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CSI: NY - Season 2, Episode 7
#30 Manhattan Manhunt
- 邦題:「再びの地、NY」
- 脚本:Anthony E. Zuiker, Ann Donahue, Elizabeth Devine
- 監督:Rob Bailey
- 初回放映:2005-11-09
You asked for my help – I did help you. You're where you belong. You rot in hell, you son of a bitch.
事件概要
ヘンリー・ダリアス事件(被害者多数)/リディア・ジョンソン殺害事件
(CSI:マイアミ シーズン4「NYからの使者」からの続き)
NYからマイアミへ護送中に逃亡した殺人犯ヘンリー・ダリアスは、富豪の娘アレクサ・エンデコットを人質にしてNYへ舞い戻り、アレクサの家へ向かう。そこでは妹サラの友人たちが集まってファーム・パーティ(pharm=pharmaceutical/医薬品。常備薬を手当たり次第に酒で流し込んでハイになるパーティ)に興じていた。ダリアスはアレクサに金庫を開けさせるが、金庫はすでに空だった。怒ったダリアスはアレクサを射殺、その後居間へ行き、その場にいた高校生たちを全員射殺する。
現場に到着したマックらは、居間の状況が看護師殺害(ダリアスが最初に逮捕された事件)と同じであることから、ダリアスの犯行を確信。そして2階でアレクサの遺体を発見する。金庫の内側とエレベーターの扉には、繊維片が残されていた。
アレクサの両親は海外旅行中、妹のサラは学校にいた。サラは最初、友達に鍵を渡して自分はパーティに参加しなかったというが、エレベーターの扉の繊維片はサラのスカートの物だった。サラはダリアスが来たときたまたま別室におり、殺害を目撃してあわてて通用口から逃げたのだ。姉がいたことは知らなかった。
一方、ホレイショとステラはリディア・ジョンソン殺害に使われた銃弾を調べ、「ビッグ・アル」ことアルバート・グラフトンが使用した銃であることを知る。
エンデコット家の薬を処方したのは、マイルズ・フェルドスタイン医師だった。フェルドスタインは、ダリアスの精神鑑定を行い、裁判にかけることが可能だと判断した医師でもある。ダリアスとの会話でエンデコット家の事情を口にしたのはその医師だった。マックがフラックとともに医師のオフィスへ行くと、ちょうど入れ違いにダリアスが逃げるところだった。マックはメトロカードを発見し、それをダリアスからのメッセージと判断する。マックは単身地下鉄へ乗り込みダリアスと対峙するが、ダリアスは乗客を傷つけて逃亡。マックは追跡を断念して乗客を手当てする。
アルの銃はヴィンセント・ロセッティという男から買った物だった。マイアミでブライアン・ミラーに雇われた「ロージー」はロセッティだったのだ。ロセッティは、ダリアスと同じ時期に同じ刑務所におり、2日前に仮釈放されていた。ダリアスがリディアの事件について知っていたのは、ロセッティとお互いの事件について話し合ったためだった。ホレイショとステラはロセッティを追いつめ、逮捕。ロセッティはブライアンの依頼で夫のジェイムズを脅すつもりだったが、その日ジェイムズの車にはリディアが乗っていた。発砲は、揉み合ったための偶発的なものだったという。
金庫室で発見された繊維は、赤いバックパックのものだった。また、金庫のバイオメティック錠は、アレクサが開ける前にサラが開けていたことがわかる。サラの携帯電話をGPSで追跡すると、彼女はバックパックに大金をつめて「ティファニー」にいた。金庫室には300万ドルがあったはずだが、サラが持っていたのはその半分。もう半分は、フェルドスタイン医師の秘書が持っていた。秘書はセッションを記録するうちに大金の存在を知り、サラをそそのかして盗ませ、口止め料として半分をせしめていたのだ。
その300万ドルは、21歳まで酒もドラッグもやらずにいるという条件で娘たちに与えられた物だった。ダリアスとサラが同時にその金を狙ったのは、アレクサが21歳の誕生日を迎えたからであった。さらにDNAから、アレクサとダリアスが異母兄妹であったことがわかる。
