Table of Contents
CSI: NY - Season 1
#19 Crime and Misdemeanor
- 邦題:「罪の重さ」
- 脚本:Eli Talbert, Andrew Lipsitz
- 監督:Rob Bailey
- 初回放映:2005-04-13
- If you don't have friends you have nothing.
- Sure you do. You have the truth.
事件概要
ジェニー・リー殺害事件
マック、ステラ、フラック刑事担当。クリーニング工場で、シーツの中から下着姿の若い女性の遺体が発見された。頚動脈を深く切られたための失血死。血の量から、殺害した後でシーツに包んだのではなく、首を切った時に被害者がすでにシーツの上にいたと思われた。
遺体が入っていたシーツはリンフォードホテルのマーク入り。800スレッドカウントの高級エジプト綿で、市内に12箇所あるリンフォードホテルの中でも、このシーツを使っているのは5箇所だけだった。また、被害者の胃の中には、3箇所のリンフォードホテルでしか手に入らない高級品のキャビアがあった。共通するのは1箇所だけ、国連の特別会議がある時に世界中の外交官が宿泊するホテルだった。前日にキャビアのルームサービスをオーダーした客は、テスカラの通商代表だった。テスカラは大西洋の島国で、91年に国連に加入したばかりだった。冷戦中には米軍の基地があったが、現在では自由貿易(無関税)地帯として有名。代表の名はロバート・コスタ。昨夜は部屋で仕事をしていたと言い、随行員たちも全員それを確認した。
部屋は漂白剤を使ってきれいに清掃されていたが、マットレスの中のスプリングには血痕が残っていた。被害者の血だったが、コスタは、彼女とは行きずりの関係であり血は経血だったと主張。
フラックはコスタが以前に逮捕された事件を発見。10年前、ニューヨークの大学に通っていたコスタは、スーザン・ヤングという女性を暴行した殺害した容疑で起訴されていた。スーザンの遺体には今回の被害者と同じような傷があり、同じように頚動脈を切られていた。判決は無罪だったが、その決め手となった証言をしたのは同じ寮にいた学生たちで、現在のコスタの随行員だった。事件以来、コスタはずっと彼ら3人を運転手・警備責任者・補佐官として雇っていたのだ。
ホテルのゴミ箱から、被害者のドレスと所持品、漂白剤のボトル、凶器と思しき割れたシャンペンのビンなどが発見される。身分証から、被害者はワイオミング州出身のジェニー・リー。また、ジェニーはルーフィーと呼ばれる鎮静剤(米国では未認可で、デートレイプに悪用されることがある)を飲んでいた。
友人の話から、ジェニーは以前コスタの運転手マーティンと交際しており、最近になってコスタに乗り換えたことがわかる。また、セキュリティ担当のトニー・ガルシアが、パリで医者に処方されたルーフィーを所持していたこともわかるが、いずれも犯行に直接結びつく決め手はなかった。
被害者の下腹部とへそには、シャンペンがこぼれた形跡があった。中には鎮静剤とコスタの唾液。つまりコスタは被害者のへそにシャンペンを流し込み、それを舐めたのだ。鎮静剤を入れたのがコスタなら、それを自分で飲むとは考えにくい。チャドと人形を使って実験した結果、ジェニーはコスタの上に乗った状態で喉を切られたこともわかる。2人が鎮静剤で意識を失った後、何者かがジェニーの身体をコスタの上に乗せたのだ。また、ジェニーが身に着けていた指輪からは、コスタと血縁のある女性(おそらく祖母)の上皮細胞が検出されていた。コスタは故国に妻がいるが、ジェニーを愛し、自分の祖母の指輪を送ったのだ。
ルーフィーのビンとシャンペンのコルクには、身元不明の指紋があった。被害者たちが2人きりになった後に誰かが部屋に入るチャンスは少ない。犯人は最初から部屋にいて、部屋を出るふりをしてクローゼットに隠れていたのではないかと推測し、再びホテルの部屋を捜索。クローゼットの壁と棚の隙間には、補聴器が落ちていた。犯人はコスタの補佐官で、ダイビングをしていて難聴になったフランク・バーネットだった。彼は2人を眠らせ、ジェニーの喉をかき切り、再びクローゼットに戻って待った。だが血の滴る音に耐えかねて補聴器を投げ捨てたのだった。10年前、フランクは愛する女性スーザンをコスタに奪われ、殺された。コスタは妻に愛情がなく、政略結婚だったが、ジェニーのことを真剣に愛していることを知り、復讐を思い立ったのだった。
人間彫刻変死事件
ダニー、エイデン担当。大道芸人の集まる公園で「人間彫刻」の男が倒れて死んでいた。彫刻男は顔を銀色に塗って一日中同じポーズでずっと立ち続ける芸人である。観光客が並んで写真を撮ろうとしたところで、倒れたという。被害者は身体に合わない服を着ていた。チップは大量に入っていたのに、健康状態はまるでホームレス。
