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CSI: NY - Season 1
#10 Night, Mother
- 邦題:「母の闇」
- 脚本:Janet Tamaro
- 監督:Deran Sarafian
- 初回放映:2004-12-15
His eyes … they were just like yours.
事件概要
レイチェル・キャムデン殺害事件
マック、ステラ、フラック刑事担当。屋外でバスケットボールをしていた若者が、木の杭で胸を刺された女性を発見。その脇で別の女性が、被害者の胸の傷に手を突っ込んで何かをしており、二人とも血まみれだった。被害者は近くのアパートに住むレイチェル・キャムデン、そばにいた女性はオフィーリア・ディキアラ。住居は近いが交際はなかった。ステラは病院でオフィーリアから証拠を採取するが、彼女は無反応で何も話さない。
被害者は木の杭で胸を一突きにされていた。髪には樹脂のような物質。状況からはオフィーリアがレイチェルを殺したようにしか見えないが、マックは腑に落ちないものを感じ、病院でオフィーリアに話を聞く。彼女は事件のことは何も答えなかったが、パラリーガル(弁護士補助職)として自分の勾留について的確に把握し、マックに対しても鋭い洞察力を示す。マックはオフィーリアは精神異常ではないと判断する。だが自宅を捜索すると、家具の配置が不自然なうえ、離婚して家族がいないはずなのに、本棚には「クリス」のための絵本があった。
医者はオフィーリアを睡眠時異常行動であると診断。眠っているオフィーリアがステージ3から4に移行すると、彼女は起き上がり、「クリス」と泣き叫びながら、何かを突き刺す動作や胸をこするような動作(冒頭で被害者にしていたようなこと)を繰り返した。マックは、彼女が自分の異常に気づいていたことを知る。家具の配置が変だったのは、眠りながら歩いても、ぶつかれば目が覚めるだろうと思ってのことだった。
マックは豚を木の杭で突き刺して実験。マックの手には木のトゲが残ったが、オフィーリアの手とは付き方が違っていた。彼女の手についたトゲは、杭を抜いた時のものだったのだ。また、レイチェルの髪に樹脂がついていたのは、建築家である夫、トッドが接着剤のついた手で髪をわしづかみにしただった。トッドは口論したことは認めたが、殺害は否定する。
現場付近の監視カメラの映像をチェックすると、被害者とオフィーリアの間に、誰かの影が見えていた。オフィーリアは殺人犯を見た、と判断したマックはステラとともに画像を分析。オフィーリアの目の部分を拡大して、そこに映る人影を鮮明にしてみると、Tシャツを着てバスケットボールを抱えた男だった。第一発見者のジェイソンを調べると、スポーツバッグに血痕が発見された。手には、豚を刺した時のマックと同じ向きの木のトゲ。ジェイソンはレイチェルの浮気相手だったが、一方的に別れを告げられて逆上し、そばにあった杭を刺したのだった。
マックは報道記事を調べ、オフィーリアの幼い息子クリスが自動車事故で死亡したことを知る。オフィーリアがレイチェルの胸をこすっていたのは、心臓マッサージをするためだった。息子の命を救おうとした動作を繰り返していたのだ。
レニー・クック殺害事件
ダニー、エイデン担当。路上で殴り殺された男性の遺体が発見された。顔面には拳によるひどい打撲傷。ポケットが裏返しにされ、持ち物が取られていた。周囲には散らばった小銭。被害者は下着の中にオーストラリアの紙幣を持っていた。被害者の目には、フェイキックレンズという人工レンズが虹彩に埋め込まれてた。エイデンはレンズ、ダニーは紙幣から捜査を開始。
紙幣の指紋はコカイン所持の前歴があるライアン・マロンだった。マロンは、シドニーへ行って両替をしただけで、被害者のことは知らないと主張。一方、レンズから被害者の氏名はレニー・クックと判明。自宅には何体ものマネキン。それはスリの練習用マネキンだった。カーペットの下には20ドル紙幣。ケチャップの汚れに混じって血痕もあった。
ダニーとエイデンは、レニーが持っていた地下鉄のカードから彼らの活動場所を割り出して張り込み。まず一人が「ケチャップがつきましたよ」と言ってターゲットの注意をひき、その隙に仲間が財布をすり取るという連係プレーだった。フラック刑事らが現行犯を押さえてグループをいっせいに逮捕。主犯はエドアルドという男だった。
ダニーはライアンを再度尋問。ライアンはすりにあったと主張を変える。だがライアンの時計には、レニーのアパートのあったカーペットの黄麻(ジュート)が付着していた。また、ライアンのズボンの折り返しにはレニーの血のついた小銭がはさまっていた。レニーとエドアルドは組んでスリをしていたが、レニーが上前をはねていると疑ったエドアルドが、ライアンを使って「囮捜査」をした。そうしてレニーの裏切りの証拠をつかみ、殴り殺して金を奪ったのだ。
感想
このエピソードは、放送された順番では10話めになるが制作されたのは、この前のエピソードよりも早い時期であったらしい。CBSサイトのエピソード・アーカイブでは6番目にリストされている。ここ数話であまり見られなかった「眠れないマック・テイラー」を久しぶりに見た気がする。どう見ても怪しい、だが深い悲しみを秘めたオフィーリア(それにしてもダイレクトな命名だ)に寄せるシンパシー、ステラの視点との対比など、沈鬱なトーンがよみがえった感じ。この後11、12話が明るめの話なので、続けて見たからよけいにそう感じたのかも。
ダニーとエイデンの事件は単純に楽しめた。マネキンを使ってスリの訓練なんて、本当にやってるの? 複数人で組んで、ターゲットの気をそらしてその間にお金をする、という組織的なスリは実際にあるらしいけど。この、スリの訓練所を調べている時のダニーとエイデン、息の合ったコンビって感じで微笑ましかった。フラック刑事は珍しく両方の事件をかけもち。一斉検挙の応援に借り出されただけかもしれないけど。