Table of Contents
CSI: Miami - Season 7, Episode 16
#158 Sink or Swim
- 邦題:「暗殺指令」
- 脚本:Marc Dube
- 監督:Sam Hill
- 初回放映:2009-03-02
事件概要
ネイディーン・アルコット
弁護士のパウエルがボートで船上パーティを開いている所で、強盗に襲われる。犯人は男女の2人組で、飛び入りゲストとして乗船すると発砲し、貴金属、宝石類、パウエルのノートPCを奪って逃走。犯人の撃った弾でパウエルの婚約者、ネイディーン・アルコットが死亡する。
その後、強盗が乗ったボートは、港で港湾職員のケン・ヴォーゲルが再塗装しているところを発見される。ヴォーゲルは、乗り捨てられたボートを売り飛ばそうとしただけだと主張する。船内からは宝石類が発見されるが、パウエルのPCだけは行方不明だった。
パウエルのPCには位置発信システムが搭載されていたため、場所はすぐにわかり強盗2人組は逮捕される。2人は強盗については認めたものの、ネイディーンを撃ったのは自分たちではないと主張。ネイディーンの体内から発見された銃弾は、水中銃に特有の細長い形状をしており、水の中から撃たれたものと考えられた。
その頃、イェリーナはロシアン・マフィアに接触し、デルコ暗殺を依頼されていた。ホレイショは暗殺命令を取り消させるため、デルコとともにシャローヴァに会いに行く。話し合いの途中でデルコは激昂してシャローヴァを殴打し、歯を折る。
デルコは捜査に戻り、銃撃地点の海中でタンクを発見。銃撃犯が使用した物と思われた。泡を出さないリブリーザー付きのタンクなので、自分の吐いた息を再利用することになっており、使用者のDNAが検出できる可能性が高い。
しかしそこへ入国管理局の職員が現れ、デルコを連行する。本物の出生証明書を入手し、国籍偽装が明らかになったというのだ。
タンクのDNAはケン・ヴォーゲルと一致するが、そのタンクを回収したデルコは現在不法移民として勾留中。そのため証拠の正当性に疑問が生じてしまった。デルコの出生証明書は、盗まれたパウエルのPCから入国管理局へ渡ったらしい。パウエルは、リンジー・ガーランドの事件でシェリダンを守るためにその書類を入手しておいたのだが、それが原因でネイディーン殺しの犯人を捜査できないという事態に陥ってしまった。
しかしヴォーゲルを呼んで取り調べたところ、減圧症の症状が出ていることがわかる。海中でタンクを捨て、慌てて浮上したことが原因だが、ホレイショは「治療しなければ死ぬ」と脅して自供を得る。ヴォーゲルは「パウエルにすべてを奪われた」人物から依頼を受け、男女2人組を雇って強盗を演じさせ、どさくさに紛れてネイディーンを射殺したことを認める。パウエルはそれを聞き、黒幕はリンジー・ガーランドの父親、ポールであると確信する。
ガーランドはリンジーの墓前で身柄を拘束されるが、ヴォーゲルのDNAを回収したのがデルコであるため、自分を有罪にする証拠はないと余裕綽々。
ホレイショは、シャローヴァの経歴を調査。シャローヴァの出身地はどこの国なのか、記録はいっさい残されていなかったが、デルコが叩き折った歯の酸素同位体を分析したところ、シャローヴァはニューメキシコの出身だとわかる。ホレイショはシャローヴァに会い、自分が(従って息子のエリックも)アメリカ人であると表明してほしいと説得。シャローヴァは説得に応じ、自分の身元を明らかにする。シャローヴァはCIAの命を受けてカストロを倒すためにキューバへ送り込まれたが、結局任務に失敗し、母国に見捨てられたため、ロシア人を装ってマフィアに加わって生きてきたのだった。
感想
前回、「敵側」の弁護人だったパウエル弁護士が今回は被害者。金品を強奪されたうえ、婚約者が射殺されてしまう。
強盗殺人だと思われたが、強盗の方は単なる陽動作戦。犯人の狙いは最初からパウエルで、復讐のために彼の最も大切な人を殺害した。犯人が言ったという一言で黒幕の正体がわかる――前回、パウエルが弁護人を務めた事件で殺害された被害者の父親。なるほど、2つの事件がここでつながっていたわけだ。娘を殺した犯人をパウエルが無罪にしようとしたのに怒り(弁護人なら普通そうすると思うが…)、「愛する者を奪われたこの苦しみを味わわせてやる」と決心したようだ。
しかし娘を殺害したのはパウエルではなくシェリダンだ。シェリダンは獄中にいるから手が出せないとしても、その妻子を狙おうともせず、弁護人の婚約者を狙うというのは何なんだろう。単に手出ししやすい相手を選んだと見えなくもない。確かにパウエルのやり方はかなり問題ありだったので、アルフォンゾに恨まれるならわかるのだが。
パウエルはホレイショに「奥さんを亡くした悲しみを、どうやって乗り越えたのか」と聞き、ホレイショは「乗り越えられない」と答えう。もうちょっと具体的に言ったらどうですか。ブラジルまで犯人を追って行って殺害し、翌年にはお仲間7人を射殺したが、乗り越えられないと。暴力による復讐は新たな暴力を呼ぶだけで、喪失を埋めることも傷を癒すこともできないということなのだろう。
さて、それ以外の所では、まず久々にイェリーナが登場、しかもデルコの暗殺依頼を受ける! という衝撃の展開。そしてエリックの実父、シャローヴァの正体も明らかに。ロシア人ではなく、CIAからキューバに送り込まれて見捨てられたアメリカ人だったので、息子のエリックも正式なアメリカ人、ということでイミグレーションの問題も(ちょっと強引だけど)無事解決。お父さんも根っからの悪党というわけではなく、生き延びるためにマフィアの仲間になっただけのようだ。いっそのこと暴露本を書いて出版してはどうか。
そしてこの一件でエリックとカリーの間も急接近し、どうやらここで2人は名実ともに恋人同士、ということになったようだ。恋愛については、少し前に否定的に書いたばかりだし、あんまり前面に押し出してこないでね、という気持ちは変わっていないが、今回の描写に限っては悪くない気がする。今までのパターンを破って男性の方が危険に陥ったせいかな。エリックを守ろうとするカリーが頼もしい。2人の息が合っている親密な様子も良かった。シーズン4のナタリア&エリックの時よりしっくりきている感じ。
さらに、前回に続いて今回もホレイショの白衣シーンあり(やはり白衣は撮り溜め?)。しかも、珍しくカリーと同席。ただし、顔が同時に見える場面はなかったと思うので、撮影は別撮りかもしれない。