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CSI: NY - Season 1
#11 Tri-Borough
- 邦題:「3つの偶然」
- 脚本:Eli Talbert, Andrew Lipsitz
- 監督:Greg Yaitanes
- 初回放映:2005-01-05
There's no coincidence in crime.
事件概要
ランディ・ホンツ感電死事件
マック、ステラ担当。地下鉄の線路上で、男性の遺体が発見された。レールに触れて感電死したかに思われたが、ニューヨークの地下鉄が直流電流を使用しているのに対し、遺体は交流電流で感電したような症状を示していた。感電死を隠すために線路に遺体を置いたのだ。
遺体のポケットには、彫刻の欠片(指の部分)があった。そこには身元不明の指紋。遺体は全身にオリーブオイルを塗っていた。遺体が大量に電気を溜め込んだことから、感電した現場は停電したのではないかと思われた。マックとステラは、その日現場の付近で唯一停電した場所を探し出す。その家には彫刻がいくつもあったが、指はすべてそろっていた。家の主人は死んだ男を知らないと言う。
被害者が持っていたデジカメの映像を調べて、撮影場所に行ってみると、そこにいた若者たちはマックの姿を見るや「警官だ!」と、曲芸しながら逃亡。彼らはパーコー(Parkour)と呼ばれるパフォーマンスをしていた。一人を連行し、被害者の名前がランディ・ホンツであることを知る。
ホンツの自宅に行ってみると、そこには大量のエロDVDとオリーブオイル。DVDは、オリーブオイルを全身に塗った自分の濡れ場を撮影したもの。そのオリーブオイルは珍しい輸入品で、付近で売っている店は1軒しかない。その店の店主は、事件当日停電を起こした家の主人ガラニスだった。マックはガラニスのトラックの中に、指の欠けた彫刻を発見。
ガラニスにはジュリーという娘がおり、ホンツの部屋には「ジュリー・G」のDVDがあった。また、窓の外の旗ざおには、焦げた皮膚のようなものが付着していた。ホンツはジュリーの部屋の窓から逃げ出す途中で旗ざおをつかみ、そこに電流を流されて感電死したのだ。ケーブルに最後に触ったのは、ガラニスの息子の、まだ幼いウィルだった。ウィルはホンツを殺すつもりはなく、ただ脅かすために電流を流しただけだった。ホンツが汗をかいていなければ死ぬことはなかっただろう。「セックスすると汗をかくの?」とウィルはたずねる。
レオ・ホワイトフィールド殺害事件
ダニー、マカ刑事担当。画商のレオ・ホワイトフィールドが画廊で射殺された。盗まれたものはなさそう。向かいの書店主ロン・レサムが不審な車を目撃していた。至近距離から撃たれ、銃はそばに捨てられていた。銃は赤い布で拭き取られ、指紋や汗は検出不可能。そばには古い文書があり、そこにはジャック・デ=スイの描いたInhumanityという絵が1814年10月にリーズン通りの火災で焼失したことが書かれていた。
銃弾の前歴から、ポール・ジアネッティという人物が浮かぶ。ジアネッティは18世紀に描かれた “Inhumanity” という絵画を、レオから5万ドルで買おうとしていた。ジアネッティは、レオに拳銃を渡しただけだと主張。絵を手に入れるためにレオが必要だったので、動機もなかった。
ダニーは、書類をはさんでいたシートから指紋を検出。一方でマカ刑事は絵画 “Inhumanity” を発見。指紋の主はその絵の持ち主だった。レオは、その絵は複製品だと言って5万ドルで買おうとするが、本物の価値はその10倍はする。ダニーは絵を押収して鑑定。X線、赤外線、長波長紫外線、サインの鑑定、すべて結果は本物。ダニーは次に、文書の真贋を鑑定。だが、紙もインクも1814年に使用されたもの。絵も文書も本物と判断せざるを得なかった。
ダニーは文書に書かれた内容の矛盾に気づく。文書には「234 Reason Street」と書かれていた。そこは現在のグリニッジ・ヴィレッジで、18世紀にはそう呼ばれていた。だが、調べてみると1809年にはBarrow Streetと改名されたはず。また、絵画が焼失したとされるニューヨーク市の大火災は1776年。つまり、通りの名も事件も文書に書かれた「1814年」という年代と合わない。レオは絵画が複製だという証拠をでっち上げて、取引を有利に運ぼうとしていたのだ。とはいえ、絵画が本物である以上、偽の文書に価値はなく、レオを殺す理由にはならない。別の誰かが別の動機で彼を殺したのだ。
