウン」という名でキムの顧客になっていた。キムはスコットを昔からの友だちと言って紹介し、ガブリエラはそれを信じた。事件の後ガブリエラは訴えたが、検事は2人がデート中だったことを理由に起訴しなかった。彼女はしばらくクラブに近づけなかったが、恐怖を克服するために再びクラブへ行き、そこでキムが他の女性を客に紹介するところを見た。ガブリエラはキムのベッドへ行き、紹介して問題が起きたらどうするのかと聞いたが、キムは笑って取り合わなかった。ガブリエラはそれに怒り、枕でキムを殺害したのだった。
ヴァレーラはラボを去り、6ヶ月以内に彼女が調べた証拠は再調査されることになった。
バッジ盗難/エド・ゴッドフリー殺害事件
ホレイショ、デルコ、イェリーナ担当。
バートン事件の現場へ来たデルコはバッジがないことに気づき、探しに戻る。デルコは前日、名前も素性も知らない女性と行きずりで愛を交わし、その時にバッジをなくした可能性があった。相手の女性とは、携帯電話でメッセージを交換する「トゥーシング」という方法で出会ったため、ハンドル以外は何もわからなかった。
デルコはIABのステットラーから事情聴取を受ける。そのような振る舞いにおよんだことは、スピードルのことと関係があるのではないか、と言われデルコは反発する。
一方、ホレイショは銃撃の報を聞いて現場へ。犯人はバッジを見せたという。被害者はエド・ゴッドフリー。目撃者のロスターは「警官」がバッジを見せていきなり銃を撃ったと言う。だが、ロスターの車のトランクにはコカインらしき粉末があった。彼らは取引中を狙われたのだ。その時ホレイショは、近くの建物にボブ・キートンの姿を発見して愕然とする。ボブはホレイショの弟レイモンドを殺害した犯人で(シーズン2「憎しみの絆」)、終身刑になったはずだった。ホレイショはボブの後を追うが見失う。その後ステットラーにボブのことを問いただすが、ステットラーも何も知らなかった。
デルコは「現場」で指紋を採取し、その女性の氏名がパティ・ウェルボーンであることを知る。タイラーはデルコの携帯電話を改造して電波の受信領域を広げ、デルコはパティ捜索に向かう。パティはバッジを保管していたが、兄のランデルが持ち去ったらしい。ロスターの車のバンパーについていた跡と、ランデルのジーンズのステッチが一致した。
事件解決後、デルコはカウンセリング室を訪れる。そしてホレイショはボブ・キートンを発見していた。ボブはDEAの覆面捜査官だったのだ。「レイモンドは生きているのか?」という問いかけに、ボブは「そうだ」と答えた――。
感想
うひょー。何だかもう、ラストに向けて本格的に動き出したって感じだなぁ。メインのプロットはすっかり背景に埋没しているというか、日常のルーティンというか、時間の経過を示す目盛りのようにすら見えた。でも、だからってこの邦題はどうかと思う。そもそもエピローグって幕が降りた後のことだし。
ラストに向けた最大の動きは、やはりレイモンドが生存している、と明言されたことだろう。シーズン1から2にかけてレイモンドの設定は少しずつ変遷してきてはいたけれど、ここに来てそれらすべてを反故にするウルトラCの反魂術が。シーズン1では、レイモンドは麻薬の囮捜査をするうちに自らも麻薬に蝕まれていった、という設定だったと思う。それがシーズン2では、囮捜査をするうちに、ボブの暴力からスージーを助けようとして深い仲になり、ボブに射殺されたことになった。これも見た当時はちょっと無理があるんじゃないかと思ったものだ。初登場のスージーはどう見ても娘がいるようには見えなかったし、レイの事件の日付とマディソンの年齢も合ってないし。
で、今度はボブまで覆面捜査官ですと? じゃスージーとの三角関係はいったいどういうことだったのよ。潜入捜査のストレスでDV? まさかスージーまで覆面捜査官てことはないよなぁ、いくらなんでも。
……と、いろいろ無理のある展開ではあったが、ラストのホレイショの表情は素晴らしかった。
ほんのわずかな変化なのだが、内心の動揺が見て取れる。ホレイショがここまでの動揺を見せたのは初めてではないだろうか。こんな顔が見られたのだから、もう過去の事情はシーズンごとに変わる、ということにして良いかもしれない(良いのか?)。
さて、レイモンドの話はラストへ向けての「幕開け」だったわけだが、デルコの話はスピードル関連の積み残しを処理したという印象だった。前シーズンまでデルコとスピードルは仲が良くて、仕事以外でも一緒に遊びに行ったりしていたようだったが、その割りに「永遠の旅立ち」やそれ以降での反応がいまいち見えなかったのが少し不満だった。
で、シーズンが終わる前に描写しておかなければ、と脚本家が思ったかどうかは知らないが、デルコもやはりスピードルの事件から心に深い傷を負っていたことが示唆される。……んだけど。だけどね。自分でも意識しないうちに自暴自棄的な行動にはしってしまったのかな、と思うんだけどね。でも、それで何で行きずりの相手と野外プレイなのよ。そんな奴だとは思ってもみなかったわよっ!シーズン1「死刑台への脱走」で親友を亡くしたカリーが泣きながら何度も銃を撃っていたように、がむしゃらに無茶な潜水を繰り返して……とかなら、まだわかるのだが。
カリーは今のところ安定しているように見えるが、カリーに関しては「永遠の旅立ち」のラスト以上の描写は余計かなと思う。あのロッカー室のシーンは本当に美しくて切なくて、悲しみといたわりに満ちていたと思う。だからデルコが立ち直るためには、やはりホレイショがハグを(嘘
そしてクリフハンガーを予感させるのがヴァレーラの去就だ。ウルフがCODISで調べるよう頼んだのは、“Think outside the box.” を実践している彼のふとした思い付きだったのだろう。ダメモトで調べてみたらとんだヤブヘビだった。
被害者のDNAが間違ってCODISに入力されてしまった。CODISは性犯罪者や行方不明者を調べるためのデータベースだから、知らないうちに犯罪者と同列に処理され、捜査機関に公開され、いわば晒しものにされてしまったわけで、当事者が知ったらたまらないだろうとは思う。でも、そういう処理をヴァレーラ1人でやっていたのだろうか? まだ若い彼女が責任者なのか? と、チェック体制に疑問を持ってしまったが、とにかくヴァレーラには帰って来てほしい。
— Yoko (yoko221b) 2006-09-14