死因は大脳の動脈瘤による自然死と判明。死後48時間は経過しており、腐敗が始まっていた。被害者は死んだ後にヒゲを剃られ、顔をペイントされていた。自然死である以上CSIの仕事は終わりだというエイデンにダニーは反対する。死は自然であっても、その後に行われたことはそうではない。マックからも分署の刑事に引き継いで捜査を終了するよう言われるが、ダニーは独断で捜査を継続。
指紋から、被害者の名はジョン・ホーキンスと判明。現場にいたリリー巡査は彼を9回も逮捕したことがあった。だが巡査はホーキンスの写真を見て、これはホームレスで芸人ではないと言う。巡査が彼を逮捕したのは、寒い日に凍死しないように、留置場に入れる(泊める?)ためだった。
監視カメラの映像を調べると、発見された日の映像とその前日の映像は、体格が異なっていた。靴の中には、大きさを調整する中敷が入っていた。中敷は一人一人の足に合わせて調整しているので、シリアル番号で持ち主がわかるはずだった。持ち主はデイヴィッド・スコットと判明。彼が本物の人間彫刻だった。スコットは稼ぎの良い時にはジョンに食べ物を買ってやっていたが、その日は感謝の言葉がなかった。見ると死んでいたので、この機会にと思ってジョンを人間彫刻に仕立て上げ、自分は3年ぶりに休みを取ろうとしたのだ。休みの日にはまったく何もしなかったという。
事件は解決したが、ダニーは命令に従わなかったことでマックの叱責を受ける。
感想
また同じ組み合わせなのね~。確かに、マックとステラでボリューム感のあるAプロット、ダニーとエイデンで軽めのBプロット、というのはドラマとしてそれなりに安定している感はあるのだけど。でも、この組み合わせだとAプロットの比重が大きくなり、かたやBプロットではダニーがメインになるので、エイデンの影が薄くなってしまう。
さて事件。国連の通商代表が宿泊するホテルが現場、なんていうのはさすがニューヨーク! な感じ。今回面白かったシーンは、やはりチャドと人形を使ってシーツに血痕をつける実験をするところかな。ラボ技術者はCSI主任の変な実験の犠牲になる運命なのだろうか。このチャド・ウィリンガム、ちょっと話し方にクセがあって、得体の知れない印象だったのだが、実はグレッグみたいないじられキャラなのだろうか。
でもよく考えたら、この場面では2人とも意識がないことがわかっているのだから、チャドじゃなくて人形2体でいいじゃん? 1体しかなかったのかなぁ。でも実験が終わった後、チャドが律儀に人形を運んでいくところが何だか微笑ましい。あの後シャワーを浴びるついでに、人形もちゃんと洗ってあげたのだろうか。
結局、10年前に女性を殺害したのはコスタの方でいいのかな。この殺害の真相がいまいちよくわからない。これは快楽殺人だったのだろうか。だとしたら、コスタはそれ以降10年間、誰も殺さずにすんでいたのだろうか? 殺人の衝動を抱くことはなかったのだろうか?(それとも、どこかにまだ未解決の事件が……)フランクは、10年間も復讐の機会をうかがってきたのだろうか。それくらいなら、コスタのアリバイ偽証なんかしなきゃいいのに。と思ったのだが、フランクとしては復讐するとともに再び彼の弱みを握って、金づるを手放さずにおくという、一石二鳥を狙ったのかな。そう考えると、愛ゆえの復讐とか言われてもあんまり同情できないな~。そもそもジェニーには何の罪もなかったのだし。
ダニーの事件では……う~~~~ん。事件そのものは軽めであまり深刻にならずに終わったのだが。マックとダニーの間はこれからどうなっていくのだろう?(もうあと数話でシーズンフィナーレなのに!)という不安を感じさせるエンディング。
たしかに、自然死であっても、遺体にペイントして彫刻の真似をさせるなんて、いったい何事だろうという好奇心はそそられる。もしかしたらこれはアリバイ工作で、裏で別の犯罪が動いているのでは……なんて想像もしてしまった。でも、死因に事件性がないとわかった時点で、「CSIとしての」仕事は終わりになるんだろうな。その後は分署の刑事さんが聞き込み捜査などをして、背景に不審な点がないかを調べるというのが職制なんだろうと思う。特に今回は、外交官がからむ事件が同時進行していて人手が足りなかったはずだし。
命令を聞かなかった部下が叱責されるのはまぁ当然のことだし、そんな深刻になることもないんだろうけど、でもマックとダニーの間に少し亀裂ができたというか、不信感がある感じなのが気になるところ。これはやはり、タングルウッドの件でダニーが何かを隠しているところから来てるんだろうな。「外れた者」の時のような2人に戻ってほしい。