ダリアスはエンデコット家をたずね、サラに「自分は兄だ」と言う。サラは扉を開け、待ち構えていたホレイショとマックがダリアスを逮捕。ホレイショはアダムに犯人逮捕を告げ、ロセッティとともにマイアミへ戻った。
感想
クロスオーバーエピソード後編。前後編だとやはり後編に見せ場が集中するのはしょうがないが、マイアミ編よりNY編の方が面白かった。前編で投げかけられた謎にもちゃんと結末がついたし。
前編ではホレイショがブルーのシャツ、マックが白のシャツだったが、後編では逆にマックがブルーでホレイショが白のシャツ。確認してみると、前回の合同捜査の時も同じ組み合わせだった。チーフのシャツは、ホームがブルーでアウェイが白という決まりなのか(まさか)。
このクロスオーバーエピはすっごい気になっていたので、DVDの順番を無視して一足先に見ちゃったのだが、最初に見たときは呆れながらも気の毒に思った。しかしNYのシーズン2を順番に見てみると、「ズーヨーク」のデビュッタント、「青い血」のロリータ娘とロブスター男ときて、今回この高校生たち。本っ当にNYの金持ち連中はどうしようもないなと思ってしまう。可哀想だけど、ちゃんと学校に行っていれば死なずにすんだのに。
今回ホレイショはラスト以外はステラとコンビを組んでの行動。この2人は意外と言っては何だが意外に息が合った感じで良かった。ステラはイェリーナよりもメーガンタイプなのでどうかなと不安だったけれど杞憂だった。むしろ懐かしのセビリア刑事とのコンビを思い出した。セビリアさん好きだったんだけどな……。
そしてマックは単身、ダリアスとの追跡劇に臨む。同じ面子で追いかけっこなのだが、前編は飛行機墜落に湿地帯、後編は高層ビルに地下鉄と、それぞれお国柄が出ている感じ。地下鉄での場面やラストでの会話を聞いていると、やはりダリアスにとって最も手強い相手はマックだったのかと思う。こうなったら、最初の看護師殺人事件も見てみたいよ~。小説でもいいから、ストーリー化してもらえないだろうか。
最後にダリアスがマックに感謝の言葉を述べる。父親よりもずっと強く自分に関心を示してくれたのは貴方だ、と。きっとあのグルーピーも、もしかしたらドクターも、そんな手口で「落として」きたのではないだろうか。傷つきやすく、何よりも愛を求め、無垢だからこそ悪に「染まりやすい」孤独な魂を持つ青年を演じてきたのだろう。そしてマックにもその手を使おうとするが――。
“You rot in hell, you son of a bitch.”
ああ怒っている。マックが怒っている。オレンジ色より青白い炎の方が燃焼温度が高いように、普段あまり怒りをあらわにしないマックの、静かにたぎる怒りの激しさを示す台詞だった(何でもこのフレーズはゲイリー・シニーズの提案なのだそう)。
逆に、普段から凶悪犯には容赦しない「鬼捜査官」ホレイショは涙のような雨に打たれながら
“I'm here and I'm not going anywhere.”
と少年に語りかける場面でおしまい。表裏一体の厳しさと優しさ、怒りと悲しみをそれぞれに表現したような場面だった。「主役」が2人いるとこういう表現手法が活きるのだな。
ところでマックがダリアスに「72時間で12人を殺害」と言っていたが、数えてみるともっと多いよ。
Felony Flight:
- 冒頭で射殺された若者4人
- マイアミ大の女子学生2人
- 逃走中に乗り換えた車の運転手
Manhattan Manhunt:
- 高校生6人
- アレクサ
- 首を折られた警備員
少なくとも15人じゃない? あと、明確ではないけど護送機に同乗してきた保安官(Marshal)も殺しているような気がする。ダリアスとケンがほとんど無傷なのに、保安官だけ都合よく事故で死ぬってちょっと変だし。FFの冒頭は72時間以上前だったとか、警備員の首をへし折ったのは実はアレクサだったとか、そんなことはないよねぇ。これは被害者数としては最高かな、と思ったがよく考えるとマイアミのシーズン1「クラブ・ディセント大火災」での死者が16人だった。とはいえ、これは火災。単独犯による大量殺人でこの数は尋常ではない。