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CSI: NY - Season 2, Episode 17
#40 Necrophilia Americana
- 邦題:「屍の虫」
- 脚本:Andrew Lipsitz
- 監督:Steven DePaul
- 初回放映:2006-03-22
The beetles were the first on the scene, we need to know what they know. And no eating.
事件概要
シシー・アスター殺害事件
マック、ステラ、ホークス、リンジー担当。マンハッタンの自然史博物館の展示場で、全身を虫に覆われた女性の遺体が発見される。その虫は別の展示場のケースから逃げ出したシデムシ(動物の死体を餌とする甲虫)だった。女性の身元は、博物館の建設に貢献したアスター家の令嬢で、博物館職員でもあるシシー・アスターと判明。遺体のそばには何かの絵の一部らしき紙片。シシーのIDカードは、血のついた14世紀の宝剣のそばに落ちていた。マックは展示場の近くで迷子らしい少年を保護する。少年の腕には、シシーの指輪と同じ形の痣があり、服のポケットにはシデムシがいた。
マックは少年を署へ連れて帰るが、少年はそこに来合わせたホゼ・マルティネスを見て「パパ」と呼びかける。ホゼは博物館に勤務する作業員で、血のついた宝剣にホゼの指紋があったため、ステラに呼ばれて来たところだったのだ。少年はホゼの息子サムで、サムの母親は死亡したという。だがDNAを調べた結果、ホゼとサムは実の親子ではなく、しかもNY州にはサムの出生に関する記録がまったくないことがわかる。
サムは『京都の子』というタイトルの、時代劇漫画の本を持っていた。現場に落ちていた紙片は、その本から破れて落ちたページと判明。マックは何とかサムから話を聞こうとするが、サムは「キンセンが来る」と言うだけだった。キンセンとはその漫画の登場人物であった。
一方、ホークスとハマーバックはシシーの遺体を洗剤液に浸し、白骨状態にして死因を調べる。シシーの頭蓋には鋭利な凶器による穴が開いていた。
シシーのアパートからは、ホセ&エレナ・マルティネス夫妻の養子縁組書類、試験管に入れたサムの血、サムが持っていたものと同じシリーズの劇画本が発見される。だが書類は偽造。さらに、サムとシシーに血縁関係があることも判明。サムはシシーの妹キャロリンが産んだ息子だった。恋人のスチュアートが薬物使用で逮捕されたため、シシーはひそかにサムを養子にした。スチュアートの出所後、キャロリンは息子を取り戻そうとしていた。
マックはサムから話を聞こうと悪戦苦闘するが、サムは「警官と話してはいけない」と言われていた。そこで似顔絵描きを呼んで顔を描かせるが、出来上がったのは劇画に登場する「キンセン」の顔。だが、サムはその劇画を通じてマックに何かを伝えようとしていたのだ。博物館へ戻ったマックは、サムが隠れていた場所でチョコレートの包み紙を発見する。サムが自動販売機のチョコレートバーを何度も指さしたのは、それが食べたいのではなく、キンセンが金銭を与えたことを伝えていたのだった。何者かに追われ、逃げ隠れた少年、少年を庇おうとした若い女性、そして悪人のキンセン――劇画に登場するモチーフと、サム自身の身に起きたことが渾然一体となっていた。博物館の自動販売機を調べると、中には血染めの指紋のついた紙幣があった。
その血はシシーの物で、指紋はキャロリンの恋人(サムの実父)であるスチュアートだった。スチュアートは、名門アスター家の正統な後継者たる息子サムを取り返すため、不法滞在者であるエレナを送還させると言ってホゼを脅して博物館に連れて来させた。それをシシーが知って妨害しようとしたので彼女を殺害したのだった。
ジム・モリソン殺害事件
