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CSI: Miami - Season 5, Episode 8
#105 Darkroom
- 邦題:「監禁の餌食」
- 脚本:John Haynes
- 監督:Karen Gaviola
- 初回放映:2006-11-13
事件概要
レズリー・アンダーソン
高速道路の料金所で、若い女性が血痕のついた紙幣を渡す。そこには「殺される」と書かれていた。料金所の係員が警察に通報し、カリーは監視カメラの調べるが、ナンバープレートは見えないように細工されていた。さらに映像を精査した結果、その女性の手首に拘束されていたような跡が発見される。
その後、若い女性の遺体が発見される。氏名はレズリー・アンダーソンで、彼女の手にも同じような拘束の跡が残っていたが、死亡時から判断して料金所の女性とは別人と思われた。
レズリーの衣服に付着していた物質から監禁場所が絞り込まれるが、そこに人の姿はなく、金庫の中に大量の女性たちの写真や持ち物が残されていた。ナタリアは、その中に妹アニヤの写真があるのを見て驚愕する。紙幣の血痕のDNAを比較した結果、彼女はナタリアの近親者――すなわちアニヤとわかる。アニヤはスターになることを夢見ており、その日「オーディションに受かった」と連絡を受けて出かけたという。
写真がいずれも、現在では珍しいモノクロフィルムであったことからスタジオを絞り込み、さらにアニヤの留守電に残されていたメッセージの声から、彼女を誘い出したのはカメラマンのラポルトとわかる。
アニヤと同じようにラポルトに誘い出されたらしき女性、ジルの書いた手紙が手がかりとなり、彼が乗っていたボートの所在がわかる。船室からジルが発見されるが、調べてみると彼女は拘束されたのではなく、自分で自分に手錠をかけ、鍵を飲み込んでいたことがわかる。彼女はストックホルム症候群と呼ばれる状態に陥り、ラポルトに対して強い依存心を抱くようになってしまっていたのだ。
ジルからの協力が得られないため、ホレイショらは別の証拠からガバメント水路の防波堤にたどり着き、岩の下に生き埋めにされていた女性を救出。彼女の話から、ラポルトとアニヤがスタジオにいることがわかり、ラポルトは逮捕、アニヤは無事に救出される。
だが金庫からは他にも多くの女性たちの写真が発見されている。彼女たちの安否はまだ不明のままであった――。
感想
マイアミには珍しい、実話を基にした(ripped from the headlines)エピソード。このエピソードは、連続殺人事件で死刑を宣告されたWilliam Bradfordの事件が基になっている。彼はカメラマンとしてモデル志望の女性たちを何十人も撮影し、その中から「獲物」を見繕ってはレイプしたり殺害したりしていたらしい。立件され有罪になったのは2件だけだが、殺された被害者は実際には5~6人いるのではないかと言われている。で、その男が保管していた大量の写真の中に、エヴァ・ラルー(ナタリア役)の妹ニカ・ラルーの写真があったらしい。
という事情があるので、脚本家のヘインズ(この人は元刑事)がそれをストーリーに取り入れ、ナタリアの妹を登場させてラルー姉妹の役を当てはめたのも当然のなりゆきだったのだろう。ニカ本人もレポーターの役で、記者会見の場面にちらっと登場している。でも、ドラマを観ている側からすると、「女優エヴァ・ラルー」と「CSIボア・ビスタ」はまったく別の存在なわけで、ただでさえナタリアの身の上話が多い今シーズン、「またかよ」という印象は否めない。このストーリーを取り上げた「CBSドキュメント」を先に見てしまったせいもあって、何だかあまり感動がなかった。
カメラマンがモデルに近づいて毒牙にかけてしまう、というストーリー自体もベガスに既にあったものだが、すごいのはベガス側の話もまた別の実話に基づいた話だったというところ。似たような手口の犯罪が何件も起きているのだ。脚本を担当したエリザベス・ディヴァイン(現在はマイアミのプロデューサー)がCSI時代に担当した事件だったのだそうだ。
俳優が飲酒運転や麻薬所持で逮捕されようが、それを役柄に反映させる必要がないのと同じく、身内が被害者に「なったかもしれなかった」からといって、被害者の身内を演じる必要はないのではないかと思う。同じCBS/ブラッカイマーファミリーの Without a Trace でやれば、もっと自然な展開になったのではないだろうか。