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CSI: Miami - Season 5, Episode 21
#118 Just Murdered
- 邦題:「修羅場」
- 脚本:Ty Scott
- 監督:Eagle Egilsson
- 初回放映:2007-04-23
事件概要
マンディ・フェルディング、スタン・ロックウッド、アレン・コムデン
離婚調停中のアサートン夫妻の自宅で、トレーナーのマンディ・フェルディングの遺体が発見される。夫妻は財産分与の話し合いが泥沼化し、室内はお互いに相手のエリアに入れないようレーザーで分割していた。レーザーに触れると大音響で警報が鳴り響き、リモコンでオフにしなければならない。遺体発見の報を聞いて警察が駆けつけた時も、財産は二等分だと妻がチェーンソーでボートを切り刻んだかと思うと、夫が「バラバラにするくらいなら沈めてやる」と発砲するという騒ぎの最中だった。
マンディは夫妻の専属トレーナーだが、実は夫ハンクの愛人。妻ローリーもプール係のポールと浮気をしていた。遺体があったのはハンクの場所だが、凶器の花瓶にはローリーの指紋があった。だがその花瓶はもともとローリーが気に入っていたものなので、指紋があってもおかしくはない。ハンクは「車を盗んだ奴が犯人に違いない」と言う。
だが、マンディを殴り殺したのは、彼女の夫であるトッドで、車の窃盗は無関係と判明。車の方は、スタン・ロックウッドという男性の遺体とともに発見される。しかし車には売買契約書が残されており、盗まれたのではなかった。ローリーは「財産を二分割するために車を売った」と認め、彼の取り分である100ドルを手渡す。嫌がらせのために、わずか200ドルで車を売り払ってしまったのだ。
その車のキーは、近くにあったヒアリの巣の上に落ちていた。犯人が巣の上に手をついてアリに咬まれている可能性があったため、病院を調べたところ、プール係のポールが治療を受けていたことがわかる。ポールはローリーから車をもらえると思っていたのに、他の男に売られてしまったため、怒って買主を殺害したのだった。
ポールは逮捕され、ローリーの弁護士でもあるウェイクマンが弁護につく。ウェイクマンは、足跡を採取したデルコが怪我から復帰したばかりであり、怪我をする前の記憶を一部失っていることを理由に、証拠の妥当性を問うフライ審査を申請。だがデルコの着想をもとにカリーがポールの上着を調べたところ、被害者の上皮が検出され、ポールの犯行が裏付けられる。
一方、アサートン夫妻は、貸金庫の凍結命令が解除されたため、先を争って銀行へ向かう。貸金庫の中身は、先に開けた者が取得できることになっていたのだ。2人は銀行でも大騒ぎを演じて逮捕されてしまうが、肝心の貸金庫は空になっていた。弁護士たちは、2人の財産はもう底を付いていると言い渡し、2人は弁護料を捻出するために不動産を手放す羽目になる。
両親が逮捕されたため、17歳の息子ネイサンは児童福祉局に預けられることになるが、ネイサンは「自分はもうすぐ大人なのだから独立したい」と言い、カリーとともに父親の弁護士の事務所へ向かう。だが、事務所に言ってみると弁護士のコムデンは腹部を刺されて虫の息だった。その後まもなくコムデンは息を引き取る。
ホレイショに事情を聞かれたウェイクマンは、「夫妻には海外に隠し口座がある」と依頼人の秘密を漏洩し、弁護士資格を剥奪されてしまう。ウェイクマンが弁護人でなくなったため、デルコは捜査に復帰。カリーとともにアサートン邸を捜索し、凶器のナイフを発見する。それは2人の結婚式で使用したケーキナイフだった。付着していた血液はハンク、指紋はローリーのもので、2人はお互いに「相手がやった」と主張する。どちらの犯行かが決定付けられなければ、合理的な疑いが生じて2人とも無罪になってしまう。だがホレイショは、金庫からなくなったはずのアクセサリーや時計を2人が見に着けていることに気づく。2人はコムデンが中身を盗んだことに気づいて彼の事務所へ赴き、金庫に入っていたケーキナイフでコムデンを刺し殺したのだった。
息子のネイサンは、凶器を発見させるため、警報を制御するリモコンをわざとカリーに渡していた。2人が収監されればもう争いに巻き込まれる人はいなくなる。2人は財産をめぐって泥沼の争いを繰り広げていたが、息子の親権だけは一度も争わなかったという。
感想
コミカルで面白いんだけど笑うばかりではなく、何というか「突き放した」感じの冷ややかな目線を感じるエピソードでもあった。終わってみれば誰も幸福ではなく、それぞれに報いを受けるという結末。ケーキ入刀のポーズでナイフを刺す場面では笑っちゃったけど、逮捕された2人がパトカーに乗せられる場面が、結婚式のフラッシュバックと重なっていく場面は、見ていて寒々とした気持ちになってしまった。何も悪いことをしていなかったネイサンとロックウッドさんは本当にお気の毒。
嫌がらせで高級車を200ドルで売っちゃった、というのは都市伝説「女たらしのポルシェ(The Philanderer's Porsche)」が元ネタかな? 『消えるヒッチハイカー』にも収録されているお話。
リモコンを手渡して、それがヒントになって凶器が見つかるというのは良かったけど、あの溝の蓋が透明で開ける前からナイフが見えていたので「気づけよ!」と思わずツッコミ。
エリックが受けていた「フライ審査」の「フライ」は、フライ対合衆国判決のことだろうと思う。これは証拠の科学的妥当性の基準を定める判例で、Law & Order にも出てきたことがある。この判例はその後、ドーバート基準で修正されているはずだが、フライ基準を使っている州もあるとのこと。フロリダ州もそうなのかな。それにしても、ウェイクマン女史の資格剥奪の早いこと。よっぽど今まで非行が多かったのか……。資格剥奪でエリックの審査までうやむやになるのはちょっと解せないが、まぁいいか。
今回はナタリアとウルフが控えめで、カリーとエリックの出番が多かった。エリックの所へは「熱い砂」で訴えを起こしたカルメンが現れるが、本人は怪我の後遺症でその事件のことを忘れている。で、助け舟を出したカリーとの間で……ラブの予感?
うーん、この2人はシーズン1の頃から姉弟のような関係、と思って見てきたので(色気抜きで自宅に泊めたりしてたもんね)、ここに来て何で急に? という戸惑いは禁じえないところ。やはりあの銃撃がターニングポイントになったのか。前回のエリックの描写はとても良かったのだけど、ここでさらに恋愛まで持ち込むのは――私には少々ドラマ過剰、かな。