ダニー、フラック担当。株式仲買人のジム・モリソンの遺体が建設現場で発見された。口の中には泡状の断熱材が詰め込まれており、それが気道をふさいだための窒息死と思われた。
断熱泡の缶には傷害の前歴のあるジョージ・クラークの指紋があった。ジョージは、ジムに車の窓を壊されて争っただけだと主張。車の窓の壊れた部分には、何かの白い破片が付着していた。それはゴルフボールなどに使用される樹脂。被害者の手からはカブレッタ(南米産の羊)の皮、服からはグラファイトと、いずれもゴルフに結び付く証拠が発見される。現場へ戻ると「FOB」と書かれたゴルフボールがあった。ジム・モリソンはNYの街をゴルフコースに見たて、ビルの屋上やゴミ収集車の屋根の上でゴルフをしていたのだ。
ダニーとフラックはアーバン・ゴルフ・クラブへ向かい事情を聞く。会長はジムを知っていたが、イニシャル「FOB」の会員はいないと言う。「FOB」は名前のイニシャルではなく「Friend Of Bill」つまり、アルコール依存症の治療グループの会員であるという意味だった。そのボールの主ハリーはジムとともにゴルフをしている最中、うるさく怒鳴られたためにカッとして口に断熱泡を注ぎ込んだ。気づいて泡を出そうとした時はもう遅かったという。
感想
ベガスとマイアミで1プロットのエピソードに慣れてしまったせいか、2プロットのリズムになかなか戻れなくて、片方の事件があまり印象に残らない今日この頃。
いや、それはともかく虫とグロすごいなぁ。虫といえばベガスのグリッソム主任だったのに、最近はNYの方がお株を奪う勢い。虫関連のリサーチャーがNYに異動したのだろうか。でも、虫の映像は良かったのだが、あまり本筋に関係がなかったのが残念。本筋に関係ないといえば、『京都の子』という劇画も、別に劇画でなくても良かったような……。しかも「シン・シティ」をちゃちにしたみたいな再現(?)映像まで……。「時代劇で“ヒーロー”はないだろ!」とか「表紙が逆!」とか「着物が左前ですよ!」とかツッコミたくてウズウズしてしまった。
今回脚本の Andrew Lipsitz 氏は「企業戦士」も書いてるんだよね。何かそういう方面が好きなんだろうか。今までの作品は、けっこう硬派のミステリ系作品が多いという印象があったのだが……。
マックと少年のふれあいは新鮮で面白かった。あまり子どもに慣れていなさそうなマック、最初のうちはサムの言動にそれほど注意していないのだが、「メッセージ」の意味に途中で気づき、歩み寄っていく過程が面白い。マイアミのホレイショならば「やぁ」の一言であっさりとびこえてしまえる障壁を、少しずつ着実に崩していくのがマックらしくて好感が持てた。
子どもといえば「過ちのグランド・セントラル」で女の子との相性の良さを見せたホークス先生は、今回は遺体にかかりきり。久しぶりにマニアックな先生が見られたかなぁ。でも、いきなり遺体を洗剤につけて白骨だけにしてしまったけど……いいんだろうか。骨に痕が残っているという確信があったのだろうか。このシーンも、ベガスのシーズン1で、生首を洗剤で煮て大喜びしていた主任とロビンス先生を思い出す。
また、この回ではDNAラボのジェイン・パーソンズが久々に登場。前回「ジェインどうしたんだろう」と書いたと思ったら! リンジーが虫の処理を任されて「食うなよ」とダニーにまで言われていたところも面白かった。ダニーだって食べたじゃん、虫(しかも生で)。
そのダニーの事件はアーバン・ゴルフ。街中(アーバン)にあるゴルフの練習場かと思ったら、路地や建物の屋上をゴルフコースに見立てた文字どおりの「街中ゴルフ」だった。迷惑で危ないゲームという点では地下鉄サーフィンといい勝負。と思ったら、これも実在するらしい。実際にやる時は、「大会」としてきちんと事前に準備(車の通行を規制したり)して安全を確保しているのだろうか。