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CSI: Miami - Season 4, Episode 3
#75 Prey
- 邦題:「無防備な18才」
- 脚本:Barry O'Brien, Corey Miller
- 監督:Scott Lautanen
- 初回放映:2005-10-03
Sarah… I'm so sorry.
事件概要
サラ・ジェニングス失踪事件
ジョージアから修学旅行でマイアミに来ていたサラ・ジェニングスが失踪した。親友のティナは、夜中の2時までクラブで一緒だったと言う。サラの車にはカメラが仕掛けられ、トランクの中のラップトップに接続され、データはそこからワイヤレスモデムで転送されていた。
ラップトップの画像から、サラがブラッド・ウォーカーという青年と一緒にいたことがわかるが、ブラッドは「ストーカーのような男に邪魔されて逃げた」と主張。車のガラスに残る手の跡は、ブラッドの話と一致する。
その後、警察犬がサラのバッグを発見する。サラらしき女性がバッグを捨てたのを目撃した者もいた。中には薬が入っていたが、それは旅行会社の社長が売った物で、バッグを捨てたのは同社従業員のハンナだった。社長はクラブでサラのバッグを見つけ、責任を逃れるため、サラがまだ生きているように見せようとしたのだ。二人とも、本当のサラの行方は知らなかった。バッグに付着していた液体は新種のカクテルで、宣伝のためクラブでそれをサラに勧めたのはマーケティング担当のヴァレリーだった。ヴァレリーの証言から、サラが「マーシャル」という男からボートに乗らないかと口説かれていたことがわかる。
ボートの持ち主ジェフ・マーシャルは、サラとティナをボートに乗せたと認めた。ティナはサラと一緒だったが、素行を知られたくなくて嘘をついていたのだ。彼女は途中で酔いつぶれ、目が覚めたときにはサラの姿がなかったという。ティナの服や靴に付着していた砂の種類から、二人が公園にいたことがわかる。
公園の茂みの中には、首を絞めて殺されたサラの遺体が横たわっていた。サラの衣服には何かの飛沫の跡が全身に残っていた。また、ブラウスのボタンは死後に誰かが触った形跡があった。
一方、AVラボでは最初に車から発見されたラップトップから、信号の送信先が判明していた。車にカメラを仕掛けたストーカーの正体はサラの父親で、娘の素行を心配してカメラを仕掛けたが、サラは監視されたことに怒って逃げてしまったという。
ブラウスのボタンからはジェフ・マーシャルの指紋、レイプキットからはジェフの友人トマス・ウッドワードの精子が検出される。だが、ジェフとトマスはお互いにサラ殺害の罪をなすりあうだけだった。
カリーとデルコは再び現場の公園へ戻り、公園のスプリンクラーの存在に気づく。サラの衣服に飛沫の跡があったのは、ちょうどその時刻にスプリンクラーが作動したせいだった。そして、その水と同じ成分の化学物質が検出されたのは、トマスの方だった。サラの首のトマスの手に残る形跡から、トマスが水を浴びながらサラを殺害したことが明らかになった。
グレッグ・ウィルソン事件
10年前にニューヨークで発生した事件。当時NYPDに勤務していたホレイショ・ケインが担当していた。詳細は不明だが、ホレイショはその事件の被害者グレッグの娘で目撃者でもあるジェニファー(当時9歳)をマイアミでずっと保護してきた。
未解決事件の選任担当者ナタリアのデスクの上にそのファイルが置かれていたことから、ホレイショはジェニファーの身に危険が迫っていることを知る。
感想
海にボートにナイトクラブ。田舎からやって来て羽目をはずし、旅の恥をかき捨てていく若者たちと、獲物を狙う犯罪者たち――というのもシーズン1「毒牙の餌食」以来の風物詩かな。
ただ今回の話がちょっと特殊なのは、実際に起きた事件を題材にしており、しかもその事件がまだ未解決であること。ニュースサイトなどで見ると、容疑者逮捕の報道はあるものの、行方不明の女性はまだ発見されておらず、真相は明らかではない様子(2006年12月現在)。捜索のためのサイトに写真があるが、金髪ストレートのきれいな子で、今回の被害者と似ている感じ。
そう思って見ると今回の話はちょっと……素直に楽しめない感じ。現実に事件が起きていて、生死も不明という時期に、そこから題材を得たことを明らかにしたドラマで最悪の結末を迎えさせてしまうという作り方には、やはり疑問を禁じえない。しかもどう見ても被害者への同情をかきたてられるとはいい難い無軌道っぷり。
ホレイショの無念な気持ちは伝わってきたし、無神経なことをつい口に出すウルフ(シーズン3「天使の犠牲」で被害者の姿に胸をいためていた彼はいったいどこへ……)をたしなめるカリーの台詞にも主張は表れていた。事件をドラマ化したクリエイターの目的や気持ちを想像しながらじっくり見直してみると、相手を未成年と知りつつセールスのために酒を飲ませたり、営業のために薬を提供したりする大人たちへの怒りや、食い物にされる若者たちへの同情の気持ちもわいてくるのだが、意識的に「チューニング」して見ないと、なかなかそういう感想は抱きにくいのではないだろうか。
事件自体は、手がかりを追って右往左往するプロセスがスピーディで良かったと思う。時系列で少々混乱はしたけれど、珍しく(失礼)ストーリーは破綻していなかった。まったくのフィクションなら、割り切って見られたのに。
さて、今回「ニューヨークでの過去の事件」が少しだけ明らかになった。たしか前シーズンまでの設定では、ホレイショは生まれも育ちもマイアミで母親はキューバ人だったはずだが、今シーズンでは10年前はニューヨークにいたらしい。「新たなる闘い」でホレイショが懺悔していたのは、またリック・ステットラーがNYで調べていたという事件は、この事件のことなのか? 殺害されたのはジェニファーの両親のようだが、目撃者であるジェニファーを、ずっと匿い続けているのか? サラの遺体を前にしてホレイショが動揺を見せたのは、同じ年頃のジェニファーのことが頭にあったせいだろうか?
ナタリアのデスクに置かれていたという事件のファイルには “New York CRIME LAB” と書かれていたが、その頃マック・テイラーはすでにCSI:NYにいたのだろうか? ナタリアは当時の arresting
officer がホレイショだと言っていたが、その後でリックが “Never caught the killer” と言ったので未解決事件? それとも複数犯? 次回以降のエピでおいおい説明は出て来るだろうと思うが、疑問は尽きない。気になる~。
あ、最後にかかっていた音楽(Jeff Austin Blackの“Save Us All”)は良いね!