ダニーとマカ刑事は、レオの画廊で古文書をでっち上げる道具を発見。レオは古い本の空白のページを切り取り、古い製法のインクを作り、昔ながらの羽ペンで文字を書いてそれらしい焦げ跡などを作っていた。文書に「1814年」と書いたのは、その時代の本しか入手できなかったための苦肉の策だった。レオは向かいの古書店で古い本を借り、そのページを利用した。古書店の店主ロン・レサムは本をだめにされたことを怒り、もみ合いになって撃ち殺してしまった。ロンの店には、発射残渣のついた赤いハンカチと、血のついた本があった。
ビル・レマッキア殺害?事件
エイデン、フラック刑事担当。建設現場でビル・レマッキアという男の遺体が発見される。ひどい悪臭がしていた。飲酒で解雇された作業員の代理として雇われた男だった。男は一撃で頭蓋骨を割られて即死。傷には凶器の特定につながるような特徴はない。また、排泄物と薬品の混ざったような悪臭の源は頭の傷口だった。
分析の結果、薬品は脱臭と消毒に使われるものと判明。エイデンは、臭いの原因はトイレだろうと推測し、現場の仮設トイレの指紋を調べる。被害者が雇われる前に解雇された作業員の指紋があった。仕事をとられたことを恨み、ビルが入っている時にトイレを揺さぶって倒し、殺害と同時にトイレの中身をあふれさせたと疑う。だが彼にはアリバイがあった。また、そのトイレに使われている薬品は、頭の傷とは一致しない。
薬品のひとつ、ジメチルベンジルアンモニウムの用途を調べてみると、それは主に飛行機のトイレで使われる薬品だった。凍って固まりになった排泄物が飛行機から落下し、たまたまヘルメットを取った作業員の脳天を直撃したのだった。
感想
事件が3つ。マックとステラの事件がメインっぽいのだが、ダニーとエイデンの事件の方が何だか楽しめた。
ダニーの事件は、絵画や古文書の鑑定方法が面白い。専門家に任せるのかと思ったら、分厚い本をひも解いてダニーが自分でやっちゃうのね。初登場のマカ刑事とも仲良さそう。贋作の作り方については、前にTV番組で紹介していたのを見た記憶がある。確か、『贋作者』という本も書いたトム・キーティングの話。同じように古い本の紙を使って古文書を作り上げていた。古い物らしい染みを作るのに、インスタントコーヒーの粉を使ったりしていたかな。このキーティングの本、読んでみたくなったのだが絶版らしい。
今回はあまり外に出ず、ラボにこもって鑑定を続けるダニー。ステラとマックが進捗ぶりを気にしているのか、ちょいちょいと話しかけたりしている所がいい。別々の事件を追いかけていても、同じ所で仕事しているんだものね。
どうでもいいがダニーが銃弾の前歴を調べるシーン、Homicide(殺人)となるところが Homocide になっていた。
エイデンの事件は! すんごい臭そう……だけどコミカルな感じで面白かった。エイデンのしかめっ面かわいいし。ドン・フラックとの漫才コンビぶりも良かった。
長ったらしい薬品名をずらずらと列挙するエイデン。
「ドデシルベンゼンスルホン酸、エデト酸四ナトリウム、それにbenzisothiazolinone」
「へー、benzisothiazolinoneが」
「それ何か知ってるの?」
「知らない」
あと、見るからに汚そうな仮設トイレの前で「お先に」と譲り合いしたり。前回が暗い話だったせいもあるのだが、NYシリーズの新たな魅力発見の巻になったかな。若手メンバーにはこの調子でNYシリーズを明るくしてほしいな。で、真相は結局すごい確率の事故だったわけ……よね。「ブルーアイス」って都市伝説だと思ってたのだけど。“Holy crap!” の一言は、ハマリ過ぎ。
マックの事件は、何だか事件よりも「パーコー」というパフォーマンスが印象に残った。これは別名をフリーランニングといい、スパイダーマンのように跳んだりはねたりビルの間を飛び移ったりしながら走り回るパフォーマンス。このシリーズは、四肢切断萌えな人とか、バック対ベル事件のこととか、調べてみて勉強になった、と思うことが多いなぁ。
単語帳
- Tri-Borough:トライボロ(イーストリバーにかかる橋。マンハッタン、クイーンズ、ブロンクスをつないでいる)
- parkour:パーコー(パルクール)。参考:
- James Brown:ジェームズ・ブラウン(ソウルミュージック歌手。ファンクの帝王と呼ばれる)。funkyには「臭い」という意味もある
- pigment:顔料、色素
- dodecylbenzenesulfonic acid:ドデシルベンゼンスルホン酸(何?)↓以降3つ、脱臭・消毒に使われる薬品らしい。
- tetrasodium EDTA:エデト酸四ナトリウム(だから何?)
- benzisothiazolinone:だからn(ry
- gallate:没食子(もつしよくし)酸塩 ←19世紀に使われたインクの成分らしい。
- crapper:便所(卑語)
- Holy crap!:驚き、罵りなどの言葉(crap=糞)
— Yoko (yoko221b) 2006-01-19