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csi_ny:s01:017_the_fall

CSI: NY - Season 1

#17 The Fall

  • 邦題:「転落」
  • 脚本:Anne McGrail
  • 原案:Bill Haynes
  • 監督:Norberto Barba
  • 初回放映:2005-03-02

There's one speck of dust out there that proves it, I will find it.

事件概要

ワインショップ強盗殺人事件

マック、ステラ、フラック刑事担当。酒屋に数名の若者が押し入り、店主を射殺した。警官が駆けつけた時はまだかろうじて息があり、10代後半のヒスパニックの若者3名だったと言い残していた。最初に現場に来たモラン巡査は、新人時代のフラックの師匠だった。犯人が徒歩で逃げたという目撃証言を聞き、フラックはモランとともに周辺を捜索。犯人の行動を推測して、みごと凶器を発見する。

発見された凶器は犯行に使われたものだが、指紋はなかった。薬きょうは、ブロンクスで銃を使った未解決の約半分と一致した。それらの事件は、クレイジー・エースというギャング団の関与が疑われていた。現場に落ちていたライターの指紋は、クレイジー・エースのメンバー、ルイス・アコスタのものと判明。店の監視カメラでは、犯人の顔はわからなかったが、一人が「ヘクター」と呼ばれるところが録画されていた。「ヘクター」がギャングの仲間に加わるためのイニシエーションと思われた。ビデオには、犯人の一人が缶のソーダを飲むところが映っていたが、現場にその缶はなかった。

モラン巡査は、缶は見なかったと言う。フラックは、モランがすべてメモに書き留めることを知っていたため、そのメモを渡すように言う。メモには何かを消した跡があり、インクを分析すると、消す前に “HECTOR, SODA CAN / SCAR RIGHT CHEEK” と書かれていたことがわかる。フラックは現場へ戻り、モランの行動を推測してソーダ缶を発見。缶に付着していた上皮細胞はモラン巡査のもので、唾液の主は巡査と親子関係のある男性と判明。だが巡査にはボストンの大学に通う双子の娘がいるだけのはずだった。

モランは20年前、ある事件で助けた女性と恋仲になり、家庭がありながら彼女との間に息子をもうけた。経済的に援助し、時折会いに行っていたが、息子はギャングの誘惑にひかれていった。その夜、現場に急行したモランは被害者から話を聞いた後、息子のことだと気づいた。父親としての気持ちが警官の義務感に勝ち、巡査は息子をかばった。マックはヘクターの母親の身元を突き止め、ヘクターの身柄を確保。

ヘクターは、撃ったのは自分ではないと主張。マックはヘクターの証言からクレイジー・エースの一人、トマス・ペレスに疑いを抱くが、検察官はヘクターを起訴するつもりだった。マックはペレスを見つけ、ジャケットに付着したワインを分析。ワインは成分に特徴があるため、ペレスが銃を撃った時にビンが割れ、そのワインがジャケットにかかったことがわかる。ヘクターは司法取引に応じ、モランは早期退職を受け入れる代わりに年金を受け取れることになった。フラックはマックに願い出てモランを連行する役を引き受け、ちょっと休憩に出るようなさりげなさで、連れ立って分署を出た。

メルヴィン・ヘックマン転落死事件

ダニー、エイデン担当。建物の窓の上に張り出した日除けの上で、太った男が転落死していた。映画プロデューサーで、祖父の代から映画業界に関わっているメルヴィン・ヘックマンだった。3階ではパーティが開かれていた。被害者は頭から落ちたので、自殺ではなく事故か他殺の可能性が高い。

死因は頭部を強打したこと。2階の手すりにあった血痕が被害者のものと一致した。落ちる途中で頭を打ったのだ。右手には花の香りの香水。右の尻に痣。胃の中身はパーティの食事と菓子。上着の右肩後方には、サーモンの油のついた手の跡があった。

香水の主は、ヘックマンに役を降ろされて恨んでいた女優で、香水は「菓子を食べるな」と手首をつかまれた時についたものだった。手の跡は、映画の公開のことで口論していた脚本家。尻の痣は、ヘックマン夫人の蹴り。彼は食事制限が必要で、お菓子などもってのほかだったが、妻の目を盗んで食べようとするので、尻を思い切り蹴ったという。

検査の結果、毒物の痕跡はなかったが、胃の中にはチョコレートがあった。ヘックマンはやはり夫人に隠れて菓子を食べたのだ。しかし、パーティ会場にあったトリュフ菓子ではなく、普通のミルクチョコレート。それも殆ど消化されていないので、死ぬ直前に食べたのだ。現場に戻ると、コマドリの巣の中にチョコレートの包み紙があった。ヘックマンは、窓の外のガーゴイルの口の中にチョコレートを隠していた。もうひとつ食べようと手を伸ばしたところで足を滑らせて転落したのだった。


感想

やっとドン・フラックにスポットが。自分の恩師でもある先輩警官の不正を暴く、という辛い立場だったが、警官の本分を踏み外すことなく、一本筋の通ったところを見せてくれた。それも四角四面の冷たさではなく、心ならずも罪を犯してしまった人の弱さや苦しみを理解し、精一杯の思いやりを見せるところなど、バランスのとれたところが良い。

CBSの公式サイトのキャラ紹介によると、フラック家は代々警察官が多く、ドンもごく自然に警官を目指したとのこと。モランを敬愛する気持ちとのはざ間で苦しみつつも、正義と規律を重んじる立場を貫いた彼には、警官の家庭に生まれ育ったことで、そういう考え方がしみついていたのだろうか……と想像してみる。もしドンがヘクターの立場だったとしても、ドンの父親、「NYPDの伝説」たるドナルド・フラック・シニアは決して息子をかばいだてしない、そんな世界で彼は生きているのではないかと思った。途中ちょっと泣き言みたいなことも言っていたけれど、あのラストシーンではきっと、マックの控えめな優しさを理解していたと思う。マックもドンのそういうところをちゃんと信頼しているのだろう(でもステラが心配しているのはそういうことじゃないと思うぞ~)。

今後ドンパパの登場予定なんてあるんだろうか? あったら面白いのにな。

DNA担当のジェインも、だんだんキャラが立ってきた? ソーダ缶を持って「君を苦しめに来た」というマックに対して “One woman's torture is another woman's challenge.” と言ったりなどして。「挑戦としてお受けするわ」みたいな感じだろうか? この2人の間にも何かあるのだろうか、と思わずかんぐりそうになってしまう。でも、マックが愛しているのはクレアさんだけだと信じているけど。

ダニーの事件は、あまり深刻なトーンでない典型的なBプロットという感じ。ラボと現場を行ったり来たりで忙しいことだが。事件よりも、サーモンオイルの男こと、脚本家兼監督の人が印象に残った。だってこの人、デイヴィッド・リンチの「マルホランド・ドライヴ」に出てきた眉毛男なんだもん。突然夢の話をしてモンスターを見て死んでしまいそうじゃん。関係ないけど、あのモンスターってちょっとステラ似じゃないかな。


単語帳

  • pop quiz:抜き打ちテスト
  • casting couch:キャスティング担当の事務所にあるソファー。配役の代償として女優を食い物にする場所とも言われる。
  • beat:巡査の受け持ち区域
  • Central Booking:逮捕者が最初に連れて行かれる場所。逮捕者に関する情報提供も行っている。

Yoko (yoko221b) 2006-05-05

csi_ny/s01/017_the_fall.txt · Last modified: 2020-03-29 by 127.0.0.1